ビクターの最近のブログ記事

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 モノーラルコンストラクションで、二台揃えると価格も相当だが、さすがに音の質感のよさ、緻密さはローコストアンプとは違う。が、おもしろいもので、コントロールアンプにマーク・レビンソンのLNP2Lを組み合わせても、出てくる音にむしろビクターのアンプの性格で聴かせてしまうという面からみると、かなり個性の強い音、といえそうだ。コントロールアンプの(EQ)7070のところにも書いたことと共通しているが、総体に音に明るい華やいだ光沢をつける。それも音全体にというよりも音の輪郭を細い光の線でいろどるという印象で、そのためにいかにも切れ味の鋭さが目立ってくるが、基本的な音の質の高さと透明さゆえにそれを必ずしも嫌味に感じさせない。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 M7070と比較すると、これは価格も1/4になるのだからとうぜんかもしれないにしても、コントロールアンプの70703030の比較とよく似て、こちらはかなり音の切れこみの点で聴き劣りするのはやわをえないところか。ただ、コントロールアンプの場合は7070にくらべて3030が、やや時間を置いて聴いてもおそらくはっきりと聴き分けられるであろう程度の差のあったのに対して、パワーアンプの場合には、同時に聴きくらべれば、という程度の差には追い込まれていて、価格を頭に置いて聴くかぎりは国産として一応の水準には達している。欲をいえば7070のあのスカッと気持のいい切れ味や、彫りの深い立体感や透明感がもっと欲しいという感じ。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 一聴して基本的なクォリティの高い、よく磨き込まれた緻密さが聴きとれる。音の傾向自体はやや明るく軽く、たとえばオーケストラの斉奏でもディテールのひとつひとつがきらきらと細く光るようなところがあったり、弦楽器では倍音の方に耳の注意力をひきつけたり、アメリンクやキングス・シンガーズやテルマ・ヒューストンなどの声が総体に若づくりになる傾向を聴かせるが、音の支えがしっかりしているのでこうした聴こえ方は不快ではない。ただ音の透明感のすくれている割には、立体感や奥行きがもうひと息増すとなおよいという感じがあった。MCヘッドアンプは低域がやや薄くなる傾向があるがクォリティはかなり高く、中高域以上はかなり美しい音を聴かせた。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 EQ7070と見た目はよく似ているが、出てくる音はだいぶ違う。7070が明るく軽く透明な音のするのに対して、3030の音は逆に総体におっとりして、7070のような入力ソースに対する反応の早さをあまり感じさせない。音像の前にやや暖色系の薄幕をひいた感じで、総体に音の冴えが物足りなく、もっと透明感が欲しい。細部を見渡したい、という気持にさせる。そのせいもあるのか音像の並び方も平面的で、奥行きや立体感がもっと欲しい。内蔵のMCヘッドアンプも7070とはだいぶ違うらしくDL103Sの場合にはまあまあだが、MC20に対しては音を素気なくする傾向。7070とは価格の差がずいぶんあるのだから仕方ないかもしれないが。
瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 同じメーカーの製品だが、ローコストグループに出てきたHP660とは、デザインも構造も全く違うフラットダイナミック型だ。さすがに1万円を超えるクラスになると、ヤマハのHP1でもそうだったが、いろいろなレコードを聴いていて、バランス的にどこかおかしいとか、周波数レインジがせまいなどという欠点は殆ど指摘できなくなってくる。しかしやはりそこにビクターのトーンキャラクターに共通の、どこか華やいだ高域が聴きとれて、たとえばヤマハHP1よりも音場がいくらかひろがったような感じに聴きとれる。インピーダンスが公称65Ωと高めなので、ヘッドフォン端子とスピーカー端子の両方を試してみたが、スピーカー端子からダイレクトにとり出した方が、歪が少なく、鮮度の高い引締った音が得られた。かけ心地は悪くないが、本体がやや重い方なので、パッド圧が強く、長時間かけているとやや疲れそうだ。
瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 中〜高域に一種の華やぎの感じられる音色だが、バランス的には、どのプログラムソースに対してもどこかおかしいというようなことはもなく、周波数レインジも十分とはいえないまでも高・低領域によく伸びている。耐入力は十分あって、かなり音量を上げても音がくずれるようなことがなかった。ただ、この価格ということを頭に置かなくてはいけないのだろうが、どこか品位を欠く音色で、楽器のもっている音色の格調の高さが出にくいのは致し方のないところだろうか。ステレオのひろがりと定位はふつうだが、どちらかといえば「耳もとで鳴っている」感じが強く、音が耳もとを離れて空間に漂うようには鳴ってくれない。もうひとつ、イヤパッドの形が耳たぶをややおさえすぎる感じがあって長時間かけ続けていると疲労感の増す傾向のあることも、音を耳もとに意識させる一因かもしれない。デザイン的には、ヘッドバンドを含めて総体に大げさでない作り方は好ましい。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「JBL♯4343研究(2)より

 ここで価格ランクが一段変わる。このビクターと後のラックスが15万円クラスの代表ということになる。
 A−X9は新しい回路構成を採用し、外観のデザインも一新したビクター久々のニューラインの最高機種だ。このアンプは、わたくしのリスニングルームでの試聴では、かなり個性的な音を聴かせた。もちろんいままでに聴いたマランツ、アキュフェーズ、トリオ、それぞれに個性を持っているのだが、その中にまぜても、ビクターは一種独得な音だと思わせる個性をもっている。具体的には、同じレコードでも音の表情、あるいは身振りをやや大きく表現する。別な一面として、鳴ってくる音に一種独得な附帯音──この表現はとても微妙でうまく言い表せないのだが──というか、プラス・アルファがついてくる印象がある。「魔法使いの弟子」で、フォルティシモの後一瞬静かになってピアニシモでコントラファゴットが鳴り始める部分、このレコード自体にホールトーンあるいはエコーが少し録音されているのだが、そのエコー成分が他のアンプよりはっきりと意識させられる。このアンプには、エコーのような、楽音に対するかくれた音を際立たせる特徴があるのかもしれない。「ザ・ダイアログ」でも、シンバル、スネアー、ベース......多彩な音が鳴った時、それらがリアルに目の前で演奏されているというより、少し遠のいた響きのあるステージで演奏されているかのように再現される。ことばにするとオーバーなようだが、これは他のアンプでもいえることで、本当に微妙なニュアンスの問題だが、それにしてもわたくしには、独得な雰囲気感がつけ加わっている不思議な音、と受けとれた。あるいはこういう音は、極端にデッドなリスニングルームで聴くと、評価が高くなるのかもしれない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 本格的ブックシェルフの代表的構成をもち、透明度が高く素晴らしい奥行き感、ステレオ感を再生してくれる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 30cmウーファーと38cmドン論コーンを使ったスーパーウーファーで、別売のアクティブフィルターとの併用により豊かな超低域再生が可能なものだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 リボン型トゥイーターを採用した3ウェイシステムだが、SX7IIに共通する透明度の高い音が魅力。品位が高く表現力の大きなスピーカーだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 トゥイーターはソフトドームを使った、ブックシェルフ型の代表といっていいロングライフのものだけあって、リニアリティもよく、本格的な再生にも小音量で鳴らすにもいいスピーカーだ。音のタッチに明確な実感がある。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶより

