ソニー/エスプリの最近のブログ記事

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 基本的にはコントロールアンプのE88に似て硬質でコントラストの強い傾向の音を持っている。ただ、E88ほどの強引さというか一本調子に押しまくるようなところは少なく、音のニュアンスあるいは表情は一応出るので、プログラムソースに受け身に順応していくしなやかさは持っていることがわかるが、しかしどちらかといえばやはり骨太の、腰の強い音色のパワーンあプだ。高域のごく上の方に、いくぶん細い特長のある光沢というか軽い強調感を感じるが、LNP2Lにもその傾向があるため、この組合せでは相乗効果がやや裏目に出て光沢過剰になるが、反面繊細感が増しておもしろいともいえる。E88との組合せではそういう個性は感じとりにくかった。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 肌ざわりの柔らかい、むしろトロリとした味わいといいたい印象さえある滑らかな音を聴かせるというのが第一印象だが、しかし決して弱腰の柔らかい甘さではなく、どちらかといえば音像をきりっと引き締めてゆく傾向の、芯のしっかりした、明快であいまいなところのない解像力の良い音といえる音にトゲトゲしさやきつさがなく、やれッ主で生き生きした表情を持っているが、しかし一見当りの柔らかな音の中に、ときとして意外に腰の強い骨ばった感じさえ抱かせる硬質な音をくるみこんでいるらしく、たとえばアメリンクやバルバラの声でいくぶん頬骨の張った感じに聴こえることがあった。Aクラスに切換えるとわずかに線が細くなるが、基本的な傾向は変らない。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音の骨格はたいへんしっかりしている。少なくともそういう表現をまっ先に思いつかせるほど、かなり硬質の音といえそうだ。バランス的にみて中低音域から重低音域にかけての支え、あるいは豊かさが不足ぎみに思われ、そのことがいっそう音を硬く感じさせるのかもしれないが、それにしてもたとえばベートーヴェンの弦楽四重奏でも、弦の音がどこかPAでも通したように人工的に聴こえ、かなりきつく、一本調子で色気がない。アメリンクの声にもやさしさが足りない。それらにかぎらずどうも音の姿をことさら裸にしてむき出して聴かせる傾向があって嬉しくさせない。MCヘッドアンプの音は、高域がよく伸びて解像力は上るが音の支えが弱く、ニュアンスが減る。
瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 音のバランスという面では音域内での過不足もことさら指摘しにくいし、質感も滑らかで耳ざわりの悪い音を鳴らさない。ウォームな音の中にも現代的な反応の鋭さもある。ただ、アメリンクの独唱で、声自体がやや張り出す反面、伴奏のピアノはむしろ音像がことさら後に引いて、タッチも暗い感じがするというように、コントラストが強く聴こえた。また、「SIDE BY SIDE3」のベーゼンドルファーの音の丸みと艶が不十分で、打音がどこか輪郭だけのように聴こえる。MCヘッドアンプの音は、MC20に対しては切れ込みは良くなるが素気なくなる傾向。DL103Sでは解像力はトランスより良くなるが骨ばる傾向で、どちらかといえば乾いた音と聴きとれた。
瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 レインジの十分に広いこと、そして低音から高音に至るまできわめて周到にコントロールされて聴感上のバランスがよく、どの音域にも少しも強調感や欠落感のないところは、国産品中随一といっていいぼとで、ECR400がいくらかクセを感じさせたのに対して、これこそまさにソニーの音、と思わせるところはさすがだ。ただ、ECある400のところでも書いたように、音のひと粒ひと粒が、何となく湿り気を帯びたように、その湿った結果として重さを感じさせるように、どこか梅雨空を見上げるような印象があって、聴いているうちに、もっとスカッと晴れ上った、明るい艶のある音にあこがれたいという気持になってくる。言いかえれば音楽が積極的にこちらに働きかけてくるというのではなく、どこかよそよそしくつき放して分析しているような気分にさせられる。パワーには強いこと、創りのしっかりしていることはECR400について書いたと同じ良さだ。
瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 全音域に亙って周到にコントロールされたという作り方は、いかにもソニーの他のオーディオ機器にも通じるこのメーカー特有の姿勢が聴きとれる。レインジの広いことではスタックスよりもやや上かもしれない。ただ、ECR400の場合には、ヒス性のノイズがやや強調されて一種の色あいを感じさせるところから、高域に意図的に個性を持たせているのではないかと感じる。そのためかスタックスよりも音に力を感じるが、反面、いくぶん重いというか、むしろや湿っぽい感じの音に聴きとれて、ナマの演奏で感じられる演奏者の心の弾みや、楽器の持つ明るい色彩感や音の艶が、一様にハーフトーンの暗い感じの色に塗りつぶされるように思った。パワーにはかなり強い。やや大ぶりなソフトなイヤパッドと頑丈なヘッドバンドは、プロ用のヘッドフォンのような感じで、ハード好みのヤングジェネレーション好みのデザインに思える。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 ソニーのTA−E88とTA−N9は、同社のオーディオ技術の現時点での粋をこらした製品といってよい。そこ、ここに、ソニー独自の新しい素材や、技術が生かされていて大変に興味深いアンプである。新技術の製品への導入の速さは、確かに同社の力を示すものであるし、数々の功績として評価して然るべき貢献を残してきているが、これらの高級機種からも感じられるソニーへの不満は、それらの新技術が、じっくりとオーディオ的に煮つめられることなく裸で出てきてしまうといった印象である。新しい素材や、テクノロジーは、それまでとは違った音を生むことは確かであるが、それが果して、人間の感性や心情にとって、より高い次元の感動に連なる音の美しさや愉悦感であるかどうかといった問題が残ると思われる。現状でのディジタル録音が感じさせる音の例が、最も端的にそれを物語ると思うのであるが、ノイズがなく、あくまでシャープで輝かしく、明解であることと引替えに置き去りにされたような、豊かな陰影と雰囲気、滋味溢れる感触や、模糊とした風情など......。情緒に訴える、従来は得られていた音の情報が、惜し気もなく払拭された音を、その手段であるテクノロジーの先進さだけ故に、首を前に突き出して、つんのめるが如く、突進することが、音の文化にとって正しい姿勢であるかどうかは再考の要があるだろう。冷たい、機械的だと感じさせる何ものかが、その音に存在することは、音を目的としたテクノロジーである以上、人間中心に考えて、なんらかの反省と、さらに技術の熟成を計るべきだと考える。率直にいって、このTA−E88とTA−N9に、ディジタル録音ほどでは勿論ないが、どこか、それに連なるイメージの音の質感が感じられるし、その機械としてのデザインも、そうした体質を彷彿とさせる雰囲気をもっていると感じたのである。つまり、これほどの高度なテクノロジーをもっていながら、そのまとめに、人間的なウォームネスがやや欠けるという印象があるので、それが伴ったら再考のものになるだろうなという欲張った要求をしてみたくなったというわけだ。いいかえれば、それほど、このTA−E88とTA−N9は技術的に魅力のある製品であって、実に優秀な、高性能プリアンプであり、パワーアンプであるということになる。
TA−E88の特徴
 TA−E88は、まず一見して外観からも、極めてオーソドックスに、イコライザーアンプとしてのコンストラクションを追求し、潔癖なまでに信号系路を最短距離でインプットからアウトプットに導くという思想が明白に見てとれる。このユニークなコンストラクションは頭で考えることは容易だが、現実化は、それほど容易ではないはずだし、ここまで簡潔化を計って、それを結果に反映させるには、精選されたパーツと、ごく細かいところにまで神経を使った仕上げ、優れた回路技術をまたねばならなかったはずだ。それは、アッテネーターやバランサーに使われている高精度のボリュウム、各端子の金メッキ処理、銀クラッドのスイッチ類、そして金属皮膜抵抗や無共振コンデンサーなどのパーツ類、トーンコントロール回路やヘッドフォン端子をはぶきながら、コントロールアンプとして必要な機能を合理的にまとめあげた、安定性の高い全段DCアンプ構成、左右独立の4電源などの仕様に裏付けられている。インプット端子はユニークな配列のため初め少々とまどうが、ひんぱんに抜き差しするところではないので、慎重に理解してからおこなえば問題はなかろう。ダイアル式のカートリッジロードのアジャスターなどのこりようはマニア泣かせのサービスである。パネルレイアウトは、すっきりしすぎるほどすっきりして扱いは全く容易だが、この辺りのフィニッシュはもう少し風格と味わいが欲しいところ。このクラスの製品だから、強烈に好まれるか、拒絶されるかは覚悟すべきで臆病になるべきではないと思う。
TA−N9の特徴
 TA−N9は、堂々450Wのモノーラルアンプで、Aクラス動作をさせることによっても80Wの出力を得る超弩級パワーアンプである。技術的な特徴をあげつらねればきりがないほどであるが、おもな点はパルス電源搭載のDCアンプ構成で、パワー段はMOS−FETの5ペア・パラレルプッシュプルといったところだ。MOS−FETの特質として、入力インピーダンスが高くハイゲインであるため、ドライバー段は高域特性の優れた小型のトランジスターによる比較的小規模なものですんでいる。大電流が流れる出力段の放熱にはヒートパイプを活用し、電磁波の影響をなくすなどユニークな構成もみられる。少々、ヒステリックにプッシュプルのスイッチングディストーションが喧伝されている昨今だが、よりデリケートな音を望む向きにはスイッチの切替えで、同ゲインでA級動作として使うことも可能である。このアンプにおいては、A級に切替えた時の音の違いは比較的はっきりと聴き分けられ、弦などはぐっとなめらかになる。
TA−E88+TA−N9の音質
 TA−E88とTA−N9の組合せによる試聴のメモをここに引き写すと緻密でウェイトのかかった充実した音だが、ややつまり過ぎといった生硬さがあり、おおらかな響きと雰囲気が出にくい。しかし臨場感は豊かで音のスケールは大きく、オーケストラでのブラスの輝きや、ジャズのビッグバンドでのサックスの脂ののったこくのある響きの再現はなかなかよかった。TA−E88は磨きのかかった......まるでクロームメッキの極上のバフ仕上げのような輝かしく、つるつるした感触の音という印象を他の機会に聴いてもっていたが、TA−N9との組合せでは、それがやや薄れる。しかし、パワー氏プをA級動作にすると、その感じがよく出てきたのが興味深かった。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の最高峰大型フロアー型4ウェイシステムで、豊かな堂々たる再生音が得られる。決して枯れた音ではなく、あくまで現代的な、生々しいリプロダクションが可能なスピーカーだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 上級クラスのSS−G5、G7、G9という一連の同社の音づくりの線上にあるサウンドをもつ。標準的ブックシェルフサイズながら、豊潤な低音をベースに下スケールの大きな再生が可能だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 小型だがハイパワー再生が可能な設計がなされているだけあって、迫力あるサウンドが楽しめる。音の自然な響きという点では少々メカニックな感じもしなくもないが、精緻な音であることは確かだ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶより

