Lo-Dの最近のブログ記事

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 すでに各方面で評価の高い製品だが、こうして内外の最新機種の中に混ぜて試聴しても、全力投球のあとが聴きとれて、優秀なパワーアンプのひとつだということがよくわかる。音の傾向は本質的にはハードでかなり力強いところがあるが、緻密で腰の坐りがよく、低音の支えもしっかりしているので、音にうわついたところが少しもなく、ハイパワーでも全く危なげのない充実した音を聴かせる。音の力強さがいかにも男性的で、底力のある重量感に満足をおぼえるが、反面、ここにもう少しやさしさが加わるとさらに素晴らしい音に仕上ると思う。入力にあくまでも素直に順応するというより、どこか一ヵ所力づくの強引さがあるところがもうひと息、なのだ。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 HMA9500のきわめて男性的な音と比較しての話でなく、この7300自体が本質的にどこか女性的な、硬さを嫌ったかなりウェットな音を持っていると聴きとれる。やかましい音、あるいは張り出す音を嫌ってのことだろう。たとえばダイヤトーンではきわめて張り出していた中〜高音域が、難しい弦の音でテストしてみてもHMA7300ではよく抑えられ、耳たぶをくすぐられるかのような細身の音色で聴こえる。その意味ばかりでなくこういう音はやはり女性的といえるだろう。もうひとつ、音の基本的な質がかなりウェットで、音の密度も薄手のため、プログラムソースによってはもう少し中味の埋まった音が欲しいというように思われることも少なくなかった。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 たとえば「オテロ」冒頭のオルガンの低い持続音がやや聴きとりにくく、低音の量感が不足ぎみであることを感じる。国産アンプには案外多いが、続いてのトゥッティの部分でも、総体に音が細身で重量感や厚みや奥行きが出にくい。音の硬さやおしつけがましさがよく抑えられているのでやかましくない点はよいが、弦楽四重奏でさえいくぶんオフマイクぎみに音像が遠ざかる感じで、もう少し実態感や充実感が欲しく思えてくる。骨ばってこない点が好ましいともいえるが、どこか軟体動物的で頼りないところもあって、フォルテ・ピアノのはげしく入れ変るような曲では音がふわふわとあおられて抑揚の強調される感じもあって、もう少しふんばりが欲しい。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 やわらかく繊細で、一聴した印象ではどこか女性的ともいえる音がする。コントロールアンプ単体の試聴の際には、パワーアンプにはリファレンスのマランツ510Mを組み合わせている。その510Mは、どちらかといえば硬質で腰の強い音がするのだが、それをここまで耳あたりを柔らかく、線を細く鳴らしてしまうのだからかなり個性的なコントロールアンプだ。そういう音だから、音の密度あるいは実態感といった面が弱く、いくらか輪郭で聴かせる傾向がある。また表面のやわらかさに反して意外に芯の硬いところがある。欲をいえば音のひろがりももうひと息だ。が、6万円のコントロールアンプとしてみるとかなりのできばえといえるかもしれない。ただツマミの形やデザインはいささか大味すぎる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 日立のLo−Dのオーディオ製品は常に日立らしい技術開発の精神に立って、素材の開発から手がけ、新製品らしい新製品を発表している。その規模と技術の層の厚さは、いうまでもなく日本のメーカーの中でも飛び抜けた存在であるから、中途半端な製品開発は出来ないのが当然だ。スピーカーをみても、アンプをみても、必ず、そこには注目すべき、新しい技術が生かされている。基礎研究の力は、大いに信頼に足るメーカーであることは、ここで、改めて断るまでのこともない。要は、この技術力が、いかにオーディオ的に生かされるかにあって、人の心情や感性を対象としたオーディオ機器にあっては、高度なテクノロジーが即、これに対応できるものとはいい切れない。この辺りが「技術の日立」の最大の課題であろうと思われる。しかし、それも、このところ、同社なりに豊富なノウハウを蓄積してきているようで、音楽を楽しみ、音を味わうことの出来る製品作りのコツを心得てきたようである。音キチといわれるように、高級オーディオ機器のユーザー達は、音に関して、きわめて集中的かつ求心的な関心の持主であり、音に関わる機器に求めるものは単に機械としての存在を超えた形であり、触感であり、雰囲気であり風格である。しかも、それは人それぞれの嗜好によって、様々な要求があるところに、オーディオ製品の趣味性が生れていることは読者諸兄がもっともよく御存知のはずだ。