 カセットのポータブル機は、移動使用をするためにカセットハーフが360度内の立体的な位置の変化、さらに外部振動にも影響されずに安定した走行性が要求されるため、オーディオ用としても音のクォリティを条件とすると小型化は至難というほかはない。
 現在の平均的なポータブル機の重量は約4kgであり、外形寸法も大きく、これをもって野外の録音をしようとすると、ある程度以上の心の準備が必要である。もっとも典型的な肩掛け使用をする場合には、物理的な重量ももちろんであるが、肩掛け用ベルトの幅や材質、それに外形寸法では、横幅と厚さが感覚的な重さに直接関係をもつことを体験する。たとえば、横幅が狭く厚さが薄いほど心理的にも感覚的にも重さが軽減されるようだ。
 現在のポータブル機のなかで、気軽にポータブルならではの楽しみを味わうための製品としては、価格も併せてソニーTC2220が唯一の存在である。小型・軽量で、オートマチック録音機能を備え、電池の消耗も神経質にならないだけの寿命がある。また、音質的にも十分であるが、この製品に限らず、再生には高級デッキを使用すると予想以上の結果が得られるのは、ポータブル機使用の常識といってよい。
 やや価格が上がると、ビクターKD2がある。モニタースピーカーを除き、スーパーANRSを備えた機能と、ラフに使えるボディの仕上げが、いかにも実戦派といった印象である。電池寿命は長く、音質、走行性能、再生能力は、コンポーネント型の5〜6万円台に匹敵する汎用機である。
 10万円前後の価格になると、新しいソニーTC−D5が超小型、軽量機として最近のポータブル機の話題を集めている。単1型2本使用でもアルカリタイプなら5時間の録音が可能であり、自動テープ選択、ヘッドフォン専用レベルコントロールなどの機能を備えた、いわばTC2220の高級機だ。また、走行性、音質ともにコンポーネントシステムの常用デッキとして十分なものがある。
 テクニクスRS686Dは、ほぼフル機能をもった小型の高級機である。とくにイヤホーンでモニタできる実質的な3ヘッドならではの魅力は、一発勝負のポータブル機に必須なものだ。このデッキは電源の寿命がアキレス腱であるが、オプションの単1型7個使用のパワーパックを併用すれば、その大半はカバーできる。操作は、走行性が優れ、音質も滑らかでキメ細かいクォリティの高さが感じられるものだ。
 特別ランクは、ウーヘルCR210である。趣味性を加えると依然としてトップランクの存在である。実質的にはもっともスペースファクターが優れる。操作性は抜群であり、走行性は平均的に留まる。録音優先型の設計のため、再生には是非ともしかるべきデッキを使いたい。その音質は欧州系小型スピーカーに似た独特の魅力がある。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

優れた機能と性能をもったマニア向けポータブル機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質の優秀性は単に物理特性の達成を越えた出来栄え。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

トレースの安定性、多種カートリッジへの適応性等実用性の高い製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインは個性が強いが性能と対応性は最高度の製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

基本設計を着実にリファインしつづけて得られた緻密で高品位の製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

外観、内容ともに高品質、高性能の価値の高い中級機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ウォームで力強い立体的音響は自然なタッチの音を再現。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて小味にまとめられた緻密さが魅力の製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

肌ざわりのいい質感が優れた特性に裏づけられた使いごたえのある製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナリティとその数回にわたるリファインにより独自の存在。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

コンパクトで、レベルセッティングをしやすい機能は際立った存在。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

魅力のスーパーANRS装備のタフネスさを誇る実用デッキの代表作。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

パノラミックディスプレイ採用の斬新さと優れた音質が魅力である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

リーゾナブルな価格で、カセットデッキのマスターとして使える魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

幅広くカートリッジに対応し、個性を引き出す信頼性の高さは抜群。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質が優れたフォノモーターとして、その定評の高さは抜群である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ダイレクトカップリングの魅力を感じさせる鮮明さが個性的である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

定評ある技術を結集した価格を感じさせぬ性能と音質が魅力的である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独特のチューニングを施した活気のある高いクォリティの音が特長。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

シンセサイザーチューナーとしてオーソドックスにつくられた実力派。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新方式検波回路をもつローコストの超高級機。ノイズの違いがわかる。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

シャープで透明感があり、表情が生き生きとした同社の最高級機。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

力強く安定した低音をベースに活気のある音は同社ならではの魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

超薄型パネルにフル機能を装備し、活気ある音を聴かせる野心作。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独特のシャープで解像力の優れた魅力をもつ現代アンプの代表作。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

同じ兄弟としてつくられているが、S55の流石に上級らしさがある。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

柔らかく豊かなサウンドに感じられる活気は、やはり血統である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ソフトドーム型で、活発な表情をもつクォリティの高い製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

使用範囲がオーディオをこえたロングセラーぶりは異例ともいえよう。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

小型同軸モニターのジャンルに挑戦したユニークさが特別の魅力だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

2度の改良を経て完成度を高めた、内容の濃い同社の中級機。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質の良いDDモーターの一つ。ゴムシートに埃のつきやすいのが難。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質で定評ある製品のオートアップ化。やや大ぶりな点はいま一息。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

2回の改良で、ローコストグループの中でもとりわけ熟成度が高い。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 Zero3は、新シリーズとして最初に登場したZero5、平面振動板採用の4ウェイ構成のZero7に続く、第3弾の製品である。基本構成は、上級機種のZero5を受け継いだ25cmウーファー使用の3ウェイ型であり、4万円台の価格帯に最初にリボン型トゥイーターを採用したシステムであることが注目される。
 ウーファーは、振動板面積の25%を占めるエッジの悪影響を避ける目的で、ユニークなシールデッドエッジ採用に特長がある。新開発アルファーコーンは、周辺部の強度を高めるリブ構造。マグネットはストロンチウムフェライト磁石採用である。口径7cmコーン型スコーカーは、紙の両面に無電解金属メッキをしたメインコーンとセンタードームにチタンを使った複合型で、紙と金属の利点を併せもつタイプだ。トゥイーターは、独自のダイナフラット・リボン型で、振動板は10μ厚ポリイミドフィルム面に15μ厚のアルミ箔を融着し、ストロンチウムコバルト磁石閉回路方式磁気回路と組み合わされ、振動板前面にはショートホーンが付く。エンクロージュアはバスレフ型、左右対称のユニット配置だ。
 本機は小型ながら低域レスポンスが伸び、分解能が優れた中域とキャラクターが抑えられ透明感のある高域が巧みなバランスを保ち、この価格帯として抜群のクォリティであり、上下指向性も大変によい。
井上卓也