 カセットのポータブル機は、移動使用をするためにカセットハーフが360度内の立体的な位置の変化、さらに外部振動にも影響されずに安定した走行性が要求されるため、オーディオ用としても音のクォリティを条件とすると小型化は至難というほかはない。
 現在の平均的なポータブル機の重量は約4kgであり、外形寸法も大きく、これをもって野外の録音をしようとすると、ある程度以上の心の準備が必要である。もっとも典型的な肩掛け使用をする場合には、物理的な重量ももちろんであるが、肩掛け用ベルトの幅や材質、それに外形寸法では、横幅と厚さが感覚的な重さに直接関係をもつことを体験する。たとえば、横幅が狭く厚さが薄いほど心理的にも感覚的にも重さが軽減されるようだ。
 現在のポータブル機のなかで、気軽にポータブルならではの楽しみを味わうための製品としては、価格も併せてソニーTC2220が唯一の存在である。小型・軽量で、オートマチック録音機能を備え、電池の消耗も神経質にならないだけの寿命がある。また、音質的にも十分であるが、この製品に限らず、再生には高級デッキを使用すると予想以上の結果が得られるのは、ポータブル機使用の常識といってよい。
 やや価格が上がると、ビクターKD2がある。モニタースピーカーを除き、スーパーANRSを備えた機能と、ラフに使えるボディの仕上げが、いかにも実戦派といった印象である。電池寿命は長く、音質、走行性能、再生能力は、コンポーネント型の5〜6万円台に匹敵する汎用機である。
 10万円前後の価格になると、新しいソニーTC−D5が超小型、軽量機として最近のポータブル機の話題を集めている。単1型2本使用でもアルカリタイプなら5時間の録音が可能であり、自動テープ選択、ヘッドフォン専用レベルコントロールなどの機能を備えた、いわばTC2220の高級機だ。また、走行性、音質ともにコンポーネントシステムの常用デッキとして十分なものがある。
 テクニクスRS686Dは、ほぼフル機能をもった小型の高級機である。とくにイヤホーンでモニタできる実質的な3ヘッドならではの魅力は、一発勝負のポータブル機に必須なものだ。このデッキは電源の寿命がアキレス腱であるが、オプションの単1型7個使用のパワーパックを併用すれば、その大半はカバーできる。操作は、走行性が優れ、音質も滑らかでキメ細かいクォリティの高さが感じられるものだ。
 特別ランクは、ウーヘルCR210である。趣味性を加えると依然としてトップランクの存在である。実質的にはもっともスペースファクターが優れる。操作性は抜群であり、走行性は平均的に留まる。録音優先型の設計のため、再生には是非ともしかるべきデッキを使いたい。その音質は欧州系小型スピーカーに似た独特の魅力がある。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインも内容も高度な魅力的ポータブルデッキ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

手慣れた設計製造の安定した使いよい高性能機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高品位な生録に欠かせないユニークなコンパクトなオープン。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて高品質な製造仕上げによる高級感溢れるMM型カートリッジ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プレーヤーの基本性能の徹底的追求から生まれた普及機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

やや人工的なタッチだがその艶と輝きは軽やかだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

普及価格帯にありながら新しいテクノロジーを生かした買得品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

手頃なサイズと価格で大きな音楽的効果の上る高い実用性。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

待望のオートリバース録音・再生を可能とした機能そのものが魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

小型、軽量でポータブル機の魅力を十分に味わえる実用機。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

コンパクトなエルカセットのメリットを生かした小型な高級機である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

自動テープ選択を備える唯一のポータブル機として貴重な存在だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

曲間自動頭出しと独得のピークメーターを備えた実用性抜群の傑作。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高級機に匹敵する充実した内容をもつソニーならではの製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

数ある同クラスのモデル中で流石に一味違う魅力を味わわせる実力派。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

現代カセットデッキのリファレンスにできる名実ともに標準機である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オーバーオールの性能の高さと音質、商品性が高いソニーのトップ機。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

類例のないピークメーターを装備したソニーらしいまとめ方が魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オープンリールポータブル機として国内製品唯一の存在時代が魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高感度と安定性を両立させた本来のユニバーサル型らしい魅力をもつ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

現代的にサーボ能力をフルに生かした性能の高さは同社独特の魅力だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ユニークな発電機構を一体化シェルに組み込んだ業務用機器的な魅力。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

セミプロ機の世界を開いたソニーらしい新構想のシステム製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

現代テクノロジーを結集した性能の高さと、独特の音が魅力的。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

爽やかで健康的な音を聴かせるソニーならではの個性が特徴だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独特の構造を採用した、伸びやかな音をもつソニーの魅力的な製品。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しいソニーの音を感じさせるフレッシュさと構造が魅力的である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

物量を投入して正統的につくられた中型フロアーのトップランク製品。
井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 ソニーのPS−B80は、世界最初のMFB制御方式のバイオトレーサーアームを採用した製品として、オーディオの歴史に名をとどめるフルオートプレーヤーシステムであるが、今回新しく登場したPS−X800は、理論上で理想のトーンアームであるリニアトラッキング方式のアームをバイオトレーサー化して採用した注目の新製品である。
 リニアトラッキング方式のトーンアームは、レコード制作時に使うカッティングレースの動作と近似の動作をするために水平方向のトラッキングエラーが極めて小さく、トーンアームの全長が短く、軽質量でトラッキング能力が高いメリットをもっている。
 しかし、現在市場にあるリニアトラッキングアームは、細かく見れば針先の移動に対してトーンアーム支持部の動きが静止・移動・静止と断続的に移動する方式が多い。この細かい点に注目して、今回発売のリニア・バイオトレーサーでは、アクティブ・トレース・サーボ方式を開発、アーム支持部の速度と針先速度の差として得られるトラッキングエラー角を検出し、常に針先速度とアーム支持部の速度が同じになるようにサーボをかけ、トーンアーム自体が動くという新リニアトラッキング方式を採用している。
 リニアトラッキング方式にはアーム支持部を移動させるためのガイドを必要とする。PS−X800のガイドはモノレール型で、アーム支持軸とアーム支点が常に同軸上にある。また、軸受にはノイズ発生の原因となるベアリングを排除し、特殊樹脂に含油したスライド軸受により振動を防いでいる。
 アーム駆動は独自のリニアトルクBSLモーター採用であり、アーム部のコントロールには垂直と水平が独立した速度センサーを備え、独立したリニアモーターに速度フィードバックをかけて低域共振を抑えるとともに、トーンアームが動くリニアトラッキング方式の問題点を解決している。
 機能は自動アームバランス、純電子式針圧印加をはじめ、自動盤径選択とレコード有無選択、2速度のアーム移動、それにカセットと連係動作用の別売のシンクロリモートコントロールRM65がある。
 音の傾向はスケールが大きく、素直で抑制の効いた、安定感のある表現が特長。独特の素気なさがかえって現代的な魅力だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SACDプレーヤーの1号機で、CDプレーヤーとしてもなかなかの力作である。アクセスタイムが長く、慣れないとイライラさせられるかもしれないが、集中して聴くには、これもいいと思う。いかにも新世代のプレーヤーらしい精緻さを感じさせる音だが、柔軟な質感や曖昧模糊とした雰囲気の魅力には欠ける。
井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