 音楽の感覚的な娯楽性や精神的な芸術性に共感し、評価する、その心に同次元の印象や感動を与え得るモノの存在は並大抵のものではない。最高級オーディオ機器を生み出すことは、この点で、決してイージーなものではないのである。研究所、開発設計室、生産工場、営業宣伝といった常識的なメーカーのプロセスの中で、はたして、どこで、どうしたら、そのクォリティを付加することが出来るのだろうか。これは頭でだけ考えてシステム化できるような問題ではあるまい。Lo−Dの製品に接して常に感じること、考えさせられることはこのことである。世界的な大企業である日立製作所のオーディオ製品が、この点で全く欠けているとはいわないが、前述した「製品作りのコツ」という同社への賛辞は、同時にまた、同社製品への不満でもある。つまり、要領は巧みに心得てきたといえるが、それが、強烈な個性と、製造者の情熱が生みだす創造性、心情性という面で、まだ一つ、物足りなさを感じさせるのである。
 たまたま、Lo−Dの製品の項で、このような私の考えを述べさせてもらったが、これは、他のメーカーにもいえることであって、Lo−D製品に限ったことではないことをつけ加えておく。
 Lo−Dのアンプの中での最高級機種といっていい、セパレートアンプ、HCA9000とHMA9500は、以上述べた性格を過不足なく備え、数々の技術的フィーチュアや、製品の特性には、最新最高のテクノロジーの生きた優秀なものであった。
HCA9000の特徴
 HCA9000プリアンプは前段ICLのDC構成をとり、出力段のコンデンサーにも周到なセレクトのおこなわれたもの。その選択と使い方には音質との兼ね合いが十分配慮され、アンプ作りのコツの一端をうかがい知ることが出来る。ボリュウムは連続可変で、クリックのないところが気に入った。音楽ファンにとって、音をカチカチと段階的に増減するという感覚は抵抗があって不思議ではない。4連ボリュウム採用で残留ノイズは耳につかない。出力インピーダンスは40Ωと低いから、スピーカーを近づけて使いたい人には、ラインレベルでコードを延ばすのに好都合。電源は全段独立安定化電源を採用し音質へのキメの細かい配慮をおこなっている。MCヘッドアンプはS/Nのよいもので、パネル面で切替えが出来る便利なもの。薄型のデザインは率直にいって、それほど高級感があるとはいえない。かなりこった作りではあるが、その割に効果が上っていないようだ。
HMA9500の特徴
 HMA9500パワーアンプは、日立が開発した新しいデバイスの誕生によって実現したもので、技術的なオリジナリティを持った製品だ。コンプリメンタリーパワーMOS−FETという素子がそれで、オーディオ用のパワー素子として優れた特徴をいくつかもっている。大きな電力ゲインをもっているため、複雑なドライバー段を必要とせず、比較的シンプルな構成で、高いリニアリティをもった音声出力を得られる。回路構成は、左右独立電源のDCアンプで、NFBループにコンデンサーは使用していない。
HCA9000+HMA9500の音質
 HCA9000とHMA9500の組合せによる試聴では、透明感のある繊細な音の粒立ちはよく生かされたが、豊かな力強さの点で、少々不満があった。ヴァイオリンは、線がやや細く硬目の響きだが、芯のしまった音で、演奏の毅然とした精神性がよく表現された反面、柔軟でしなやかな遊びの雰囲気といったものが希薄であった。ピアノの質感は高く、響きが冴える。オーケストラでは、弦合奏の高域が時々とげとげしくなる傾向があったが、弦のプルートの数がだんごになってしまうようなことがなく、分離が大変よく聴こえた。トゥッティでのエネルギーバランスとしては、やや高域が勝って聴こえたがこれは、ジャズのビッグバンドでの低域の図太さの再現不足とサックス群のハーモニーの厚みの再現不足と共通したイメージであった。しかし、こうしたバランス上の問題は、スピーカーや部屋のコントロールで補える範囲でのことであり、それほど大きな不満とはいえない。MCヘッドアンプ使用の音は、癖のない、おとなしいもので、歪感がない好ましいものであった。総合的に、緻密で明解な音は、音量によって音色変化の少ない使いよいアンプであった。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