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 独自性豊かなビクターのスピーカー技術の、文字どおり集大成といえる内容の濃い製品である。
 システム全体の構造から考えれば、底板部分が他の部分と同様に仕上げられているために、六面化粧仕上げのいわゆるブックシェルフ型の分類に含まれるが、独自の非常に独創的な構造を持つベースブロックと、準独立構造の4本の脚部を組み合わせた、中型フロアーシステムというべきモデルだ。この構造は、一見すれば、単純な発想として軽く受け止められているようだが、スピーカーわかる一部の人にとっては、相当にショッキングな内容を含んだ考え方であった。
 なぜなら、現実のスピーカーシステムの設置では、床との相関性をどのように考え、コントロールするかが、最大のテーマであるからである。その結果が、そのスピーカーシステムで聴くことができる、音楽性を決定する部分なのだ。
 SX1000LABのスピーカーと床面との間に介在する、いわゆる、スタンドと呼ばれる部分は、重量級の分厚い木製ベースが床面を安定化するアブソーバー的に働き、かつ、本体、底面と床板面に生じる定在波の影響を抑えようとする構造である。
 このブロックには、4個の円筒形の穴が開いていて、円柱状の4本の脚で、ほぼフリーな状態で本体を支える構造。円筒形の穴の内壁は厚いフェルトが取り付けてあり、各ブロックの相互干渉が少なく、かつ、固有の共振や共鳴が生じ難い特徴を備えている。当然のことながら、スピーカーシステム本体は、底板のサイズさえマッチしていれば、他のスピーカーシステムとの組合せでも固有音の少ない音が聴かれるはず。硬い木材や鉄材を組み合わせ、スタンドの固有音を積極的に活かす設計が多い海外製スタンドとは、完全な逆転の発想である。
 ただし、スピーカー本体の基本設計が、かなり高次元でないと、好結果を期待したとしても、逆にスピーカー自体の弱点を露呈する厳しい構造といえる。
 ユニット構成は、アナログディスクのプレス技術を基盤として開発した独自の振動板材料を使うコーン型ウーファーと、異なった製造方法によるダイアモンド振動板採用のドーム型の中域/高域ユニットによる3ウェイ。重要なネットワーク系の巧妙なレイアウト、内部配線材の吟味、ビクターが独自開発したエステル・ウール吸音材などを、かつては、カットモデルで見ることが可能であった。
 エンクロージュアは準楕円断面を採用し、各部の2次反射を巧みに調整したもので、独自の空間表現を備えている。なお、表面仕上げは非常に凝ったカナディアンメイプル材と丹念な塗装技術によるもので、同社の木工技術の成果を示す。
 豊かな時代の豊かな感性を聴かせる名作であり孤高の存在だ。
井上卓也

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 小口径フルレンジ型ユニットに、ボイスコイルそのものを抵抗分として直列に使用して低域再生能力を高めるという独自の設計を施し、これにスーパートゥイーター的な高域ユニットを加えたユニークなシステムが、ビクターSX−V1Aである。アルニコ磁石採用のウーファーとトゥイーターは真鍮ベースに組み込まれ、エンクロージュアはサブバッフルにVDE/2針葉樹系高密度材、その他は無垢マホガニー材採用と、小型ながら超豪華設計で、専用スタンドと組み合わせて、想像を超える豊かな音楽性のある音が楽しめるシステムだ。反応が速く鮮度感の高いスピーカーを活かすためには、同社のXL−V1/CDプレーヤーとAX−V1プリメインアンプがベストマッチだ。フロントパネルとボンネットを一体化した見事な筐体と、物量をふんだんに投入した設計は、クォリティが抜群に高く、趣味としてのオーディオを、大人が楽しむためにふさわしい組合せ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

オブリ型ドームをトゥイーターに採用し、20cm口径ウーファーとの2ウェイでまとめられた中型のブックシェルフシステム。この大きさとしては異例のワイドレンジ感と情緒的な音の魅力を兼ね備えるものだ。500シリーズ初のバスレフ・エンクロージュアのチューニングが成功している。
黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 くっきりと音の輪郭を提示することをまず心がけたスピーカーといえるかもしれない。したがって、サウンドの微妙な表情は、感じとりにくい。❷のレコードでの、うたうグルダの、なかばかすれた声は、まろやかに、つまりあたりまえのものにきこえてしまう。しかしその反面、たとえば❸のレコードでのティンパニの音とか低音弦のひびきとかの、ひとことでいえばエネルギー感の必要な音への対応は、なかなか見事だ。ただ、そういう強い音への対応のこのましさは、多分、個々のサウンドへのさらにシャープな反応が可能になったときに、よりはえるということはいえるにちがいない。その鋭敏さということでいくぶん不足するところがあるので、❶のレコードできける音楽などは、もったりした印象のものにならざるをえなくなる。その点が改善されればさらにアトラクティヴなスピーカーになるだろう。

総合採点:7

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(物足りない)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(好ましい)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(好ましい)
黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ひびきの質は、むしろ重めだ。そのためにひびきの輪郭は、くっきりと示される。そのくっきりと示される輪郭が、おしだされるように示される傾向がある。❷のレコードでの強打されるピアノの音、あるいは❸のレコードでの低音弦の動きのあいまいさのない提示は、このスピーカーのもちあじが発揮されたためのものといえよう。ただ、❶のレコードでは、ききてとしては、どうしても音場感の面でひろがりがほしいところだが、その点での提示では、このスピーカーは、あまり得意でないようだ。それで、いくぶん全体におしつまったというか、せせこましいきこえ方がする。同じことは、❸のレコードについてもいえて、オーケストラのひびきがもう少しひろびろと示されてもよさそうだが、そうはならない。しかし、個々の音の基本エネルギーは、このランクのスピーカーとしては、せいいっぱい示そうとしている。

総合採点:7

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(物足りない)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(好ましい)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)
瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 たいそう質の良い音がする。ことにバランスが良い。たいていの国産は、クラシックのシンフォニー等でどうしてもコンサートホールで聴くあの自然な柔らかい響きの美しさが出にくいのだが(輸入品は、ほんの安ものでもそこが鳴らせるというのに)、SX7IIは国産として、妙な話しだが例外的と言いたいほどで、ブルックナーを鳴らしてみてもようやく国産で聴ける音にめぐりあえたという感じすらある。弦のユニゾン、ヴァイオリンのソロ、そして総奏の響きのよさ。極上の音を望むのはまだ無理としても、ふとテストする姿勢をくずしてしばらく聴き続けたい気持を起させるというのは、それだけでも十分に良いスピーカーと断言していい。大切なことは、この音でポップスやロックや歌謡曲を聴いても、やはり十分に上質の音楽が味わえるという点だ。柔らかい音だがふやけていない。こういう音は、組合せでことさら嫌う音の製品が少なく、それぞれの音の特長をうまく生かす。

総合採点:9

音域の広さ:8
バランス:8
質感:8
スケール感:8
ステレオエフェクト:8
耐入力・ダイナミックレンジ:7
音の魅力度:7
組合せ:普通
設置・調整:普通
瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 独特のトゥイーターの音色を、やや意識させる傾向に強調してあって、たとえばブルックナーの交響曲でも、また逆にベラフォンテの古い実況録音盤のような場合でも、つまりかなり傾向の異なるプログラムソースのいずれの場合でも、一種キラキラした固有の音色が聴きとれる。たとえばシンバルはシンシンというような感じ、そして弦の場合でもヴァイオリンの上音でときたまシリンというような感じのやや金属性の音がつきまとう。トゥイーターレベルを0から−3までのあいだで調整すると、この傾向はいくぶんおさえることはできるが、エラックの新型のような中〜高域のきつめのカートリッジでは、どうもうまくない。中音域以下では、たとえばキングズ・シンガーズのバリトン、バスの声域で、置き方をよく調整しないと、やや風呂場的響きに近くなりやすい。総じて味つけの濃い、わりあい個性の強いスピーカーだと思った。

総合採点:7

音域の広さ:7
バランス:6
質感:6
スケール感:7
ステレオエフェクト:6
耐入力・ダイナミックレンジ:7
音の魅力度:5
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:普通
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 独特の透明感・プレゼンスのよさは私が高く評価していたものだが、今回の試聴ではそれが目立っては感じられなかった。どういうわけだか判然としない。試聴条件のためか、この製品について特にそうなのか、あるいは他製品との相対的な印象でそうなったのか......。試聴感は決して悪いものではなかったが、思っていたほどよくなかったというのが正直な感想である。しかし、全体のバランスといい明解な音像再現能力といい、良い点はたくさんある。かなり大音量再生を試みても安定した力感を楽しめるという能力の大きさは、やはり優れたスピーカーだと思う。ただ、外国製品の優れたものと比較せざるを得ない今回の試聴条件では、音色の再現能力に限界があって、もっと瑞々しくほれぼれするような音であるべき演奏の魅力が、十二分には発揮されない嫌いがあった。レコード音楽愛好家としては、それがたとえスピーカー固有のものだとしても、そこから聴こえる演奏と一体化した音色の音楽的愉悦感を否定できるものではない。