CD当初の業務用CDプレーヤーで採用された光ピックアップ固定型メカを現代に再現した凄い意欲作であるCTトランスポートと、異例の鮮鋭さを聴かせる1ビット方式D/Aコンバーターとの組合せは、現時点でも世界のリファレンスモデルであり、新メディア時代到来後も、いささかも変りはないだろう。継続して見せる高い性能は素晴らしい。
井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SACDの歴史に残る第一作、SCD1の弟となる第2弾作品。外観が変更され普遍的な印象になったため、新鮮な印象があり、ディスク読み取りの超低速動作が、心理的に少々解消されるのが面白い。第一作の細身で引締まった緊張感の高い音とは異なる、ほどよく肩の力が抜けた開放感のある音は、デザインとも一致し、実に楽しい。
井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ソニーを代表するスピーカーシステム、Gシリーズの中核をなすSS−G5は、細部に改良が加えられ、SS−G5aとして新発売された。
 独自のブラムライン方式ユニット配置、高域指向性の向上とバッフル板振動モードを制御するAGボードの採用、バスレフ方式のエンクロージュアなどは変らない。30cmウーファーは、ボイスコイル直径が50mmから70mmとなり、磁束密度が25%増加して、高剛性リブコルゲーション付ストレートコーンの特長が一段と発揮されるようになった。8cmバランスドライブの中音ユニットは、新開発コーンが採用され、音色が明るく分解能が向上している。ネットワークは伝送ロスを減らすため、パターン厚70μのプリント基板を採用。ウーファー用コイルは音響素材SBMCで固め、機械的な振動を抑えるなど、新技術と高精度部品を採用した音質重視設計である。
 試聴室では標準に使っている高さ60cmのアングルに乗せて使ったが、表情は抑えられ低域は重く、音離れが悪かった。床上20cm程度の強度ある台にセットすると、音色が明るく腰の強い低域をベースにした活気があるクリアーな中域と、華やかな印象の高域が効果的なバランスを保ち、質的にも高い音となる。サランネットを外した状態では、高域のレベル2時半の位置でトータルバランスがよくなった。
黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 このスピーカーには、完全に脱帽する。びっくりした。化粧しない、素顔の美しさとでもいうべきか。どこにも無理がかかっていない。それに、このスピーカーの静けさは、いったいいかなる理由によるのか。純白のキャンバスに、必要充分な色がおかれていくといった感じで、音がきこえてくる。こういうスピーカーになると、どのレコードだとどうとか、こういうレコードだとどうとかいういい方ができなくなる。すべてのレコードがきこえるべきようにきこえてくる。スピーカーシステムのスピーカーシステムならではの個性といったようなことも、ここではもはやいいにくい。おそらくこういうところで、パーフェクトだというようなことは無用心にいったらいけないのだろうが、敢て、いつの日かここでそのように口走ったことを後悔するのがわかっていて、これをパーフェクトだといってしまいたい誘惑に抗しきれない。すばらしいスピーカーだ。

総合採点:10
黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 音のきかせ方のタイプとしては、フィリップスAH484と同系列にあるものといえようが、あきらかにひとランク上だ。音の基本エネルギーをしっかり示そうとするところに、このスピーカーの一種の誠実さが感じられらる。ただ、くっきり輪郭を示すことに重点がおかれていて、こまやかな表情の提示ということでは多少ものたりなさを感じる。多分、そのことと無関係とはいえないと思うが、声が、総じて、太くきこえる。そして、木管楽器の音も、硬めだ。ただその反面、たとえば低音弦のひびきがあいまいにぼけるようなこともなく、金管楽器が加わっての迫力にとんだ音楽が腰くだけになることもなく、はなはだこのましい。つまり、そのことによって、音楽の骨組がしっかりと示されるからだ。あいまいさを拒否して、足腰を充分にきたえた音とでもいうべきか。使い手をえらばないスピーカーということもできよう。

総合採点:8

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(好ましい)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)
瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 まさに見た目どおりの律義な、そしてかなり真面目な鳴り方。さすがにエンクロージュアの大きさが生かされて、悠揚せまらざる風格のある音だ。鳴り方がおっとりしているからでなくトーン自体がどちらかといえばいくぶん暗くなる傾向はあるにしても、相当に素性がいいし、音のバランスやつながりもみごとだ。レベルコントロールには0・1dBきざみの目盛が入っているが、実際、0・5dBの変化にもピタリと反応する。調整を追い込んでゆけば0・3dB以下まで合わせこめるのではないだろうか。これほど正確に反応するということは、相当に練り上げられた結果だといえる。音の色づけをおさえているが、無色か無味になる手前で止まっているのも見事だ。ただ、何となく冷たい才気を感じて、ここにほんのわずか、聴き手をハッピーにさせる活気、あるいはほんのりとした色気や艶が乗ってくれれば、これは第一級のスピーカーになりうる。100万円は安くないが、しかしすごいスピーカーだ。

総合採点:8

音域の広さ:10
バランス:9
質感:9
スケール感:10
ステレオエフェクト:9
耐入力・ダイナミックレンジ:10
音の魅力度:7
組合せ:普通
設置・調整:普通
瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 たいそう独特の、個性の強い音、といってよいだろう。一聴して朗々とよく鳴るため、聴感上の能率がズバ抜けて高いように聴こえ、同クラスのスピーカーの中に混ぜると、音量感もスケール感も飛び抜けて豊かだという感じを受ける。ただし、トゥイーターのレベル調整ツマミを指定のままのノーマルの位置では、トゥイーターがいささか鳴りすぎ、あるいは出しゃばりすぎのように思われたので、ツマミの位置で真上近くまで絞って聴いた。中音から低音にかけては、キャビネットの共鳴をうまく生かしてあるらしく、背面を壁から相当に離しても低音の響きは少なくならず、たとえば交響曲でも、またあるいはEW&Fのような曲でも、何となく洞穴の中で鳴るような響きがついてくるところがユニークだ。こういう価格帯の中では別格のように大型だし、おそらくそのために音の量感もあるのだろう。ただ、これもフィリップスとは別の意味で、厳格な鑑賞用スピーカーという作り方ではないように思えた。

総合採点:6

音域の広さ:6
バランス:5
質感:4
スケール感:8
ステレオエフェクト:5
耐入力・ダイナミックレンジ:6
音の魅力度:4
組合せ:普通
設置・調整:やや難し
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 オリジナリティと最新のテクノロジーを高く評価したいシステムだ。平面振動板による4ウェイ4ユニット構成で、すべてが矩形の振動板をもったユニットであるのがユニークだ。この製品の開発にはソニーが数年間の年月をかけたと思うが、正直いって、プロトタイプ、あるいは初期のモデルでさえも、今回の試聴で聴いたような素晴らしい音ではなかったし、また、ここまでよくなるとも期待していなかった。驚いた。今のところ、国産スピーカーではベストであることは間違いないし、これでもっと音像の立体感や粒立ちに丸みが出てくれば、私としてもほれ込みそうなほどいい。もう一つは、やや高域(特に目立つので高域というが、実際には全帯域)にパルスを強調するキャラクターが残っているし、振動板の鳴りらしきものも、もう一つ抑制されると、もう残るは100万円という値段への挑戦である。このままでは100万円は高いという感じだが、もう一つ洗練されると、お金を貯めようという気になりそうだ。

総合採点:8
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 この価格としてはかなりオーセンティックな力感の味わえるシステムで、迫力と豊かさの点ではかなり雄弁なスピーカーだといえるだろう。性格がそのまま感じられるような、ワイドレンジでハイパワードライブの可能なシステムである。ただ、その反面、音の繊細さ、しなやかさといった品位の点では多少期待はずれのシステムといわざるを得なかった。ピアノは、大方のスピーカーと全く異質の表現で、レガートなパッセージがもたもたした流れの悪い表現に聴こえたし、弦のニュアンス、デリカシーもよく再生されない。先述したように、力はあるからジャズやロックの力感は、かなりのハイパワードライブで再現可能ではあるが、肝心な楽器の音色が精緻に出てこないので、音楽の愉悦感が味わえない。音色が鈍く冴えないので、個々の楽器の持味が生かされにくく混濁してしまう。細かい音色を云々せずに、音楽を豊かにスポーティに楽しもうとという志向のスピーカーシステムということになるだろう。その意味では効果抜群だ。

総合採点:7
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 このプレーヤーシステムは、どうやら、中域の音を、しっかり、あいまいにならずに、しかもそのエネルギー感をあきらかに示すところに特徴があるようだ。むろん、中域の音をしっかり示すのは、とてもこのましい。そのためと思うが、このプレーヤーシステムできいた音は、いずれのカートリッジの場合も、あいまいさから遠くへへだたったところにあって、しっかりしていた。
 くっきりしたひびきをきかせてくれたが、できることなら、さらに鮮明であってほしいと思わなくもない。ただ、その点については、デンオンDL103Sでかなりの成果をあげたことを考えあわせると、しかるべきカートリッジをつかうことで、かなりカヴァーできるはずである。ベーシックな部分がいかにもしっかりしているというきいての印象がある。あぶなげは、まったくないし、ひよわさもない。
 オルトフォンMC20でピッチカートが、くっきり示されて、しかも大きくふくらまないあたりに、このプレーヤーシステムの基本性能のよさが示されていたといえるだろう。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 きわだったくせのないのがこのプレーヤーシステムの特徴というのが、きいての、まず第一に感じることだ。それはむろん美点のひとつとしてあげられることだ。きわだったくせがないということは、それぞれのカートリッジのキャラクターによく順応するということだが、ひとつまちがうと、順応しすぎるというか、つまりカートリッジの弱点におし流されるということも、起こりかねない。しかし、このプレーヤーシステムは、その一歩手前で、とどまっている。すなわち、プレーヤーシステムとして、自己の音をもっているということだ。
 たとえば、DL103Sできいたときなど、かなりこまかいところまで、耳をすべりこませることができて、このましいのだが、そこで不足しているもののひとつに、腰のすわった力強いひびきに対しての反応がある。それがさらにこのましくみたされれば、そこで可能なすっきりしたところも、よりはえるのではないか。それに、ここできける音が、総じて明るいことも、このプレーヤーシステムのこのましさとしてあげておくべきかもしれない。

黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


 たっぷりしたひびきが、積極的におしだされる。総奏でのひびきの重量の提示など、見事だが、軽やかさ、さわやかさという点で、もう一歩だ。そのために全体としての印象が幾分重い。


デンオンDL103Sで聴く

 このプレーヤーは、中域のひびきに対しての反応のたしかさによさがあるようだが、ここでそれが示されている。くっきりした、あいまいさのないさまざまなひびきへの反応はよい。


シュアーV15/IVで聴く

 腰のすわった音とでもいうべきか。音像は大きくなりがちだが、くっきりと示す。強い音に対しての対応は、なかなかのものだ。微細なひびきに対してさらにシャープに反応すれば、よりこのましいのだが。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