完全に使いこなした3ヘッド構成の優秀機。音のよさも抜群。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナリティをもつ回路による高性能な信頼性高い製品。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

中級機に3ヘッドの魅力をもたらした独得の走行系は見事である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新ホール素子を導入した技術とトータルバランスの高さが魅力的。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

柔らかく、暖かく、十分に磨き込まれたサウンドクォリティは独特。
井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 昨年のオーディオフェアに出品され、一部のマニア層の熱い視線を集めた注目のプレーヤーシステムである。
 プレーヤーシステムとしては、トーンアームレスタイプで、電源部はキャビネットから分離をした独立タイプである。
 直径33cm、重量6kgのアルミターンテーブルは、下面に特殊加工を施した特殊粘弾性体を充填した防振構造を採用。モーターは、重量級ターンテーブルを33 1/3回転時に1/3回転で定速に駆動できるだけの5kg・cmの高起動トルクを発生する新開発のストロンチウムフェライトマグネットをローターに使ったLo−D独自の磁気浮上式ユニトルクモーターを組み合わせている。
 新開発のモーターは、300極精密着磁をおこない磁気誘導全周積分方式により高い周波数で高精度の速度検出信号を取り出し、クォーツロック回路で安定度が高く、応答性の優れたサーボコントロールをし大慣性ターンテーブルと軸真円度0・1μの高精度軸受機構で、測定限界にせまるワウ・フラッター0・006%(WRMS/FG法)に達している。なお、モーターシャフトはDD型としては異例の直径16mm、特殊ステンレス鋼を熱処理をしたタイプを使い、磁気浮上方式はローター磁石とヨーク間の磁気吸引力がターンテーブル重量を打ち消す作用をし、実質的には軸受重量は1/3以下に軽減され、重量6kgのターンテーブルは2kg弱の重量に相当することになる。
 キャビネットは、特殊積層材使用80mm厚ソリッドタイプで、裏面を特首謀浸材でダンプした合金キャスト製パネルをパーティクル材及び粘弾性材多層構造の本体に固着した構造である。なお、アームベースは特殊合金製重量1・5kgで、加工が難しいため使用アームに合わせてLo−D工場で加工され直接送付される方式をとっている。
 TU1000にSAEC WE407/23を組み合わせる。聴感上の帯域バランスはナチュラルな広帯域型で、音色は適度に明るく滑らかであり、いかにも高級機らしい格調の高さが音に如実に感じられる。音場感はナチュラルだが少しパースペクティブを抑える様子だが、これも超高価格機との比較での差である。高性能と強固なメカニズムを併せもった聴感上でのSN比の高さに特長がある見事な製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 メタルテープ実用化以前に、カセットデッキにマイクロコンピューターを導入し、多種多様なカセットテープを最適条件に自動調整可能とした世界初の製品が、Lo−D D5500DDであった。ここで採用されたATRS(オートマチック・テープ・レスポンス・サーチ)システムは、マイコンにより、テープ一巻ごとに最適バイアス量、中低域、中域と高域の3点可変イコライザーによる録音・再生周波数のフラット化、録音・再生感度補正の3項目を自動調整する機能である。
 メタルテープ対応型となったD5500Mと同時に発表されたATRSシステム採用の第2弾製品が、D3300Mである。ATRSシステムをIC化し、マイコン内部の計算処理を5ビット化し精度向上した新ATRSシステムは、自動調整時間が約10秒に短縮された。
 D3300Mの新ATRSシステムは、テープセレクタースイッチを選択後、ATRSを動作させる手順である。5つのメモリー回路をもつため、自動調整した5種類のテープデータが保存可能だ。電源を切っても内蔵電池でバックアップされているので、データが消えるおそれはない。また、バックアップ電池が消耗した場合には、バッテリーインジケーターが点滅し警告する。
 テープトランスポートは、ICロジック回路採用のメカニズム操作系を採用し、独自のデッキ用ユニトルクモーター採用のDDデュアルキャプスタン方式2モーター型メカニズムである。ヘッド構成は、コンビネーション型3ヘッドを採用。録音・再生コンビネーションヘッドは、録音と再生ギャップ間隔が1・4mmのクローズギャップ型。表面はメタルテープ対応のチタン溶射仕上げされ、ヘッド形状は録音ギャップと再生ギャップにテープの圧着力が効率よく集中するハイパーボリック型である。
 機能は、オートリワインダー、オートプレイ、メモリーリワインド、REC・MUTE、タイマー録音/再生、−40dB〜+10dBのワイドレンジピークメーターなど標準的で、性能優先型の設計である。
 D3300Mは、推奨テープにLo−Dの各種テープがあり、バイアスやイコライザー量は、これらのテープに対して最適量がプッシュボタンのテープセレクターに記録され、電池でバックアップしているが、ATRSを備え任意のテープが最適条件で使えるメリットがあるため、試聴室にあった各社のテープをATRSで調整して使うことにする。デッキ自体が穏やかな性質をもち、聴感上の周波数帯域がナチュラルで、やや暖色系の柔らかく滑らか音であり、ATRSの効果もあって、各テープの個性をマイルドにして聴かせる傾向をもつ。テープヒスに代表される聴感上のノイズは少ないタイプだ。録音レベルは標準的な範囲をこさない程度にセットすれば、このデッキ本来のキャラクターを活かした音が得られる。また、ATRSのため、ドルビー回路が本来の機能を発揮できるのもメリットである。
黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 新しい傾向のサウンドへの対応にすぐれたスピーカーといえようか。音は、決して軽快といえるようなものではないが、湿りけや暗さがないために、❶のレコードの場合などでも、さわやかさをもたらしうる。それに音場感の面でも、ひろがりの提示もいい。重厚な音への対応より、きめこまかな音への対応にすぐれているとみるべきかもしれない。❷のレコードできかれるグルダのかすれぎみの声はきわめてなまなましくきかせるが、❸のレコードでのバルツァのはった声は、わずかながらではあるが硬くなる。さらに、そこでのブラスのつっこみも、かならずしも充分とはいいがたい。しかし、低域が適度にふくらむようなことがなく、全体としてのまとまりということでは、ある程度の水準に達しているとみるべきだろう。もう一歩力感の提示がしっかりできるといいんだがと、試聴しながら考えていた。