総合採点:9
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 30cmコーンスピーカーをウーファーとして、スコーカーに10cmコーン、トゥイーターにはリボン型を配した3ユニット構成の3ウェイシステムである。エンクロージュアは、ブックシェルフタイプのバスレフ型だ。なかなかよくまとまった、明るい音色をもったシステムである。ヴァイオリンで、トゥイーターの高音域が、やや異質なキャラクターを鳴らしたが、これは、大方の音楽でハイエンドの味つけとして生きる場合が多く欠点とはいえないとも思う。バランスがよくとれているし、各ユニットの音色も、ほんのり甘美で、暖かく、音楽を無機的に冷たくすることが決してない。編成の大きなオーケストラのトゥッティも、テクスチュアもよく緻密に再現するし、プレゼンスの豊かな、ソノリティに量感もある。ジャズも、かなりのハイレベル再生でも安定し迫力も満たされるし、個々の楽器の特質や、演奏表現もまず、不足はない。これで、音楽の品位に負けなければ文句なしだが、この甘美な音色はどちらかというとポピュラー系向きだ。

総合採点:8
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 インピーダンス30ΩのMC型専用ステップアップトランスである。トランス一次巻線は性能向上のためにタップのない専用設計で、磁気歪を低減する純アルミ製ケースの内部には、2個のトランスを左右独立してフローティングし、配線も左右分離し、機械的振動による混変調歪、クロストークを減らす構造が採用してある。付属のPASSスイッチは、可動片、固定片ともに銅接点を使用し特性変化とロスが少ない。ケース内部の配線材は、音質チェックで好結果が得られた無メッキ銅線、出力コードはトランス側は固定され、先端のプラグ、本体の入力ジャックは金メッキだ。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近注目を集めているMC型カートリッジのなかでも、発現のメカニズムが大変ユニークな製品として高い評価を得ているMC1に続く、ビクター第2弾のMC型カートリッジの新モデルである。
 発電方式は、タテ型の磁気回路を採用し、カンチレバー先端のスタイラスに近接した位置に取付けられたマイクロコイルを使って発電するビクター独自のダイレクトカップル方式で、MC1で開発されたものだ。
 マイクロコイルは、IC製造技術を応用し、ウエハー(基板)上に蒸着された導体をフォトエッチングしコイル状としたもので、重量も200μgと巻線型コイルにくらべ数十分の一以下と超軽量であり、かつ空芯コイルであるため磁気歪とは関係がなくなる利点をもつ。この超軽量コイルの開発で、カンチレバー先端部にコイルを置くダイレクトカップル方式の採用が可能となったわけだ。この方式は、針先とコイルが近接しているため一体で振動し、特性がフラットで位相遅れが少なく、コイルが針先に近いため、カンチレバー、ダンパーの温度変化の影響が少なく安定した性能が得られる特長がある。
 磁気回路には、サマリュウムコバルト磁石と鉄・コバルト合金のパーメンジュールを使用し、高磁束密度を得ている。
 MC2Eは、周波数帯域を10〜25、000Hzに設定してあるため、針先は特殊ダ円針となっている。出力は0・2mV、針圧は1・5g。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 昭和47年にはじまったSX3以来のビクターのSXシリーズは、完全密閉型のエンクロージュア形式を採用した、いわゆるアコースティック・サスペンション方式と中域以上のユニットにソフトドーム型を採用した典型的なブックシェルフ型システムである点に大きな特徴がある。最近では、ブックシェルフ型のエンクロージュアにバスレフ型を使用するタイプが増加し、ブックシェルフ型は完全密閉型のエンクロージュア形式が主流であるとした時期は、すでに過ぎた感がある。しかし、アンプ関係の性能が急激に向上し、一方、プログラムソース側のディスクでもダイレクトカッティング、PCM録音などに代表されるグレイドアップがおこなわれていることを背景にして考えると、本来のスペースファクターが優れたメリットをもつ高級ブックシェルフ型、それも現在にいたるブックシェルフ型全盛期に得た技術、ノウハウ、新素材を投入した新しい時代の製品の登場は期待されていたものと考えられる。
 今回発売されたスX7IIは、SXシリーズトップモデルとして定評が高く、すでに約4年半のロングセラーを続けてきたSX7の設計思想を受継ぎながら、内容的には完全にユニット単体からネットワーク、エンクロージュアのユニット配置にいたるすべてを一新した新製品だ。
 SX7とくらべると、30cmウーファーは、フレームのダイキャスト化、マグネットの強化、ボイスコイル径の大型化、ダンパー材質の変更がある。ドーム型スコーカーでは、フレームのダイキャスト化、ボイスコイルに純アルミ・エッジワイズ巻とボビンをアルミ材に変更、バックチェンバーの容積の増大などがあり、トゥイーターもフレームのダイキャスト化、ボイスコイルの軽量化と磁気回路のギャップを狭くしての磁束密度の増加などがある。
 ネットワーク関係では、トゥイーターのローカット、スコーカーのハイカットとローカットにエポキシ樹脂で固めた空芯コイル、スピーカーユニットと直列に入るコンデンサーに3種類のメタライズドマイラー型の使い分け、配線材に無酸素銅の使用などがあげられる。
 エンクロージュア関係では、ユニットの配置を左右対称型とするとともに、相対的位置の変更、バッフルボードとリアボード材質をダグラスファー合板からダグラスファー・ランバーコア材への変更がある。
 30cmコニカルドーム付ウーファー、7・5cmソフトドーム型スコーカー、3cmソフトドーム型トゥイーターのクロスオーバー周波数は、450Hz、4kHzで、インピーダンスは4Ωである。
 SX7IIは、スムーズに伸びた周波数帯域をもち、音色が明るく、かなりダイナミックな音を聴かせる。ソフトドーム型は立上がりのシャープさに問題があることが多いが、十分に見事な印象であり、音場感もスッキリと拡がり定位も明瞭だ。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 大型バスレフ・エンクロージュアに強力型の38cmウーファーを組込んだシステムで、スーパーウーファー方式と一般的なマルチウェイ方式のウーファーの両方に使用する目的で開発された製品である。
 ビクターから指示されたスーパーウーファーの使用法は、チャンネルデバイダーCF7070の90Hzのクロスオーバー周波数でメインシステムと分割し、さらにグラフィックイコライザーSE7070の25Hz、45Hz、50HzをMAX,他をすべてMINとしてパワーアンプを通して、IK380をドライブするというものだ。この例に従って使用したIK380は、音色が比較的軽く、明るい低音が得られ、同社のS300クラスに好適のスーパーウーファーシステムと思われる。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 なかなか積極的だ。奥の方でひっそりとひびかせるというより、前の方に押しだして、そこで明るくひびかせようとする傾向がある。力の提示にも不足していない。ひびきそのものはあたたかい。決して寒色系ではない。したがって、あたたかい、あるいはまろやかなひびきを持ち味とするカートリッジと組みあわされたときには、そっちの方向に走りすぎて、音像を肥大させかねない。
 こう書いてくると、いかにもくせの強いプレーヤーシステムのように思われかねないが、そうではない。むしろ、積極的にカートリッジのキャラクターをいかすタイプのプレーヤーシステムというべきで、ただ、場合によっては、スギタルハオヨバザルガゴトシになることもないということだ。
 積極的だということは、力強いひびきへの反応にもすぐれているということで、それは、このプレーヤーシステムのきかせる音がしっかりした土台の上になりたっているからと考えることができるだろう。ひびきが幾分肥大しても、ひびきの輪郭があいまいにならないというのは、いいことだ。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 とりわけデンオンDL103Sでの結果がいい。そこでこのプレーヤーシステムのたしかさがあきらかになったと考えることができそうだ。すっきりとしたひびきで、ききてに、細部への見通しを可能にする。オルトフォンMC20というカートリッジには、むろんすばらしいところは多々あるが、プレーヤーシステムによっては、その美点より欠点をあきらかにしてしまい、音像を大きくし、低域のひびきを過度にふくれさせてしまいかねないのだが、ここでは、そういうことがない。たしかに、ほかのふたつのカートリッジに較べて、音像は大きくなりがちだが、むしろこのカートリッジの美点の方が、勝っている。
 音のおさえがいいというか、あいまいにならないというか、つまり、性格としては、積極的だが、はりだしすぎたりしないところに、このプレーヤーシステムのよさがある。さらに望めば、定位のエネルギー感の提示といった点で、いま一歩と思わなくもないが、きこえ方のバランスがいいので、すくわれている。なかなか魅力的なプレーヤーシステムというべきだろう。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