オルトフォンMC20で聴く

 ひびきの表情を誇張ぎみだ。音像も、シュアーV15タイプIVとはうらはらに、大きい。その他の点においても、シュアーV15タイプIVとは、まったくちがう。ひびきは、総じて、重く、ねばりぎみだ。


デンオンDL103Sで聴く

 ひびきの角を鋭く示す。ひびきは、総じて、薄味で、こくに不足するが、あいまいにならないところがいい。軽量級のひびきですっきり提示するのが、ここでの美点というべきかもしれない。


シュアーV15/IVで聴く

 ぼてっとしたひびきをいさぎよくそぎおとしている。そのためにきわめてすっきりしている。すっきりしすぎているというべきかもしれない。声などに、もう少しなめらかさがほしい。

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 プレーヤーシステムは、ダイレクトドライブ型フォノモーターが実用化されて以来、FG型サーボの第2世代、さらに、クォーツロックの第3世代と性能が向上し、現在のトップランクの製品では、まったく完成期に入ったかのように感じられる。性能的に見ても、聴感上においても頂点に達し、もはやプレーヤーシステムが、コンポーネントシステムのネックになるとは考えられないというのが実情である。しかし、一部では、精密な機械加工による精度をもつ、まったくサーボシステムをもたない旧タイプのフォノモーターを使ったシステムのほうが、現在のクォーツロックのフォノモーターのものよりも聴感上で明らかにメリットがあるとの声も絶えないのは事実である。
 たとえば、業務用として定評のあるEMTのTSD15を、一般のプレーヤーシステムとEMT927stとで比較試聴したとしよう。当然のことながら同じTSD15なのに、結果としての音は、カセットデッキの音と2トラック・38センチの音ほどに隔絶した差、誰しも驚くほどの違いが出てくる。この意味では、アンプにたとえれば、現在のプレーヤーシステムは、プリメインアンプの範囲にとどまり、高級セパレート型アンプに匹敵する製品は皆無といえよう。
 今回ソニーから発表されたPS−X9は、まさしくセパレート型アンプのランクにある待望された大型製品である。
 直径38cm、重量2・8kgの大型ターンテーブルは、トルクムラによる振動がない起動トルク7kg/cmの大型リニアBSLモーターでダイレクトドライブされ、サーボ系は、マグネディスク検出方式に加えて、クリスタルロック機構付である。プレーヤーベースは、モーターとトーンアームを他の部分から隔離したアルミ鋳造フレームによるフローティング機構を備え、アルミダイキャスト製の固定フレームからゲル状の高粘性体のインシュレーターで懸架されている。また、モーター部は軸受部分が砲金製、モーターハウジングが鋳鉄製である。
 トーンアームは高感度で剛性が高い軸受ブロックとパイプには剛性アルミ合金と炭素繊維をラミネートした材料を採用し、内部のリード線には高域損失が少ないリッツ線を、シェル固定には前後2箇所で締めつけるネックシリンダー機構をもつ。
 カートリッジはマグネシュウムシェルと一体化したXL−55Pro、電源はパルスロック型で、MCヘッドアンプとフォノイコライザーが内蔵されている。なお、トーンアームはオートリフター機構付である。
 PS−X9に各種のカートリッジを使い、内蔵アンプを使用せず、ダイレクトにコントロールアンプに接続して試聴してみると、安定感があり重厚な低域をベースとして、テープの2トラック・38センチ的な雄大なスケールをもったダイナミックな音に変貌した。
井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 TA−F6Bは、プリメインアンプの電源に最初にパルスロック電源を採用した注目の製品である。MCヘッドアンプ、DC帰還付イコライザー、新開発のドライバー用IC採用のDCパワーアンプなどに特長があり、対数圧縮型の大型パワーメーターを装備している。
井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 一般にオーディオ用パワーアンプには、Aクラス動作、Bクラス動作といったアナログ増幅法が採用され、電力増幅素子の出力側がスピーカーと電源の間に置かれ、素子の内部抵抗を変化させて負荷であるスピーカーに流れる電力をコントロールしている。この場合、電源からの電力はスピーカーのなかだけではなく、増幅素子によっても消費され電力の損失になるが、PWMアンプのようなデジタル増幅器では、扱う信号はパルスであるため、増幅素子は単純にオンかオフの動作しかない。つまり、デジタル増幅器では、増幅素子はスイッチの役目を果たすことになり、オンのときには抵抗値がゼロ、オフのときには無限大であれば、すべての電力が負荷であるスピーカーに供給されることになる。したがって、アンプの効率は100%になるはずだが、実際にはオンのときに抵抗値がゼロにならないため、効率は80〜90%になる。
 オーディオ信号をデジタル変換するためには、500kHzの搬送波をオーディオ信号で変調し、PWM波としておこない、これをデジタルアンプで電力増幅をし、フィルターで搬送波を除去し、もとのオーディオ信号を取出している。このタイプを採用した製品としては、米インフィニティのしプがある以外はなく、国内では、数年前からソニーで研究され、試作品として発表されたことがある。
 TA−N88は、これをベースとして製品化された国内最初の製品であり、電源にも高能率のパルスロック方式のスイッチングレギュレーターを採用しているため、画期的な超小型で160W+160Wのパワーを得ている。
 TA−E88は、PWNステレオパワーアンプ、TA−N88と組み合わせるプリアンプとして開発された製品である。本機のコンストラクションは、完全に2台のモノアンプを前後に並べ、入力端子から出力端子までの信号経路は最短距離を一直線にとおるように配置されている。機能は単純型でクォリティ重視の設計であり、各ユニットアンプは入力コンデンサーのないダイレクトカップリングのDCアンプ構成で、低雑音LECトランジスター採用のMC用ヘッドアンプを内蔵している。各使用部品は物理的にも聴感上でも厳選されている。
 この組合せの音は、従来のソニーのアンプとは一線を画した、滑らかで、明るく、伸び伸びとしたものであり、デジタルアンプ然とした冷たさがないのが好ましい。適度の暖かさがあるのは特筆すべき点である。
井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 カセットデッキの性能向上を最大のポイントとし、かつてのオープンリールデッキの名器といわれたモデルのナンバーを受継いで開発された、ソニーひさしぶりの3ヘッド構成の製品。性能志向型のため機能はミニマムに抑えられているが、各テープに対応するマニュアルチューニング機構、最新アンプ系と電源を備え、その音質は、デッキやテープの現在の水準をするためのリファレンスとして最適であり、その信頼性の高さは抜群である。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 TA−E7BとペアとなるDC構成の100W+100Wの出力をもつパワーアンプである。このモデルは、パワーアンプの機能を具現化した独得なスタイリングが特長であり、従来のソニー製品にないフレッシュな魅力がある。とくに、フロントパネル下側の空気取入れ口は、電力を扱うパワーアンプに応わしいデザインと思われる。
 回路面での特長は初段がデュアルFETを使ったカスコード接続の差動アンプで、カレントミラー回路によって出力を取り出し、2段目は定電流負荷のカスコードアンプによる2段構成である。このカスコード接続は、出力側からの帰還容量により生じるミラー効果がなく高域での伝送能力の向上と直線精を改善している。パワー段は、パルス応答性が優れたV−FETと高周波用トランジスターをカスコード接続し3組使うトリプル・プッシュプルのピュアコンプリメンタリーSEPP・OCL回路である。
 パワーアンプにとってはもっともベーシックな部分であり、性能に影響を与える電源部は、左右チャンネル感の干渉を避けるために左右チャンネル独立型であり、同じチャンネル内でも電圧増幅段用と電力増幅段用を独立させた4電源トランス方式で、電圧増幅段用にはFETを使った定電流バイアス供給式の定電圧回路により安定化が図られている。電力増幅段用電源トランスは新開発のトロイダル型、電源のコンデンサーは22、000μF×4である。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のソニーのプリメインアンプ、FMチューナー、カセットデッキなど一連のコンポーネントは新しいデザインに装いを変えているが、今回発売されたセパレート型アンプも、当然のことながらシリーズ製品らしい新しいデザインとなっている。
 機能目では、現在のコントロールアンプと呼ぶに応わしい標準的な装備だが、伝統的なレバーとロータリースイッチを組み合わせたクイックアクセス方式のファンクションセレクターをはじめ、32ステップのアッテネーター型ボリュウムコントロール、2dBステップでターンオーバー周波数が各2段に切替可能な高音・低音コントロールの他に、VU、ピーク、サンプリングホールドの3通りに切替可能なメーターがあり、これは感度調整もできる。また、フロントパネルの優先割り込み式のテープ2用ジャックはテープファンには好まれるだろう。
 回路面では、単体のヘッドアンプHA55と同様な構成をもつLEC低雑音トランジスター使用のMC型カートリッジ用ヘッドアンプ、DC帰還回路付NF型イコライザー、初段にFETを使ったDC構成のユニットアンプなどが採用され、フォノ入力は切替はリレーを使ったリモートコントロールである。また、電源部は、ヘッドアンプ部、主信号系およびヘッドフォンアンプ部、メーカー回路用の4系統を分離し、主信号系とヘッドアンプ用にはFET定電流電源を使用した定電圧回路を採用している。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 昨年末、10万円をこす価格ランクにフロアー型スピーカーシステムとして発売されたソニーのSS−G7は、物量を投じたユニット、エンクロージュアを採用した、本格派のスピーカーシステムとして注目されているが、今回、Gシリーズの第二弾として、SS−G5とSS−G3が加わり、シリーズ製品らしいラインナップとなった。
 SS−G5は、シリーズ製品だけに、SS−G7と同様な構想のシステムだが、もっとも大きく異なる点は、エンクロージュアがブックシェルフ型となっていることで、オプションの物凄く重いスタンド(WS−G5)を使えば、フロアー型としても使えるようになっていることだ。
 低音は30cm口径の高剛性リブコルゲーション付のカーボンコーン採用で、磁気回路はアルニコ磁石とT型ポールに加えて特殊鋼材を用い、第3次高調波歪みの発生を抑えている。中音はドーム型とコーン型の利点を兼ね備えた8cm口径のバランスドライブ型ユニットで、磁気回路には電流歪を軽減するT型ポールを使ってある。