総合採点:7

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(物足りない)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)
瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 一聴して、まず、かなり素性の良いスピーカーらしいことが聴きとれる。どこかに隠れたクセのあるスピーカーは、納得の行く鳴り方に調整するまでに骨が折れるが、小製品はごく素直に一応のバランスが整う。ただこまかく聴くと、国産の多くがそうであるように、中〜高域が少し張りすぎのように思えて、レベルコントロールの中・高域両方とも−2近くまで絞ってみた。これでバランスはほぼ十分に満足できるようになった。レベルコントロールの調整で、これほどバランスが整うということは、ユニットの素性が非常によく、ネットワークその他の設計の優秀であることがわかる。このまま、クラシック、ポップスの区別なく、納得のゆく再生をした。音が明るく、ベトつかず、いわゆる音離れがいい。低音の質感も、国産としては重さや鈍さ、暗さがない。ここまで鳴るともうひとつ欲を言いたくなる。90Fの音は、何となく艶消しの質感を思わせる。音の艶、そこから生れるえもいわれぬ魅力が加われば特選ものだ。

総合採点:8

音域の広さ:8
バランス:8
質感:8
スケール感:8
ステレオエフェクト:8
耐入力・ダイナミックレンジ:9
音の魅力度:6
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:やや難し要工夫
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 きわめてバランスのいいシステムで、音楽は何を聴いても、その全体の造形がまともに再生される。全帯域に平均したエネルギーバランスであることがわかる。音色はおとなしく、やや淡泊である。もっと、コクのある演奏や楽音は濃厚に再生してほしいと思う。端正な音楽には強い主張がないので、控え目な特長が生かされるが、強烈な個性を少々柔和に鳴らしてしまうようだ。ヴァイオリンのソロを聴いても耳あたりのいい音なのだが、質感の魅力は十分再現されないし、ヴァイオリン特有の艶と輝きが出てこない。これはオーケストラを聴いても感じられることで、オーケストラのテクスチュアがやや粗く、しっとりした感触が失われるようだ。しかし、こうした注文は、かなり欲ばった次元のことで、先にも述べたように、全体のバランスのよさ、安定したパワーキャパシティと高いクォリティによる、広い適応性をもった再生能力は高く、国産スピーカーでは高水準といってよいだろう。