 このカートリッジは、このプレーヤーシステムに、あまりあっていないかもしれない。音像はふくれぎみで、そのために鮮明さという点で、多少ものたりなさを感じなくもないからだ。


デンオンDL103Sで聴く

 このプレーヤーシステムの明るい性格と、このカートリッジの冷静なキャラクターがうまくマッチしたというべきだろう。あいまいにならず、くっきりしたひびきをきかせる。ひびきのゆたかさへの反応もいい。


シュアーV15/IVで聴く

 いきいきとしたひびきが魅力だ。音像は幾分大きめだし、ピッチカートのひびきなどもふくれがちだが、ひびきが陽性のためか、さして気にならない。たっぷりしたひびきだが、ひびきの輪郭はあいまいにならない。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


オルトフォンMC20で聴く

 このカートリッジのよさをあきらかにしている。なめらかで、いきいきとしている。総じて、ひびきは、シュアーV15タイプIVのときより、積極的に前にはりだしてくる傾向がある。


デンオンDL103Sで聴く

 音像はきりっとひきしまっている。誇張感はない。たとえば声などは、もう少ししなやかでもいいと思うが、徒らにふくらまず、すっきりしているのはいい。ひびきの明るさもこのましい。


シュアーV15/IVで聴く

 音像が小さく、すっきりひろびろとした音場感は、特徴的で、このましい。ひびきのこくとか、つや、それに厚みといったことでは、もう一歩だが、独特のさわやかさがあっていい。