 また、高音は厚さ20ミクロンのチタン箔を一体成型した口径25mmのドーム型ユニットである。各ユニットは音像定位の明確化のため、等価的に各ユニットの音源一を一致させたブラムライン方式に配置され、バッフルボード表面には格子状に凹凸溝を彫ったアコースティカル・グルーブ・ボードが採用され、指向特性の改善が図られている。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 力強い活気のある音だが、どうも電気臭い匂いが鼻についてくる。マルチトラックのミクシング・ダウンを最高のレコーディングシステムと考えている人達や、そのサウンドに何の疑問を持たずにすむ感性には大層効果的に響くアンプだろう。率直にいって、洗練された美しい音を素材とした高次元の音楽の再生には、このアンプの品位では追いつかない。おそろしいもので、声や楽器の表情が影響をうけて、演奏の品が下って聴こえてしまうのである。優れた特性をもつアンプであることは認められるのだが、ほんのちょっとしたこと、しかし、一番重要なことで、アンプの音が決定的になる。試聴に使った2台のスピーカーでは、スペンドールが全く真価が殺される。JBLのほうは、それなりに、効果的には鳴る。JBLが生きるわけでは決してないが、このスピーカーの物理特性の余裕が、こうしたエフェクティヴなサウンドにも効果を発揮するということだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 価格に比してパワーは小さいが、その分中味の充実さを買ってもらおうという意図は充分達成されたアンプだと思う。実際のパワー以上の余裕ある音質感は、音楽を豊かに再生し、神経質な線の細さを感じさせない。音の立体感があって弾力性に富み、血の通った、たくましさと暖かさをもっている。空間の再現がよく、ステレオフォニックな音場がふわっと両スピーカーの間にたちこめる様は見事である。こうした豊潤な音は、私が従来のソニーのアンプに持っていた印象とは別物であり、最近の同社のスピーカーの示した変身ぶりとも相通じるものがある。無機的な響きがどうしても気になっていたソニーのオーディオ機器が、これほど人間的な値の通いを感じさせるようになったのは同慶にたえない。音楽のように人間表現そのものが生命といってよいものにあっては、こうした血の通いや心の躍動をニュアンス豊かに再現してくれるものでなければなるまい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音はいい。さわやかな高音域が、プレゼンスのよい、のびのびとした音場を再現してくれる。中低域も充実していて聴きごたえがある。スペンドールBCIIの個性的魅力もよく生かし、艶ののった瑞々しい音が生きる。きちんとした音像の輪郭、大オーケストラのfffにおける乱れのない迫力、ピアニシモにおける空間感も見事であった。どんなアンプでも、音質のコントロールは作為と偶然性が相半ばするものだと思うが、このアンプのコントロールは、スピーカーを鳴らして音楽を生き生きと聴くという実体に根ざした当を得たものだと思う。目的のために技術が駆使されるべきオーディオの本質を心得て作られたアンプだという印象を強くした。フィッシャー=ディスカウの声の柔らかさと厚味、アン・バートンの舌打ちの自然な水気? なえなかリアリティがある。ピシッとガラスがわれるようなピアノのハーモニクスも手にとるように聴こえる。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 長らくの間高級チューナーの発表がなかったソニーから、同社のトップモデルのプリメインアンプTA−F7Bの発売と同時に、ペアチューナーST−A7Bが発売されることになった。
 パネルフェイスでの特長は、何といっても受信周波数をデジタルで表示するディスプレイの採用であろう。本機では、受信周波数は、一般の横行ダイアルでチェックする他に、独立したデジタルディスプレーで正確な受信周波数を読み取ることができる。つまり、ダブルに表示をするわけだ。
 FMフロントエンドは、デュアルMOS型FETのRF増幅、デュアルFETによるバランスドミキサーと5連バリコンの組合せである。局部発振は、水晶を基準発振器として100kHzおきにロックするタイプで、精度が高く、刑事変化、温度変化による同調ズレが皆無に近く、正確な同調点を保つことが可能である。なお、ロック状態はロックインジケーターで確認可能である。IF段は、帯域2段切替型で、ノーマルではユニフェイズフィルター、ナローでは、さらに選択度を重視したユニフェイズフィルターが加わる。MPX部は、PLL・ICにデュアルFET使用の差動2段のプリアンプを設け、PLL・ICの出力をプリアンプに負帰還する構成で、ビート音を除く、ビートカットフィルターを備えている。オーディオアンプは、電源部に定電圧の±2電源を採用した音質重視設計である。なお、完全に独立したAMチューナー部をもち、FMダイアル右端に、専用ドラム型ダイアルが組み込まれている。
 本機は、ダイアル系がスムーズなため、選局のフィーリングは、さすがに高級機らしい印象である。放送局の同調点は、ロックインジケーターでも確認できるが、ダイアル指針が同調時には上下2段のLEDが発光し確認は容易である。音質は、大変にプリメインアンプTA−F7Bに似ており、粒立ちが細かく、豊かで軽い感じの中低域と伸びやかな高域が特長である。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 全般的にプリメインアンプの焦点は、パワー対価格に絞られているようであるが、ソニーから新発売されたプリメインアンプTA−F7Bは、価格的にもプリメインアンプトップエンドにあるだけに、量的なグレイドアップというよりは、むしろ本質的な質的向上にポイントをおいた、いわばプリメインアンプの形態をとってはいるが、質的にはセパレート型アンプの内容をもった製品と考えることができる。
 外観上は、まずパネルフェイスの色調がソニーのアンプとしては、はじめてのブラック系に仕上げてあることが特長であり、型番末尾のBは、ブラックを意味している。
 回路構成上の特長は、プリアンプ部の各ユニットアンプが初段FETを使うDCアンプ構成であり、パワーアンプ部もDCアンプ構成で、初段がデュアルFETによる差動増幅、出力段は、ユニークなV−FETと高周波トランジスターをカスコード接続にしたパラレルプッシュプル回路を使う純コンプリメンタリーSEPP・OCLである。ユニットアンプ間の結合コンデンサーは、トーンやフィルターをOFFの状態では、フォノ入力からSP出力まで2箇所、AUXからは1箇所と大幅に減少し、低い周波数での位相特性が優れた設計である。電源部は、パワーアンプ電圧増幅段とプリアンプ用、パワーアンプ電力増幅段用が左右チャンネル独立型で、3トランス方式である。また、信号経路を単純化する目的で、フォノ入力切替、スピーカー切替は、リレーを使うリモートコントロールであることに注目したい。
 TA−F7Bは、歪感がまったく感じられない、滑らかで粒立ちが細やかな音をもっている。聴感上の帯域は、かなりワイドレンジだが、ちょっと聴きには、広さを感じさせない良さがある。音色は軽く、明るいタイプで、中低域の豊かさ、ナチュラルで透明感のある中高域が魅力的である。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 入力インピーダンスを2段切替で選択できるMC型カートリッジ用の汎用型ブースターアンプである。本機は、カートリッジ側から見て理想的に設計されているのが特長で、電源はAC電源でパワースイッチのON・OFF時のミューティング回路をもち、ポップノイズを防いでいる。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ソニーのXLシリーズ・カートリッジは、炭素繊維のカンチレバーへの導入、新しいマグネットなどの、新素材や新技術を開発し、実用化してきたが、新しいムービングコイル型の製品XL55がシリーズに加わることになった。
 XL55は、振動系に磁性体を使用せず、コイル部分は独特な8の字型で、発電効率が高く、歪みが少ない特長がある。実際のコイルは、リング状の磁気ギャップの中に左右チャンネル用の8の字型コイルが直交して配置され四ツ葉のクローバー状に見える。8の字型コイルになった理由は、プッシュプル動作で発電するためだ。なお、巻枠は円形の非磁性体である。カンチレバーは、特殊軽合金の細いパイプの先端に針先が、後端にテンションワイアーが取り付けてあり、全長の半分から後ろ側には炭素繊維のパイプが、さらにその外側に先端を絞ったアルミパイプがある複合型である。
 磁気回路は、高エネルギー積の希土類マグネットを採用し小型で高能率化してある。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 スピーカーのユニット設計に、アポロ計画をはじめ、宇宙船の開発に応用されたNASTRANと呼ばれるコンピューター技法を導入し、聴感とデータの徹底的な検討により完成した注目すべきソニーの新製品である。
 ユニット構成は、3ウェイ・3スピーカー方式で、使用ユニットはバッフルボード面に、一線に配置されるインライン方式であるが、本機ではさらにたくユニットの音源位置を垂直線上に揃える、ブラムライン方式としている。各ユニットの音源の位置を揃える利点は、聴感上の定位感が明瞭になると同時に臨場感が豊かになることが確認されている。
 30cm口径のウーファーは、音源を揃えるために、巨大な、自動車のアルミホイールを思わせる形状の特殊成形アルミ合金フレームを採用している。コーン紙は、半頂角60度カーボコーンで、コルゲーションが設けられ、ボイスコイル直径は、10cmと大口径である。磁気回路は、直径25mm×20mmのアルニコ系鋳造磁石を14個使った内磁型で、T型ポールには特殊鋼材を使い低歪化してある。
 スコーカーは、コーン型とドーム型の中間的なバランスドライブ型で、口径は10cm、磁気回路には、120φ×70φ×17tmmの大型フェライト磁石とT型ポールピース採用である。このT型ポールピースは、磁気ギャップ内の磁束分布を均一化でき、磁場の非対称による歪みを低くできる。
 トゥイーターは、口径3・5cmのバランスドライブ型で、ダイアフラムには厚さ20ミクロンのチタンを深絞り一体成形して使用し、エッジ部分は人工皮革を採用して金属的な鳴りを抑えている。磁気回路はアルニコ系磁石を壺型ヨークと組み合わせて、16000ガウスの磁束密度を得ている。
 エンクロージュアは、バスレフ型で、バッフルボードは厚さ30mmの硬質カラ松材パーチクルボードを使用し、中高域の拡散効果を目的として格子状の加工が施してある。ACOUSTICAL GROOVEDを略してAGボードと名づけられたこの加工により、聴感上の臨場感を向上することができる。また、エンクロージュアの各壁面の放射周波数帯域を分散することにより、箱鳴りといわれて敬遠されていた現象を音色的に有効に利用している。エンクロージュア内部は、高密度フェルトを壁面に密着させ、板共振を抑え、定在波の発生を防ぐために、多量の吸音材を入れてある。
 このシステムは、各ユニットが音色的にも周波数レスポンス的にもよくつながり、音が安定している特長がある。聴感上では、さしてワイドレンジと感じないが、必要な場合には充分な帯域の伸びがわかるタイプである。音の密度は濃く、力感もあって、大人っぽい完成度の高さが、このシステムの魅力といえよう。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 独自のモーター駆動で前後方向にスライドするテープ走行部により、世界で最薄型のカセットデッキを実現した、見事なソニーらしい製品である。2ヘッド・3モーター方式の走行系には、自動選曲、キューイング機能を備え、精度の高いテープ残量計としてもメーター部は使える。ナチュラルな周波数帯域と緻密で充実した音は、さすがに高級機ならではのものだ。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 世界でもっとも小型・軽量なポータブルデッキでありながら、高級コンポーネントデッキに勝るとも劣らぬ、抜群の走光性と音質を誇るTC−D5のメタル対応機だ。本機とECM150とのコンビは、メタルテープの桁はずれの情報量を活かし、ドルビー使用では、へたなオープン顔負けの、これぞマイク録音ならではの凄いサウンドを収録できる。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 コンポーネント型としてはソニー初の3ヘッド構成である点が特長だ。バイアス固定、リミッター付を原則としたこれ以前のモデルを第1世代とすれば、発振器内蔵バイアス微調整付でキャリブレーション可能なこの製品は、テープが高度に発達し、多様化した現在に対応する、いわばソニーの第2世代の第1号機であり、その完成度は見事だ。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 価格的には、従来のK65の上級機種の位置にあるが、その内容は性能の向上を重視して、K75と同様な3ヘッド構成を採用している点に注目したい。走行系は、音質を重視して、フライホイールなどの回転系にダンプ材を使い、雑音をシャットアウトするなど、メタル対応機の第2世代らしく、優れた基本性能と音質重視設計が魅力の優れた製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 高性能な重量級プレーヤーシステムの先駆者的存在の製品だ。業務用機に準じたボディ構造を採用し、ターンテーブルには38・1cm、トーンアームは実効長264mmでXL55PRO標準装備。内部には、ヘッドアンプ、イコライザーアンプをもち、オートリターン機構付。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