総合採点:8
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 日立では、音質のよい再生をめざし、ワイドレンジ・低歪再生を目標に新しいパワーディバイスとしてパワーMOS・FETを開発し、すでにパワーアンプHMA9500に採用して高い評価を得ている。
 今回発表された2機種のプリメインアンプHA7700/8700にも、一般のバイポーラトランジスターにくらべて、周波数特性、電力利得が優れたパワーMOS・FETが採用された。
 HA8700は、90W+90Wの出力をもち、初段にローノイズ型ジャンクションFETを使った3段直結型MCヘッドアンプからイコライザー段、トーンコントロール段、パワーアンプまでを前代DCアンプ構成としている。電源部は、左右独立の電源トランスと大容量電解コンデンサーを使った左右セパレート電源方式である。機能面では、ターンオーバー周波数2段切替可能な高音と低音トーンコントロール、サブソニックフィルターミューティングスイッチをはじめ、ほぼフル機能であり、イコライザー出力をトーンコントロール段を通さずにパワーアンプに直結するメインダイレクトスイッチがある。また、使用頻度の少ないスイッチはフロントパネルの下部の扉内部に収納してある。
 HA7700は、出力70W+70Wでターンオーバー周波数切替とメインダイレクトスイッチを省略したジュニアモデル。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 Lo−Dのスピーカーシステムは、メタル振動板を多く採用する点に特徴があるが、この新製品も20cmメタルコーンユニットと35mmチタン振動板採用のメタルコーントゥイーターを組み合わせた2ウェイ構成のシステムである。エンクロージュアは密閉型で、横にするとB5サイズの雑誌と同じになるコンパクトサイズでブラックメタリック仕上げだ。ウーファーは2層のアルミ合金箔の中間を発泡樹脂でダンプした厚さ約2mmの3層構造の振動板を採用し、高域共振は新開発ピークコントロール回路で制御している。クロスオーバーは1、100Hzと低く、アッテネーター付。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 今回新しくLo−Dから発売されたスピーカーシステムは、従来の同社の製品とはかなりイメージを一新した、コンセプトの異なった製品のように思われる。
 まず、ユニット構成を30cmウーファーベースとし、大型のトゥイーターというよりはハイフレケンシーユニットと呼ぶにふさわしいタイプを組み合わせた2ウェイシステムであることがあげられる。
 ウーファーユニットL304は、高能率・高耐入力設計で、コーン紙は、表面を硬く、裏面は密度を小さくして剛性と適度な内部損失をもたせたタイプで、深いコルゲーションが施されている。磁気回路は、外径140mmφの大型フェライトマグネットを採用し、センターポールに銅のショートキャップを取付けた、Lo−Dアクチュエーターによる低歪化がおこなわれている。
 トゥイーターは、ダイアフラムに直径35mmのチタン振動板を使い、磁気回路には外径90mmφのフェライトマグネットを採用している。アルミダイキャスト製のホーンは、エクスポネンシャルカーブをもち、長さ235mm、開口径は100mmで、開口部には、ダンパー材で不要の振動を抑えた音響レンズが組み合わせてある。
 ネットワークは、ウーファー用コイルに低歪のコアを使い、コイルをワニス真空含浸して内部まで固定し、振動を防止している。なお、トゥイーター用コンデンサーはフィルム型である。エンクロージュアはバスレフ型で、バッフルボード、リアボードはカラ松を主材料とした三層構造パーチクルボードである。
 HS55は、クロスオーバー周波数が1、500Hzと低い2ウェイ型であり、能率も高いため、活気のある明快でストレートな音を聴かせる。細部のニュアンスを細かく、柔らかく聴かせた従来のLo−D製品とは一線を画した鳴り方であり、音楽を積極的にかの沁むファンに好適なものだ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 Lo-Dの新しいプレーヤーシステムは、現在、中級機以上では標準となりつつある水晶制御方式を導入したDD型ターンテーブルを採用したマニュアル機である。
 駆動源であるDD型モーターは、同社独自の開発であるユニトルク型で、ブラシレス、コアレス、スロットレス構造の偏平型DCサーボ方式である。この基本性能が高いモーターにPLL水晶サーボをかけ、負荷特性、回転精度を一段と高めている。発表された測定値は負荷特性が針圧120gまで0%、回転偏差0・0003%以内だ。