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターの7070シリーズは、単なるセパレートアンプの分野にとどまらず、周辺機器までを含めたシステムプランにより開発されたユニークな製品である。すでに、このシリーズではグラフィックイコライザーSEA7070、エレクトロニッククロスオーバーCF7070が発売されているが、今回、イコライザーアンプEQ7070、モノ構成パワーアンプM7070、FMシンセサイザーチューナーT7070、プラズマインジケーターDS7070がシリーズに加わり、充実した製品のラインナップとなった。
 EQ7070は、フォノイコライザーの名称をもつようにディスク優先型のプリアンプで、必要最少限度の機能のみを残した単純機能のプリアンプであり、トーンコントロールはシリーズ製品のSEAを併用することになる。機能は、2系統はMM/MC切替可能となっている3系統のフォノ入力、AUX、チューナーの入力切替、2系統のテープモニタ、CとRのカートリッジ負荷切替などを備える。
 MCヘッドアンプは、エキストラ・ローノイズFET採用のICL−DC構成で高SN比をもち、イコライザーアンプは、初段FET同相帰還ダブル差動定電流負荷のICL−DC構成、フラットアンプは初段FETシンメトリー・プッシュプル・ドライブ型ICL−DC構成である。
 M7070は、モノ構成の完全なDCアンプである。電源関係を重視した設計であるために、A−B独立電源のBクラス動作をするパワー段には、一般の商用電源を一度DCに整流した後に数10kHzのパルスに変換し、高周波用トランスで変換してから再び整流してDC電源を得るDクラス電源に、制御系にPWM方式を用い応答速度を高めた定電圧電源が使用されている。これにより、電源の内部インピーダンスを高域まで非常に低くすることが可能となり、電源のレギュレーションは、理想の電源と言われた蓄電池をしのぐものとしている。
 この強力な電源をベースとして、パワー段には高域特性が優れた素子として注目されているパワーMOS FETを採用し、100kHzにおいても120Wの実効出力を、0・02%の高調波歪率で得ることに成功している。
 フロントパネルには、12ポイントのLEDピークパワーインジケーターを備え、0・3Wから200Wまで表示可能であり、入力調整、ヘッドフォン端子、スピーカー切替を備える他にプロ用機器としても使用するために、キャノンコネクターをもつ。
 EQ7070とM7070の組合せは、現代アンプらしい伸びきったfレンジと粒子が細やかで透明感のある音をベースとし、反応が速く十分にエネルギー感がある充実したサウンドで、ソフトドーム系や、古いタイプのスピーカーに積極的に働き、活気ある音として聴かせる。
井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 セパレート型アンプの2020シリーズを基盤として開発されたプリメインアンプで、ビクターの中心機種の位置にある。構成は、イコライザー、トーンアンプがA級動作のDC構成、パワーアンプがDCアンプのトライDC構成で、電源は、A−B独立型、対数圧縮型パワーメーター、フロントパネルのテープ入出力端子が目立つ。
 このモデルは、最新アンプ共通の歪感がなくfレンジが広い、滑らかな粒子の細やかな音をもつ。ビクター製品らしく、音色が明るく、中域に十分な厚みが感じられるのが魅力のポイントである。
井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 トーンアーム単体は、使用カートリッジの種類によって簡単には決めかねるものだ。軽針圧型から重針圧型まで幅広く対応させるためには、軸受構造もオイルダンプやナイフエッジよりは一般的なジンバルが好ましく、慣性質量も中庸をえたタイプがよい。この点ではUA7045は、長期にわたる使用経験上も各種カートリッジの特長を、それなりに素直に引出すのが最大の美点であり、明るく伸びやかな音は使いやすい現代的な魅力である。
井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 A級増幅の低歪とB級増幅の高能率を両立させた独自のスーパーAクラス方式に加えて、新しくピュアNFB方式を採用した、実力派のプリメインアンプ。兄貴分のA−X7Dの安定感のある魅力もさることながら、このX5Dのシャープでキビキビとした反応の早い音は、このクラスのトップランクだ。伝統的な音場再生のセオリーにのっとった、ディフィニションが優れ、明快な音像定位と、パースペクティブの再現力は試聴上の本機のポイントである。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターのブックシェルフ型は、主流を占めるラインナップに完全密閉型のエンクロージュアを採用している点に特長がある。
 今回発表されたSX55は最近のこの種のシステムがバスレフ型エンクロージュアを採用する傾向に反し、完全密閉型の特徴を活かしながら、より音色を明るくする方向で開発されている。ユニット構成は、上級モデルのSX7/5と同様に、3ウェイ方式であり、30cm型ウーファーには、SX7と同様にコニカルドームが付いたコーンを採用しているのが目立つ。スコーカーとトゥイーターは、ソフトドーム型で、このタイプの利点である指向特性が優れ、音が緻密であることを活かしながら、明るく、伸びやかな音とするために、振動板材質をはじめユニット全般にわたり再検討が加えられているようだ。なお、スコーカー、トゥイーターともに、振動板の保護を兼ねた、放射状に置かれたフィン型のディフューザーが採用されている。また、発表されたインピーダンスが4Ωであることは、実際の使用では見かけ上の出力音圧レベルを上げるために効果的と思われる。
 聴感上での能率は予測したようにかなり高く、音に一種の精気を感じさせている。各ユニットのつながりはスムーズで、完全密閉型らしい厚みのある低域をベースとして、緻密さがありスッキリと抜ける中音、高音がクォリティの高さを感じさせる。効果優先型の音でないのが好ましい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 はからずも? パイオニアの8900IIと同価格、同データのアンプが、このJA−S75である。音質は、このアンプのほうがオーソドックスだという気がするが、裏返せばパイオニアのほうが、あらゆるソースのアラをかくして、音楽をそれらしく効果的に鳴らす魔力では勝っている。音のクォリティは、こちらのほうが落着いていて、長い間に飽きはこないと思えるのであるが、弦楽四重奏やオーケストラのトゥッティでの高弦のフォルテにおいての乱れが、やや耳を刺す。これは、レコードやカートリッジの段階での問題かもしれないのだが、アンプによっては、その乱れを巧みに馴らして耳障りな響きをおさえこむものがあるので、聴感上、実態の把握は難しい。残留ノイズは抜群に低く、多分ツインボリュウムによるのだろうが、しぼりこんだ時のノイズは高能率のスピーカーでも皆無に近い。トーン回路挿入時の音色の変化は少なく、総合的に優秀なアンプであった。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 大変オーソドックスな響きを聴かせてくれるアンプだ。以前に他の機会にこのアンプを聴いた時には、もっと豊潤な、魅力を感じさせる音だという印象だったのだが、今回の試聴では、そうした効果的な響きがなく、ある面、物足りなさを感じさせる音であった。スペンドールBCIIでは、この傾向が強く出て、魅力に乏しく、音楽の楽しさが生きてこないようで、JBL4343では、オーソドックスなよさが、端正な再生を可能にしてくれる。このクラスの製品としては実際に組み合わせられるスピーカーなどの価格的制約を考えれば、もう少し、美しいと感じさせる音を持ったアンプの方が圧倒的に多いし、その必然性もあるだろう。このアンプは、今回聴いた限りでは、大変真面目な音に徹していて、総合的には高く評価できるように思われるが、現実には商品性の難しい立場にある。一言にしていえばあきのこない音だ。聴感上のSN比は大変優れ残留ノイズは極少だ。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターのクォーツロック方式のダイレクトドライブ・ターンテーブルは、すでに、TT101、TT81の2モデルがあり、特長あるデザインと高い性能、とりわけ音が良いターンテーブルとして、高い評価を得ているが、このシリーズの第3弾製品として、今回、大幅にコストダウンされたTT71が発売され、同時にこのターンテーブルを使用したプレーヤーシステムQL7Rも発売された。
 TT71は、デザインが上級モデルの特長がある感じから、単体のフォノモーターとしては、オーソドックスな印象の円盤状のタイプに変わっている。ターンテーブルは、外周はストロボパターンが刻まれた直径31・3cm、重量2・2kgのアルミダイキャスト製で、慣性質量は、350kg・㎠ある。駆動モーターは、TT81と同じDC型12極・24スロットFGサーボモーターで、1回転に180個のパルスを発生するFG型速度検出機構をモーターユニットに内蔵している。このタイプは、起動特性、動的な耐負荷性、ワウ・フラッター特性が優れている特長がある。
 クォーツロック・サーボは9504kHzの水晶で発振した安定周波数をIC分周回路で周波数を低くし、これを基準信号として位相比較回路に送り、これとFGからのパルスを比較して、モーターの速度誤差があれば、2つの信号の位相差によってモーター駆動回路はコントロールされ、ターンテーブル回転を規定の速度に保つ働きをする。
 ストロボ照明電源は、商用電源ではなく水晶の安定した周波数による信号を電源としているため、ストロボのユレはほぼ皆無としている。
 ターンテーブルのコントロールは、タッチ・センサー方式で、回転数切替とストップは触れるだけで動作をするタイプだ。なお、ストップは、制動用ブレーキパッドをプランジャーでコントロールする方式で、メカニカルブレーキ独特の摺動音が聞かれるのが、いかにもディスク的な感じである。
 QL7Rのプレーヤーベースは、共振と制動を抑えた設計で、インシュレーターには、ゴムとスプリングの長所をいかし、欠点を抑えたパラレルアイソレーターで、ゴムにスプリングをコイル状に取りつけてあり、タテ、ヨコ両方向の振動吸収に高いメリットがある。
 トーンアームは、UA7045から高さ微調整機構などを省いたUA5045型で、軸受けはニュー・ジンバルサポート、パイプは防振材入り、ヘッドスクリュー部分は、2重構造のチャッキングロックタイプなどの特長をもち、ヘッドシェルは、溶湯鋳造の純アルミ製で共振がない、音のよいヘッドシェルである。
 なお、カートリッジは付属せず、上級モデルには備わっていた速度微調整は、本機では省かれて、2速度の固定型になっている。シンプルで内容の濃い製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 FM・IF段、MPX部、AM部、出力アンプ部、チューニングホールド部、それに333Hz発振器をすべてIC化したチューナーである。
 主な特長は、300%の過変調に対応した低歪と広いダイナミックレンジをもつ出力アンプ部、最良同調点を保つチューニングホールド回路、録音レベル設定用発振器、、遅延特性を保ちながら選択度をさらに改善した4レゾネーター型セラミックフィルター、ダブルミューティング回路、ミラー構造の目盛と凸型文字使用のダイアルである。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 型番末尾数字が従来の1から5に変わった新シリーズアンプの第一弾製品である。パネルフェイスは、印象が少し変わっているが、もっとも大きい点は、フロントパネル面のテープ入出力端子が省かれたことだ。
 回路構成上の特長は、音楽信号のダイナミックな変化に伴ってアンプ内部に発生する動的干渉を抑え、音像定位の向上を狙って、電源部をかなり重点的に強化している点だろう。プリアンプ部およびパワーアンプ部のプリドライバー以前のA級動作をしている部分には、独立トランスを使い、各ユニットアンプには、左右独立給電方式を採用している。パワーアンプのB級動作部分は、左右チャンネル独立の専用トランスを使うなど、3トランス方式である。なお、イコライザー段は、初段FET3段カスコード接続の入力コンデンサーレス型だ。
 使用部品では、音量を絞ったときに音量対歪率のリニアリティがよい、ハイリニアリティボリュウム、高調波歪みが少ない新開発マイラーコンデンサーの採用が目立つ。
 JA−S75は、滑らかな粒立ちの細やかさと、力強い伸びやかさが両立した音である。全体に表情が豊かで洗練された印象が強く、充分にクォリティは高い。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 既に高い評価を得ているビクターのX1シリーズ・カートリッジが、パルストレイン法のコンピューター解析の導入により、発展・改良しX1IIシリーズとなった。