世界初のDSD録音方式によるスーパーCD"SACD"を再生するプレーヤーである。開発者らしい力作で、高剛性メカニズムを採用した高級プレーヤーだ。アクセスタイムが少々遅すぎるのが気になるが、それもせっかちな人にとってであって、このくらいのほうがよいとも言える。CDもしっかりした質感で再生する。
井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

独自の光ピックアップ固定型メカニズム採用が最大の特徴の超弩級CDトランスポート。基本形はCD登場当初の業務用CDプレーヤーCDP5000ではあるが、機構の見事さは格段に本機のほうが凄い。各社D/Aコンバーターの音をもっともナチュラルに聴かせるリファレンス・トランスポートの魅力は現在でも最高だ。
井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

発売以来、すでに7年の歳月が流れてはいるが、CD再生のリファレンス機としての存在感は、いささかも失われていないのは見事。独自の重量級ピックアップ固定型機構のメカニズム的SN比の高さは、電気系ではカバー不可能である。DACは当初ほどの鮮鋭さは薄らいだが、むしろ、現在ではその安定感に魅力があり、信頼性の高さは抜群。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 MDデッキのMDS−JA50ESは、従来よりDレンジの広い録・再を可能とするワイドビットストリーム技術と、新開発ATRAC用ICの採用をはじめ、トレイ部とベースメカ間を振動遮断する新機構や、異なったレベルのDBS、LD、CDの音量差を解消するディジタル録音ボリュウム、可変ディジフィルなど、ソニーの最新ディジタル技術を集大成したモデルだ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーCDP−XA50ES/30ESは、光学固定方式、カレントパルスDAC、Rコアトランスに加え、ジョグダイアル操作の機能として新たに20kHz以上の帯域を合計9種類の遮断特性とする、可変係数ディジフィルを採用。ただ、微細な調整が可能だが、一方では悩みの種にならないだろうかと思わざるを得ない面もある。50ESのみ亜鉛ダイキャスト光ピックアップベースと、2電源トランスが追加される。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 新製品TA−FA70ES/50ESは、終段にMOS−FETを使用した全FET構成回路の採用をはじめ、一次巻線を内側に変更した継ぎ目のない新円断面コア電源トランス、ツインモノ構成5分割筐体構造、機械的ストレスを解消した新構造、電源トランス下部のMDFダンパーなどの採用が特徴。70ESにはメタルコアモジュールによる平衡入力が備わる。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ポータブルDATのTCD−D10プロIIは、アルミダイキャスト筐体採用の小型で信頼性の高いモデルだ。室外、室内を問わず、録音結果も優れ、最も信頼度の高い、レコーディングファンには必携の最優秀DATである。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DATのDTC2000ESは、DATとしては珍しく4ヘッド・4DDモーターメカを搭載。モニターヘッドによる録音同時モニターが可能だ。また、DAC出力の24ビットデータをディジフィル処理し、16ビットフォーマットを守りながら20ビット相当の録音を可能としたスーパー・ビット・マッピング(SBM)を採用している。さらに、44・1kHzでのアナログ録音が可能など、現時点で最高の性能・機能を備えたDATのリファレンスモデルである。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 カセットデッキTC−KA7ESは、現在やや注目度が薄らいでいる中堅機ではあるが、さすがに録音機での伝統を誇るソニーらしく、デュアルキャプスタンDD駆動メカの供給・巻取り双方のキャプスタンモーター軸受にサファイアを使用し、長期走行安定度を向上。加えて、Rコア2電源方式、銅メッキFBシャーシの採用など、手堅いESならではの処理が行なわれ、この十分な技術が投入された成果は大だ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーCDP−XA7ESは、光学固定方式採用の初の中堅機で、フル・フィードフォーワード・ディジフィル、FET駆動DCサーボ出力アンプ、スタティック点灯FL表示管などを備え、手堅く安定した音は正統派で、幅広いソースに確実に応答を示す音だ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 パワーアンプTA−NR1は、純A級Trモノーラルパワーアンプで、NR10のベースとなったモデルだが、全帯域にわたり独特の硬質の光沢をもつ音がビッシリと詰った純度の高い音を聴かせる。これは、上級種とは異なる本機ならではの魅力であり、最もソニーらしい音が聴かれる珠玉の名作だ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDプレーヤーCDP−X5000とプリメインアンプTA−F5000は、さりげなくグレードの高いオーディオを楽しみたいファンへのソニーの回答であろう。コンパクトなモデルながら、CDは光学固定方式、カレントパルスDAC、外部振動打消し偏心インシュレーター、アンプはツインモノ構成、MOS−FETパワー段、楕円断面コア・トロイダル電源トランス採用など、細部にこだわらず要所を押さえた、程よく息の抜けるサウンドは大人の味わいがあり、ソニー製品中ではひと味違った安心して音楽が楽しめる製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SS−R10は、従来のトップモデルSS−GR1が、ドーム型ユニット採用のスピーカーとして頂点を狙って開発され、所期の目的が達成されたため、次なる未知の領域を求めて静電型にチャレンジし、完成したモデルである。
 静電型は、基本的にフルレンジ型として使えることとトランジェント特性に優れ、現状では最も理想のトランスデューサーではあるが、現在のパワーアンプが低電圧・大電流のソリッドステート型なのに対して、極端に超高電圧かつ、ほとんど電流を必要としない、いわば電圧のみに依存する変換器であり、この両者をいかに効率良く結びつけるかに最大の問題があるようだ。つまり、変換器(トランスデューサー)として理想の変換結果が得られるが、最大音圧レベルが低いことを、どのようにクリアーするかが最大のテーマとなる。
 逆説的に考えれば、非常に特徴的な変換器では、すべての幅広いプログラムソースに対応する必要はなく、特別なジャンルでならこれならではの、かけがえのない音や音楽を再生できればよいと、潔く割り切ることもハイエンドオーディオでは認められなければならない、とも考えざるを得ない両刃の剣的な性質を、静電型は備えているのである。
 SS−R10は3ウェイ構成で、指向性の改善と各帯域ごとの最適設計が可能なことをメリットとした開発だ。ネットワークはソニー伝統の18dB型で、ユニット正相接続とすること、最低の素子数とし、ユニットの特性を損なわないことを条件としている。ネットワーク出力には昇圧トランスが必要で、アンプ負荷が重くなるため並列抵抗を入れて、システムインピーダンスを4Ωとし、インピーダンスカーブを普通のスピーカーなみとしているとのことだ。固定極はエポキシ樹脂を自動塗装設備により流動侵積塗装を施すことで絶縁耐圧を高め、固定極と振動膜を支えるフレームには、アクリル樹脂を採用している。
 バイアス電圧は、ダイオードとコンデンサーを積み重ねたコックフロフト・ウォルトン回路で取り出し、バイアス電圧変動を防ぐツェナーダイオードによる定電圧回路の採用で、高域1・8kV、中域3・9kV、低域8・8kVという安定した高い電圧を得ている。低域は2段重ねのタンデム型で、空気付加質量を半分とすることで出力音圧を6dBアップ。これによるf0の上昇は、膜テンションで調整している。
 全体に手堅く、正統派の設計で徐々につめていくアプローチは、技術的に最先端に挑戦するソニーとしては「イッツ・ア・ソニー」という印象が少ないが、静電型に初挑戦し、十分な成果が得られたことは認めたい。だが、ブラウン管製造技術を活かした昇圧トランスレス化ぐらいは望みたくなるのは、技術集団のソニーを認めていればこその願いである。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 TA−NR10は、シリーズ製品のTA−NR1をベースに出力段をカスタムメイドMOS−FET化し、純A級100W/8Ωとした上級機種。電源は重量10kgの巨大トロイダルトランスとスタッキング構造の分割・積層型電解コンデンサーによる構成だ。また、純銅製放熱版の採用をはじめ、ハイカーボン鋳鉄シャーシを用いた筐体には、スピーカーの音圧、床振動を低減させる音響的チューンが施されている点がユニークだ。
 非常に力強くマッシヴな低域をベースに、伸びやかで、ナチュラルに高域に向かってレスポンスが伸び、表現力にも豊かさがある。ER10との組合せで、かつてのTA2000+TA3120F的な、現代のリファレンス・セパレート型アンプとして、じっくりと聴き込んでほしいモデルである。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 TA−ER1プリアンプは、独立電源部をもつバランス優先設計の超広帯域・超高SN比が特徴の、現代最先端のプリアンプだ。バランス入力端子と高平衡度バランスアンプを直結し、入力信号を直ちに差動合成する考え方は、ノイズ打ち消し効果が高く、通常120dBの信号伝送系SN比を170dBに高めているという。また、信号ロスを低減するため、入力インピーダンスは4MΩと異例に高い。加えて、不平衡入力の平衡アンプによる増幅、ホット/シールド切替を同時に行なうパラレルスイッチ機能、リモコン可能な真鍮削出し筐体収納のコンダクティヴプラスチック・アッテネーターの採用などが特徴。出力段はMOSダイレクトSEPP方式で、駆動能力の安定化と強化が特徴だ。
 MM/MC対応フォノEQは、MC用に昇圧トランスを搭載。リモコンボリュウムは超音波セラミックモーター駆動で、停止時には制御系的にもメカニズム的にもすべて解除状態となる。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CDP−R10+DAS−R10のセパレート型CDプレーヤーは、最もソニーならではの技術集団の成果が見事に表われた傑作であろう。