 トーンアームはS字型スタティックバランス型で、トーンアームに生じる100Hz付近の曲げ共振による振動エネルギーを、一般的なメインウェイト軸とパイプ間にゴムを入れて共振を40Hz近辺の低い周波数にずらす方法ではなく、メインウェイト軸内部にゴムダンパーを介して取り付けた小型ウェイトで構成するダイナミックアブソーバーで吸収し共振レベルを下げる特殊な構造を採用している。また、ヘッドシェル取付部分のコネクターは、コネクター部が二重構造で、内側締付金具が外側に向ってテーパー状となったチャッキングロック型を採用し、ガタがなく、剛性を増している。
 プレーヤーベースは天板が14mm厚の高密度BMCボード、下部は、40mm厚の高密度パーチクルソリッドボードの二重構造であり、大型インシュレーターと重量級ダストカバーで耐ハウリング性を高めてある。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 日立のお家芸、ダイナハーモニーのアンプであるが、その割には、この価格で60W×2というスペックは、びっくり仰天するほどのもではない。細かいところに神経の配られたアンプだが、どうもその神経の配り方が、私がアンプに要求するポイントとずれている。たとえば、ボリュウムのアッテネート目盛りにライティングシステムを取入れているところなどは、大変なこりようだと思うが、そのわりには、レバースイッチの操作ノイズなどが大きく感触が安っぽい。そうしたことはともかく、肝心の音だが、あまり繊細なうるささを要求しなければ、なんでも適当な華やかさと、粘りで再現する効果音である。決して品位を要求する音楽の質の再現までは望めないが......。楽器のもつハーモニクス領域の再生が、あまりに大ざっぱなため、微妙なニュアンスや魅力が再現されないのが惜しい。残たゅうのイズは普通。トーンディフィートすると増えるというのは不思議だ。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 この新製品も、セパレート型パワーアンプ、HMA−8300に採用されたと同様な、ダイナハーモニーと名付けられた、E級動作のパワーアンプ部をもったプリメインアンプである。
 回路構成では、イコライザー段に、差動1段の初段をもつ3段直結型が採用され、2・3mVの入力感度にたいして1kHzの最大許容入力は、230mVである。トーンコントロール段は、高利得、高安定度のIC、HA−1456を使ったNF型である。パワーアンプは、差動2段をもった、4電源方式の全段直結高能率ピュアコンプリメンタリーOCLで、20Hzから20kHzにわたり、8Ω負荷で60W+60Wの実効出力があり、1kHzでは8Ω負荷で85W+85Wのパワーが得られる。
 ボリュウムコントロールは、32接点のディテントボリュウムと、−15dB、−30dBに切替わるゲインセレクタースイッチの組み合わせであり、12dBのローカットフィルター、6dB型のハイかっとフィルター、それに、高音と低音を補正するラウドネスコントロールを備えている。
 HA−630は、低歪率設計をシンボライズしたような、柔らかで、歪感がない音をもっている。音のキャラクターが少ないだけに、ダイナミックパワー320Wというパワー感は、聴感上ではさして感じられない。このアンプの際立った特長は、クロストークが抜群に少ないことである。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 パワーアンプがハイパワー化するにしたがって、消費電力は飛躍的に大きくなり、100W+100Wクラスでも、ピーク時には、1kWに近い場合がある。
 HMA−8300は、一般的にパワーアンプで使うB級増幅より、さらに電力変換効率が高いE級増幅を採用した200W+200Wのハイパワーアンプである。ローディーで開発されたE級増幅は、音楽信号の平均レベルとピークレベルの分布を調べた結果から、100Wのアンプを例にとると平均出力は約8Wであり、25W以上のパワーを必要とする時間は、1・4%しかないことをベースとし、これに見合う高能率アンプとして考えられたものである。基本回路構成は、並列、または直列接続のパワー段で、平均レベルでは、低電圧電源を使うパワートランジスターが動作し、任意に選択可能なレベル以上の入力にたいしては、高電圧を使うパワートランジスターが切替わり動作するタイプである。この方式は、さらに電源の数を増やせば、B級が理論的に78・5%の効率をもつこととくらべ100%とすることも可能とのことだ。
 HMA−8300では、高低2組の±2電源を使い、低価格でハイパワーを得ている。レベルメーターは、感度切替なしの対数圧縮ピーク指示型で、8Ω負荷630Wまで直読可能である。付属機能には、15Hzのサブソニックフィルター、大容量型スピーカーリレーなどがある。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 アンプの分野では、今年になって、目立つ傾向は、独立したコントロールアンプとパワーアンプを組み合わせて使う、いわゆるセパレート型アンプの発売が多くなってきたことである。