 このシリーズは、4モデルあるが、広帯域型で4チャンネル・2チャンネル共用のX1IIと、2チャンネル専用のX1IIEが基本モデルで、それぞれをシェルマウントしたのがX1II/D、X1IIE/Dである。
 X1IIの振動系は、カンチレバーにベリリウムパイプを採用し、針先は従来のシバタ針を改良し、さらにトレース能力を高めたシバタ針MKIIのブロックダイヤチップである。
 マグネットは、比重が小さく高エネルギー積のサマリュウムコバルト磁石で、振動系の支持は後端をテンションワイアーで固定するワンポイントサポート方式だ。
 カートリッジボディは、マグネシュウム合金製で、針先からの微振動を吸収し、混変調歪みを抑えるとともに、シールド効果も高い。磁気回路は、ラミネートコアで、超高域での微小な振動を正しく再生することが可能である。なお、シェルマウントタイプは、溶湯鋳造シェルにマウントしてある。
 X1IIEは、カートリッジボディはX1IIと同様で、振動系が異なったモデルである。変更点は、カンチレバーがテーパード型のチタンパイプ、針先は、0・3ミル×0・7ミル楕円ブロックダイヤチップであることだ。
 X1II/Dは、可聴周波数帯域全域にわたって粒立ちが細かく均一にコントロールされ、fレンジが爽やかに伸び切っている。
 このタイプの現代型のカートリッジは、とかく力不足となりやすいが、本機は充分な力感がある。音色は明るく、反応が早いために、表情が豊かで、音楽を気持よく聴かせる。海外高級カートリッジに互しても譲らぬだけの音の魅力があり、MKIIらしいグレイドアップが明瞭に聴きとれる。
 X1IIE/Dは、共通の音色をもつが、さすがに2チャンネル用カートリッジらしく、一段と力感が加わり、重心が低い安定な音が聴かれる。基本的なクォリティが高く、音の鮮度が高いため、2トラックテープの音に似たリアルさがある。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このシステムは、大口径ウーファーをベースとした3ウェイシステムというよりは、中口径フルレンジユニットの低域と高域をそれぞれ専用ユニットで補ったシステムというほうが適当であろう。
 20cmシングルコーン型ユニットは、250Hzから8kHzの幅広い帯域を受持っている。コーン紙は、新開発のSP1コーンで、ハイヤング率、軽量タイプである。
 ウーファーは、このクラスとしては異例に大口径な38cm型で、SP1を使ったコーン紙は、ボイスコイルとの結合部にコンプライアンスをもたせ、機械的なハイカットフィルターとして、ネットワーク用の大きなコイルがウーファーと直列に入り、直流抵抗が増加することを防ぎ、併せて価格を抑えるのに役立っている。トゥイーターは、スコーカーに同軸型に組込まれた4cm口径のコーン型で、フェイズ・リンク・コアキシャル方式である。
 このシステムは、スケールの大きな落着いた音である。低域は豊かで安定し、高域のやや輝く感じが低域とバランスをとり、アクセントを効果的につけている。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近では珍しい同軸型ユニットを使ったフロアー型システムである。このユニットは、基本的に既発売のバックローディングホーン型エンクロージュアを採用した、フロアー型システムFB7のユニットを同軸化したと考えてよい。
 30cm口径のウーファーは、軽量で腰が強い米国ホーレー社製コーンで等価質量35gと軽く、直径10cmのエッジワイズ巻ボイスコイルは、アルニコV型マグネットをスタックした内磁型の磁気回路と組み合わされ、95dBの出力音圧レベルを得ている。トゥイーターは、開口部にドリップ型イコライザーをもつ、700Hzカットオフのアルミホーンと直径38mm、厚さ40ミクロンの米国製強力アルミ合金のダイアフラムを使い、アルニコV型マグネット使用の磁気回路で14000ガウスの磁束密度を得ている。このトゥイーターは、ホーン部分がウーファーの磁気回路を貫通して組立てられ同軸化している。ウーファーとトゥイーターの相対的な位置は、新測定法フェイズ・モアレ伝送パターンから決定され、位相干渉が少ないフェイズ・リンク・コアキシャル型とし、整った波面が放射状に伝送され、また周波数による音像移動が少なく、安定した音像定位を得ている。
 エンクロージュアは、バスレフ型で、内部の定在波を減らすために、バッフルボードはやや上方に傾斜させあわせて椅子に座ったときに音軸が耳の位置にくるようにユニットの配置がしてある。
 このシステムは、全体に引締まったクリアーな音である。聴感上では、やや中域が薄い傾向があるが、質的に充分磨かれ緻密さがあるのがよい。音の反応が速く活気があり、キビキビした印象は、新鮮で気持がよい。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターのプレーヤーシステムは、つねに定評があるモデルを市場に送り込んでいる点に特長がある。今回の新プレーヤーシステムは、基本的には、クォーツロックを外した、TT−81型相当のフォノモーターを中心にして構成された、高性能なモデルである。
 ターンテーブルは、厚みがある、直径32・8cm、重量2・15kgの重量型で、1kg・cm以上の大きなトルクをもつ、12極・24スロットのFGサーボ付ブラシレスDC型サーボモーターで、ダイレクトにドライブされる。
 トーンアームは、高級トーンアーム、UA−7045の構造を受継いだ実効長245mmニュージンバルサポートのS字型で純アルミを溶湯して高圧で鋳造成形した特殊なヘッドシェルと、チャッキングロック方式のネックシリンダーを備えている。なお、付属カートリッジは、X−1の設計を受継いだZ−1Sで0・5ミル針付である。
 このJL−B37Rは、各単体部品に、ビクターの高級モデルがもつ基本性能を落とさずに簡略化して使用してあるために、価格からは、想像できないシステムとしてのパフォーマンスが高いメリットがある。プレーヤーベースは充分に強度があり、ターンテーブルは外乱に対して機敏にサーボを効かせている。ストロボは煩雑を避けるために331/3回転だけがターンテーブル外周に刻まれているが不都合はあまりない。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 コンポーネントシステムのなかでは、音の入口にあるプレーヤーシステムの優劣が音を決定する大きな要素であり、各機種間の音の差は、予想外に大きいのが現実である。ダイレクトドライブ型ふぉのーモーターの第3世代ともいうべき、クォーツロック方式のダイレクトドライブ型フォノモーターは、価格的に高価であるが、この、TT−81は、上級モデルのTT−101の多くの特長を受継いだ新製品である。
 TT−81の主な特長は、クォーツロックを外さないで速度微調整ができる1Hzステップのピッチコントロール、速度変化に敏感に反応するプラス・マイナスサーボシステム、見やすい大型のクォーツ電源で照明する反射式ストロボスコープ、電気ブレーキを使うクイックストップなどがある。
 本機の基準となる水晶発振子は、9504kHzで、これを分周して100Hzの基本信号を得ている。これと180個の検出をもつFGが発生する100Hzの信号を位相比較して、その差を位相制御回路に送りモーター駆動回路をドライブしている。
 ピッチコントロールは、440Hzにたいして、1Hzステップで、±6Hzコントロールできるタイプであり、±サーボシステムは、速度が速い場合にも、遅い場合にもサーボは動作するため、45回転から331/3回転の切替が瞬時に移行し、クイックストップは、駆動回路に逆電流を流して、電気ブレーキとする方式である。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このチューナーは、一連のプリメインアンプと任意にペアが組めるように、性能と機能を重視してAMを除き、FM専用機として開発された特長がある。RF1段増幅バッファー付局発回路と7連バリコン使用のフロントエンド、PLL、MPX部などを採用し、機能面では、333Hz基準レベルとピンクノイズ発振器の内蔵、正確な同調点を保持するチューニングホールド回路、左右チャンネル独立型出力レベル調整があり、操作性がよい同調機構を備えている。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターの新製品は、JA−S51とS31の中間に位置する65W+65Wのパワーをもつプリメインアンプである。
 機能面では、JA−S51に準じた、5段切替モードスイッチ、前面録音端子をもつが、入力切替がフォノ1系統でカートリッジ負荷抵抗切替がなく、テープが2系統になった他、高音フィルターが低音フィルターに替わり、実用性が増している。
 回路構成上では、初段FETで入力コンデンサーを除いたICL型イコライザー、4連ボリュウム採用のプリアンプ部、ドライバー段以後と以前を分離した独立電源をもつパワーアンプを備えている。
 このアンプは、一連のビクタープリメインアンプのなかでは、もっともストレートで明快な音をもっている。とくに、低域の腰が強く、リズミックで活気があるのがメリットである。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このシステムは、このところ、新しい価格帯として注目されている2万円台のスピーカーシステムとして開発された、S−5のジュニアシステムである。
 基本的な設計方針は、当然のことながらS−5と共通であるが、ウーファーの口径が20cmとなっているのが大きく変っている点である。このウーファーは、軽合金センターキャップ付で、フレームはアルミダイキャスト製である。なお、トゥイーターは6cm口径コーン型で、S−5に採用してあるユニットと同じものだ。
 S−5は、この種の2ウェイシステムとしては、バランスがとりやすい25cmウーファーをベースとしているだけに、帯域バランスがよく保たれ、メリハリが効いたコントラストがクッキリと付いた音をもっている。音色が明るく活気があるのは、やはりビクターらしい特長である。
 S−3は、S−5にくらべると低域が軽くなった反面、スケール感は小さくなる。一般的には、アンプ側のトーンコントロールで補整したほうが、トータルなバランスはよい。トゥイーターは、このクラスとしては粗さが少ないために、適度にクリアーで輝き、トータルなシステムに活気を与えているようである。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のスピーカーシステムは、共通して音色が明るく、活気のある音をもった製品が多くなっているが、このビクターの新製品も、現在流行しているディスコサウンドやクロスオーバーなどの、ジャズロック系のプログラムソースにマッチした、力強くいきいきした音を狙ってつくられたスピーカーシステムである。
 エンクロージュアは、前後のバッフルに比重が大きい針葉樹系高密度パーチクルボードを、側版には硬質パーチクルボードを合板でサンドイッチ構造にした特殊ボードを採用し、トータルな音の響きをコントロールするとともに、マルチダクトをもつバスレフ型が採用してある。
 ユニット構成は、25cmウーファーと6cmコーン型トゥイーターを組み合わせた2ウェイシステムである。ウーファーは、アルミダイキャストフレームを使い、コーン紙には米ホーレー社製の、腰が強く軽い、ハイ・ヤング率コーンが選び出され、コーン紙中央のキャップは、分割共振が少ない特殊合金製で、いわゆるドーム鳴きを抑えながらクロスオーバー周波数付近のレスポンスをコントロールしている。
 トゥイーターは、ウーファーと同様に、ホーレー社製のコーン紙を採用したコーン型で、最高域のレスポンスを補整するために軽合金製キャップが付けてある。
 各ユニットのクロスオーバー周波数は、2000Hzと発表されているが、クロスオーバーネットワークのコイルには、磁気飽和が高いケイ素鋼板コア入りのタイプを使い、高耐入力、低歪率設計である。なお、レベルコントロールは連続可変型である。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 2モーター・フルロジック操作系のメカニズムを採用した最初のメタル対応機として好評を得たA5のグレイドアップモデルである。すでにA5と同等の性能を4万円台のA33でビクターは実現しているだけに、このA55では、リモート操作、自動選曲、メモリー停止と再生、スーパーANRSを加え、機能面を格段に向上した点に注目したい。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 Y7とシリーズをなす最新のセミオートプレーヤー。トーンアームは、電子式ダイナミックバランス型で、針圧、アンチスケート、ダンピングは独立した調整ツマミで電気的にコントロールできるのが最大の特長。伸び伸びとした力強い音は、聴いていて大変に心地よい。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 三層構造のマイクロコイルを針先位置に近接して取付けたダイレクトカップル方式の高出力MC。力強く、アクティブな音が楽しめる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