 ディスク型プレーヤーでは、古くはエジソンの蝋管蓄音機以来、信号を読み出す部分──アナログディスクではカートリッジ、CDでは光ピックアップ──を移動させることが伝統的に行なわれ、これが常識となっていた。ところがソニーは、CD開発メーカーであるだけに、初期の業務用CDプレーヤーCDP5000で、早くも光ピックアップを固定し、ディスクを移動させるコペルニクス的展開の、ソニーでいう光学固定方式を完成させている。これをベースにメカニズムを見直し、現代の最先端技術で開発されたのが、CDP−R10に採用された光学固定方式メカニズムである。
 超重量級アナログプレーヤーに相当する、表面がわずかに凹んだアルミ合金ターンテーブルに、ディスクをマグネットチャッキングプーリーで固定し、間歇的にディスクを移動させるノンサーボ・スレッド機構により、サーボを使わずディスクを移動させている。また、重量級のターンテーブル・モーターなどが載ったベースは、5点支持・磁気吸着の軸受けブロックで鏡面仕上げのレール上を移動するが、重量が大きく、磁気吸着されているため、外部振動に強いメリットも大きい。アナログディスクの超重量級ターンテーブルと同様に、CDP−R10の巨大なディスクを載せたこ移動ベースは、通常型に比べ圧倒的にメカニズムSN比がよく、ディスクに記録された情報を最も正確に読みとれることでは、類例のない究極の機構である。
 DAS−R10は、電圧で表現されたパルス例を電流パルスに変換するカレントD/Aコンバーターを採用している。これは、音楽信号を電流の揺らぎや演算ノイズからの直接妨害からガードする特徴がある。また、演算能力の高いDSPを8個並列使用で誤差の少ないFIRディジタルフィルターや、全アナログ信号系のディスクリート部品構成を採用するなど、CDP−R10とのペアにふさわしい現代のリファレンスモデルだ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 個人にとってブランドのもつ価値観というものは、どのような製品に巡り合い、それがどのようなオーディオ製品であったかにより大幅に変わるようである。
 とかく趣味の世界には、実際に使ったことがなくても、本やカタログなどを詳細に調べ、同好の士と夜を徹して語り明かし、ユーザー以上に製品のことを熟知しているという趣味人も多い。それはそれでよいのだろうが、オーディオ、カメラ、時計など、物を通じて楽しむ趣味の場合には、対象となる製品は基本的に人間が人間のために作った優れた工業製品であるべきだと考えるため、最初に巡り合った製品が、そのメーカーやブランドの価値を決定することになるようだ。
 ソニー製品との出会いは'50年代以後であるから、個人的には比較的に新しい。日本初のステレオ・オープンリール・テープレコーダーとして歴史に残るTC551が、実際に手を触れ、録音し、音を聴いた最初のソニー製品である。当時の管球式としては非常に厚みがある力強い音と、程よいシャープさをもつ音で録音・再生できたテープレコーダーならではの魅力は、一種のカルチュアショックで、このために、その後、各種のレコーダーやマイクロフォン、検聴用ヘッドフォンに凝ることになった。
 現在のソニー・トーンの原型は、ソリッドステート初期の業務用オープンリールデッキで、ダイヤトーン2S208をFM局のスタジオで聴いた折の音の純度を可能な限り上げ、物理的特性を時代のトップランクとして入出力を可能な限り等しくする、といった非常に明解な技術優先の思想が感じられる音だ。
 この時代の最先端をいく技術を集約して製品に注入し、プログラムソースに入っている音は情報量としてすべて引き出して聴こうという考え方は、ハイエンドオーディオの世界では、とかく趣味性に乏しく、感性に欠けるとされがちだ。しかし、勘や経験に頼らず、論理的にオーディオを追及すれば、必然的にこの考え方に帰結するし、納得できるものだ。こうした技術を最優先とするオーディオへのアプローチは、たとえ結果としての音が理詰めで論理的とか、緊張感を強いられるなどと言われようが、個人的には非常に潔く、むしろ心地よく感じられる。
 半導体アンプ初期の技術を結集して開発されたプリメインアンプTA1120、パワーアンプTA3120に始まったESシリーズ製品は、歪み感が非常に少なく、クリアーで抜けがよく、音の輪郭をクッキリと聴かせる、ソリッドステートアンプならではの魅力を引き出したものとして世界的に高い評価を受け、ソリッドステートアップの頂点に君臨するブランドとして定着した。
 この見事な音質は、最先端技術を駆使し、単に再生のみでなく、録音・再生を通して積極的に製品の追及を行なうという、ソニーならではの特徴が色濃く出た見事な成果といえるであろう。
 ソニーならではの、最先端技術を基に挑戦した製品には非常にユニークなものがある。たとえばモノーラルLP初期のアーム一体型のインテグラル・チャージ型コンデンサー・ピックアップ、名器と呼ばれたC37Aコンデンサーマイクなどだ。この管球式C37Aが、世界初のトランジスター式コンデンサーマイクC38を生むことになる。
 テープデッキ、フォノカートリッジ、トーンアーム、ターンテーブル、アンプ関係では常に各時代の最先端技術を開発し、世界のソニーの名をほしいままにしているが、ことスピーカーシステムとなると、初期の作品で低歪みを提唱したULMシリーズをはじめ、優れた性能と優れた音質間の非整合性に悩み続けた。しかし、'70年代のPCMが公開された頃の3ウェイシステムSS−G7、続くSS−G9などの独自のプラムライン配置のフロアー型システムで、スピーカーのソニーの第一歩を記した。そして、平面振動板採用のAPMシリーズを経て、ラウンドエンクロージュア採用のSS−GR1を登場させ、さらに静電型にチャレンジした結果が、今年の新製品SS−R10である。
 とにかく目標を定め、そこに集中したときの開発力の物凄さは、数多く存在する技術集団中でも抜群に強力で、短期間に驚くほどの成果を挙げた例は枚挙にいとまがない。
 EIAJ・PCM、CD、DAT、MDなど、特にディジタル機器で最もソニーの特徴が発揮されているようだが、逆に、急速に開発が進行するため、CD初期の一体型CDプレーヤーと単体DAC間のアブソリュートフェイズの混乱、急激に促進したが息切れをしたLカセットなど、取りこぼしが出たことも否めない事実のようだ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 国内製品としては、現在唯一のオープンリール・ポータブルデッキである。サーボコントロールされる走行系はさすがに抜群の安定度を誇り、ワウ・フラッターも大変に少ない。歪み感がなく、スッキリとした粒立ちの良い音は、やはり、2トラック・19cmならではのもので、生録音などでの音場感はナチュラルに拡がり、とくに前後方向の奥行きをクリアーに聴かせる。やや重いのが気になるが、38cmが使えればと望みたくなる。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 エルカセットデッキは、現在まだ定着した存在ではないが、カセットデッキのマスターレコーダーとして充分に使える性能がある。このモデルは、何よりも小型であり、ドルビーを積極的に使える感度調整をもつ点が好ましい。走行系はカセットとは比較にならぬ安定度があり、音ゆれが少ないのはさすがである。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 新しくモデルナンバーがシンプルになって登場した一連のコンポーネント中で、このK7は、事実上のソニーのカセットデッキのトップモデルである。操作系は、スイッチ型のプランジャーコントロールで快適に動作し、オプションのリモートコントロールも使用可能である。走行系は安定で、そのためカセットにおきやすい音質のゆれが少なく、ソリッドでスッキリした、いわば、カセットデッキの標準的な音が特長である。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ソニーのコンポーネント型デッキは、このところ新機種に置き換えられている。この4300SDは新しい製品ではないが、予想外に良いデッキが少ない中級機の価格帯では、現在でも目立つ存在である。性能、機能、音質、操作性などとくに優れた特長があるわけではないが、オーバーオールのバランスがよく、長期間の使用でも安定して働く点は、カセットデッキがメカニズムを中心としているだけに大きな長所といわなければならぬ。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 ソニーのカートリッジは、LP時期のコンデンサーピックアップ以来、時折高級モデルが発表される程度で、これがソニーのカートリッジだ、という認識にまでは至っていなかったが、最近のXLシリーズになって一躍完成度が高まり、モデルも増加して製品として充実したものになってきたように思われる。
 XL45は、粒立ちが細かく、低域のダンプは少しソフトと感じた。聴感上の帯域バランスは、中低域に量感があり、空間の広さを感じさせる響きがある。中域は僅かに薄い傾向をみせるが、高域は素直に伸びている。カラリゼーションが少なく、淡白でスンナリとしたナイーブ型の感じがあり、音の芯にカッチリとしたところはないが、滑らかなメリットがある。
 音場の拡がりは、ややホールトーン型で空間の広さか感じられ、音場はスピーカーの後に拡がるタイプで、音像が前に立つ傾向は少ない。現代型で品がよく、少しクールな大人っぽさが特長といえよう。
 XL35は、全体に音に活気があり、若々しい印象があり、音像がクッキリと立つ音をもっている。中低域のエネルギー感が充分にあり、安定しているために、クリアーな中域から中高域の音が適度のコントラストをつけて、ピアノも良い意味でのキラメキがある。また、ヴォーカルもリアルさがあり、あまりハスキー調にならぬ良さがある。音に力強さと厚みがあるために、現代的なストレートな表現が活かされて一種の個性になっているのがよい。
 XL25は、XL35と同系の音をもっている。粒立ちは少し粗い感じで、SN比が気になることもある。聴感上の帯域バランスはXL35より狭いが、全体に音が締まりソリッドな魅力がある。柔らかく響く中低域と、腰が強い低域をもつため、やや線は太いが安定感があり、力強く、性質はガラリとして男性的である。
 XL15は普及モデルで、粒立ちが粗く、XL25よりもSN比が悪くなる。トータルバランスは適度で、かなりコントラストの付いた表現をするが、大きな破綻はみせず、巧みにマクロ的に音をまとめるため、音には安心してきける良さがある。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「コンポーネントステレオ──世界の一流品」より