 この、HCA−8300は、ロー・ディー初のコントロールアンプで、高能率E級パワーアンプ、HMA−8300とペアになるモデルである。
 フロントパネルは、フラットフェイスのブラック仕上げで、オプションのキャリングハンドルを両側に取付けることができる。リアパネルは、入出力端子が傾斜した構造を採用し、入出力コードの接続が便利であり、入出力コードの保護を兼ねたコの字型アングルが両側にある。
 この製品は、価格としては、ローコストのモデルだが、機能、性能は、はるかに高価格なコントロールアンプに匹敵するものがある。まず、機能は、フル装備で、レベルつ調整可能なフォノ1入力、4連32接点ディテント型ボリュウム、左右チャンネル独立使用可能な高音と低音トーンコントロール、ヘッドフォン専用アンプ内蔵、それに、リードレール使用の電源ミューティングなどを備える。性能的には、初段FET差動3段直結7石構成のイコライザーは、400mVの許容入力と±0・2dB以内のRIAA偏差であり、トーン回路も初段FET差動3段直結アンプを採用した低歪、ローノイズ設計となっている。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 スピーカーシステムの新製品では、バスレフ方式の復活とともに、フロアー型システムが多くなってきたことも、最近の傾向といってよいだろう。
 HS−503は、トールボーイ型のエンクロージュアを採用したフロアー型の新スピーカーシステムである。
 エンクロージュアは、グレイのサランネットとブラック仕上げ塗装とのコンビネーションで、いわゆるモニターシステム的な印象がある。このエンクロージュアは、サランネット下側の部分が4本のネジで取外し可能な構造になっており、取外せばバスレフ型、スペーサーを介してサブバッフルを取付ければバスレフ型と密閉型の中間特性が得られるダンプドバスレフ型、さらに、フェルトパッキングのついたサブバッフルをエンクロージュア本体に固定すれば密閉型と、使用条件と好みにより3機種の変化をもたせることができる。
 ユニット構成は、ドロンコーン付と想われやすいが、ウーファーはギャザードエッジをもつ20cm口径のL−202を2本パラレルにしたツインドライブ型である。このユニットは、磁気回路にショートリングが付き、コーン紙にはラテックスが塗ってあり、歪を減らし、ボイスコイルボビンにはアルミを採用し温度上昇を抑えてある。トゥイーターは、比較的に口径が大きい7cmコーン型で、f0が低く、軽量コーン紙の採用で能率が高い特長がある。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 D5500Mと同等な、マイコンによる自動バイアス・感度・録音イコライザー調整機能を備えている点が、最大の特長である。この自動調整は、テープセレクターでテープの種類を選択後に動作させるタイプで、最適調整値は記憶させることが可能であり、バックアップ機能をもつ。音質は滑らかでキメ細かく、帯域の十分に広い素直な音である。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 MT202Eは、カンチレバーの支持機構に独得な宝石ピヴォット方式を採用しているのが特長である。マグネットには、サマリウム・コバルトを採用し、C型ヨークという新開発の磁気回路によるムービング・マグネット型のカートリッジである。
 聴感上の帯域バランスはかなりコントロールされているが、低域から中低域の質感が甘く、音の芯が弱いために、やや安定感を欠く傾向があるようだ。中域から中高域は粒子が少し粗い感じで、このクラスのカートリッジとしてはスクラッチノイズの質が問題になるかもしれない。ステレオフォニックな音場感は、壁の柔らかいホールで聴くように、拡がりはあるがベースやドラムスのような低音のエネルギーが多い楽器は距離感があり、ヴォーカルは、音像はクリアーに立つが、ハスキー調となり乾いた感じになるようだ。全体に、いま少し音に強さがあれば、フォーカスがピタリと決まりそうである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 Lo-D・HS90Fは、メタルコーンに発泡樹脂を充てんして平面振動板とした、Lo-Dのオリジナリティ溢れる製品。ウーファーは30cm、スコーカーは5cm、トゥイーターは2cm口径の3ウェイ構成。大型ブックシェルフシステムとして、物理特性は最高水準を示すし音も耳なじみのいいもの。
菅野沖彦