スピーカー作りでは、現在、我が国No.1のビクターの優れた小型スピーカーシステム。豊かなオリジナリティをもつ設計と、何より、音のバランス、質感の良さが光る。ツボを心得たバランスで、低音は充実しているが重すぎず、大事な中音域が厚い音だし、生き生きした音楽表現には血が通っている感じがする。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

エクステンデッドK2プロセッシングによるCD再生音の高品位かが実現するDACプロセッサーで、サンプリングレート96kHzにも対応する。入力12系統、出力9系統という豊富なファンクション持つディジタルセンターである。よく練られた音で、独特のしなやかさと甘美さを聴かせる暖かいディジタル音である。
井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

増幅系を別筐体とし、リモコン操作で制御する独自構想の参考作品から発展実用化した、異例なモノ構成プリメインアンプ2台とリモコン部で構成されるシステム。増幅系を増やせば多チャンネル再生は万全の構えだ。出力半導体1個毎に専用電源を備える独自の電源方式採用で、駆動力、SN比が高い点に独自の魅力がある。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 TT−101のジュニアモデルとして開発された、いわゆるクォーツロックのダイレクトドライブ・フォノモーターである。TT−101には、モーターにコアレスタイプが採用してあるが、このモデルでは鉄芯入りの一般型となり、回転数の表示は、ストロボスコープに変わっている。基本性能は、TT−101に匹敵する高さがあり、音が良いプレーヤーシステムを製作する場合のベースとして使えば、十分に要求に答えられる製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 とかくローコストなプレーヤーシステムは、デザインや方式が表面に出て、基本性能が劣化しやすいが、その点、このモデルは、性能を重視して簡潔にデザインされている点が好ましい。プレーヤーシステムの音の差は驚くほど大きいが、ローコストで音の良いプレーヤーシステムの代表作が、このモデルである。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 同じビクターのプリメインアンプであるJA−S41と比較するとより新しく、上級モデルであるだけに、音の新鮮さより、むしろ洗練された完成度の高さと、しなやかさが感じられるようになっている。しかし、音楽に対する働きかけは、ビクターの製品らしくアクティブであり活気にとんでいるのはもちろんだ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 現在のプリメインアンプでは、もっとも需要が多い価格帯に置かれたモデルだけに、単なる周波数レスポンスの拡大という方向ではなく、巧みに聴感上のレスポンスをコントロールして、アクティブに音楽を楽しむ方向でまとめてあるのは大変に好ましい。とくに、楽器らしさを感じさせる低音は気持よく聴ける。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 中級機の価格帯では、今やユニークな存在である完全密閉型エンクロージュア採用の、オーソドックスな3ウェイシステムである。新製品らしく音色は明るく、クリアーであり、低域の量感は密閉型ならではの厚みがある。SX−3以来のキャリアを活かした、いわば伝統的な利点がよくあらわれたシステムだ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 生録用にもコンポーネント用にも使えるだけの十分な性能を持つポータブルデッキである。モールド製の外装は機能優先でラフ仕上げだが、室外の使用でかなり乱暴に使っても上部であり、傷がついてもさして気にならないのばこの種のデッキとしてかえって好ましい点である。とくに生録向きであり、2種に使いわけられるノイズリダクションは、バイノーラルには、ぜひ使いたい機能である。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 クォーツロックのDD型フォノモーターであるTT−101と、本来は組み合わせて使うべく開発された、スタティックバランス型のトーンアームである。デザインは