'81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「'81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 いかにもパワーアンプらしいメカニカルなコンストラクションをそのままカバーなしでまとめたもの。前面両端にがっしりとした取手がつけられている。左右シンメトリックなヒートシンクがデザインの決め手となる。剛性の悪いぺらぺらな天板などで興をそがれることがない、この行き方は個人的に好きなものだ。120Wの出力を持ち、余計なスイッチは一切ない。ついているといえばサブソニックフィルターだけ。重厚な雰囲気。

音質の絶対評価:7
菅野沖彦

'81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「'81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ステレオで100W+100Wの出力、モノーラル接続で200W出力のパワーアンプである。スピーカー切替スイッチ、BTL接続スイッチがついている。大きなメーターをデザインの基調としたもので、無難なまとまりを見せている。あまり高い剛性感は感じさせないし、価格相応の仕上げだと思うが、押し出しはなかなか立派であり、使う喜びは味わえよう。ノンカットオフ・サーキットを採用している。

音質の絶対評価:8
菅野沖彦

'81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「'81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 単体プリアンプとして、普及価格の製品だが、同社としてはプリメインアンプをラインアップしているのだから、あえて存在の必然性がうたがわしいと思う。外からみても、音を聴いても、これならプリメインアンプと違うのはスタイルだけという印象が強い。つまり、高級感や魅力は発見しにくいということで、総合評価としても苦しい。ユニークなデザインと使い勝手のオリジナリティでもあれば別だが......。

音質の絶対評価:5
瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 ピアノの強打音でも管弦楽のトゥッティでも合唱曲でも、決してやかましい音を出さないし、汚れのないきれいな印象の音を鳴らす。それはとても耳当りがいいのだが、しかしどこか耳たぶをくすぐられているような、どういう音も裏声で聴かせるような、一種不思議な独特の音色だ。それが、原音を何か色めがねを通して眺めるような、あるいは原音をプラスチックでそっくりコーティングしてしまったような、要するにもとの音の肌ざわりに直接触れえないようなもどかしさあるいはいら立ちを、おぼえさせる。以前HS400について似たような表現をしたことを思い出した。するとこれがLo−Dの音なのか。どんなプログラムソースでもどんなタイプのスピーカーでも、同じ色あいで鳴らすという点では、おそろしく自己主張の強い音質ともいえるが、決して粗野なところがないきれいな音だから、これでなくてはというファンもあるだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ローディ独特の3ヘッドファンクションを持ったカセットデッキで、録再のコンビネーションヘッドは同社の開発によるもの。このヘッドの量産化によって、この価格クラスにまで使えるようになったのであろう。縦型のコンポーネンツで、見た目には類型的で特にユニークさはないが、使い勝手はなかなかいい。なんといってもこの価格の製品で、録音再生が独立しておこなえる完全なモニター機構が得られることは大きい。
岩崎千明

週刊FM No.12(1976年発行)
「私の手にした新製品」より

 なんの前触れもなしに突然のように発表されたHS−450。期待が全然といってよいほど無かっただけに、受け取り方は、かえって素直にできるというものだが、決してオーヴァーないい方ではなく、この新製品にはびっくり。というのは、このHS−450。最近のLo−Dスピーカーよりもずっと抵抗なく身体を包んでくれるという感じの鳴り方だ。Lo−Dがハッスルしたスピーカーは、確かにとってもいい音だけど、それを素直に口に出すのに、ちょっとひっかかるような要素が、音の中にちらついていた。それがこのHS−450ではまったく感じられないのは、なによりも驚きだ。
 少なくとも外観からはここんとこ流行の、いかにも若いファン様々といったようなプロフェショナル志向むき出しを思わせるのが、ちょっとばかり気に喰わないけれど音の方は、そうではなく、どっしりした低域と、中域のスムーズなバランスとが完成度の高さを聴かせてくれる。どちらかというとシャッキリ、クッキリ型だった今までのに対して暖かみさえ感じられるくらいだ。密閉性の高い箱は極めて堅固に作られ、完全なる密閉型として動作してなおロー・エンドまで力強く出るのは、ユニット自体の質の高さによるものだ。スコーカーも注目すべき新ユニットだし、トゥイーターにも新しいテクニックがみられる。価格は安くないが、それに見合った内容というべきだ。アンブとしては例えばHA−500Fがよい。カチッと引きしまり力ばかり惑じられるような最近のアンプは避けること。
岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 ギャザードエッジスピーカーやダイナハーモニーという、新技術指向の非常に強い、そしてその成果が充分に認められつつあるLo-Dから出されているのが、このMT202Eだ。いかにも高級カートリッジらしい広帯域感が強く感じられ、全体の周波数特性の抑えがよく利いている印象を受ける。
 こうした高級カートリッジのもっとも大きな特徴である、スクラッチを充分に抑えた感じや、周波数特性をフラットにした感じを充分にもっている反面、高域の再生においてとぎすまされたような冷たさを感じさせるところもある。全体にやや無機的な音になる点も気になるところだ。ステレオ音場の再現性は良く、針圧印加の許容範囲も比較的良いといえる。使いやすく、性能的には文句ないところだが、いかにも高価格だ。

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