 ソニーには、従来もMC型の製品があったが、 XL55は自社開発の最新モデルである。発電方式は、コイルの巻枠に磁性体を使わないタイプで、コイルには独得な8字型をしたものが、左右チャンネル分として組合されている。カンチレバーは、軽金属パイプと炭素繊維の複合型で軽量化され、CD−4方式にも対応できる。針圧は、やや重いタイプで、音の重心が低く、安定した力強い音が特長。性能は現代的ながら音質的に表面にそれが出ないのが良い。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「コンポーネントステレオ──世界の一流品」より

 現在の高級チューナーとして、とくに驚異的な内容を誇る製品ではないが、デザイン、性能、機能などの総合的なバランスが大変に優れたモデルである。
 デザインは、ソニー製品の特徴である機能美をもったもので、仕上げも入念であり、各コントロールのフィーリングも一流品らしくコントロールされている。最近の高級チューナーといえば、シンセサイザー方式の導入や、水晶発振器の信号を基準として局部発振回路を100kHzおきにロックする、クリスタルロック方式が採用されることが多いが、シンセサイザー方式の重心周波数がディジタル表示される未来志向型といった感じはかなり面白いが、スイッチを使っておこなう選局は実感が薄く、どうも選局をしたという感覚的な確認が乏しい。
 ST−A7Bでは、クリスタルロック方式を採用し一般的な走り幅が広いダイアルをもちながら、シンセサイザーチューナー的な、ディジタル周波数ディスプレーをもっているのが大変に楽しいところである。たしかに、選局ということだけでは不要かもしれないが、チューニングツマミを回して選局するという、かなり人間的な感覚と、新しい世代のチューナーを象徴するようなディジタルディスプレイと共存は、まさしく趣味としてのオーディオならではのものといった印象である。また、とかく高級チューナーは、FM専用とする傾向があるなかに、完全に独立したAMチューナー部があり、FMダイアルの片隅みに小型のダイアルが目立たず付いているのも好ましい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 ソニーSS−G9は、38cm口径のウーファーをベースにした4ウェイ・4ユニット構成の大型フロアーシステム。堂々とした体躯にふさわしい豊かな表現力をもち、スケールと情報量の大きさは特筆に値する。4ウェイのバランスもよくとれていて、質的な連りにも不自然さがない。
菅野沖彦

'81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「'81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ソニーの特別に高級なプレスティジ製品エスプリ・ブランドのパワーアンプだ。内容は別稿の通りかなりのもだが、見たところは、何の変哲もないぺたんこの金属箱で、夢や、使う喜びが感じられるものではない。2〜8Ω負荷に対して200W+200Wのパワーを保証したモノーラルアンプ。ノンスイッチングのA級パワーステージには、NFBも使っていない。電源はパルスロック型。内外ともにモダンで透徹なイメージのアンプ。

音質の絶対評価:9
瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 音の輪郭にことさらコントラストをつけて鳴らす感じ。つまりクッキリ型なのだが、その輪郭がいささか筆太で、タッチが大づかみだ。音のバランスの点では問題なくいい。ハイコントラスト型の音で音楽のディテールをはっきりくまどるのだが、黒田恭一氏流にいうと、音をあきからにするというよりもあからさまにする、という感じに近い。鳴っている音が、我もわれもと互いにかき分けて出しゃばってくるような感じで、一例をあげれば、F=ディスカウのベルベットのような声を、どちらかといえばむき出しの、やや品位の欠けた声にする傾向で聴きとれるいうように、抑えて聴きたい音もすべてさらけ出してしまうようなところが、永い時間聴いてゆくと次第にやり切れなくさせてしまう。TA5650や3650にもそういう性格はなかったわけではないが、それと目立たないくらいまでコントロールされていたので好ましかったのだろう。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 TA3650でも感じたことだが、ソニーのアンプは新しいシリーズになってから路線を変更しはじめたように思う。どういうプログラムソースでも音にいじけたところがなく、朗々とたっぷりした響きで豊かに鳴る。ナマの楽器の持っている一種の明るい自在な響きを、このアンプはよく掴まえて聴かせる。音楽のファンダメンタルの領域でいかにも音が充実しているので、音がやせたり細くなったりしない。ただ3650のところでも書いたように、弦の高域など繊細であるべき音をいくらか太目に表現する傾向があるが、音に新鮮さとしなやかな表情があるために、音の太いことが聴き手にあまり不満を感じさせない。JBL系のスピーカーで合唱曲など聴くと、押しつけがましさがないとはいえないが、総体に長所の方が多く、よくできたアンプといってよさそうだ。この価格帯ではパワーが少なめだが、聴感上の音量を相当上げてもパワー不足という感じはしなかった。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 これは良くできたアンプだ。いろいろなプログラムソースを通して聴いて、違ったタイプのスピーカーを組合せてみて、どの場合にも破綻をみせないし、それが単に平均点的優等生であるところを越えて、もっと音楽を充実して聴かせる密度の濃い音を持っている。この製品が6万円そこそこの価格であることを忘れさせるまでには至らないにしても、あ、いい音がするな、とつい聴き込んでしまう程度の良さがある。ただ、音の力と緻密さを大切にしたことはわかるにしても、弦の高域や声楽で、いくらか芯を太く、多少強引に、音を硬めに鳴らす傾向はあるが、音の基本的な質が良いせいか、それが弱点とは感じられず、むしろパーカッションなどで、腰のくだけないクリアーな鳴り方を印象に残す。しかしトーンコントロールをONにすると、右の特徴が失われて、曇り空のような冴えのない音になってしまう。この部分の磨きあげがもう一歩、という感じだった。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ソニーのプロフェッショナル級のカセットレコーダーで、ポータブル機としての諸条件がよく検討された、信頼性の高いマシーンである。デザインも内容も、ソニーのキャリアが生きた堂に入ったもので、完成度の高い、持つ者に高い満足感を与えずにはおかない高級機である。しっかりした音と作りだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ソニーのコンポタイプデッキの新シリーズ、TC−Kラインのベーシックモデルといってよい、きわめて実質価値の高い普及機である。コンパクトカセットは、いまや、高級なハイファイ型に関心が集中しがちだが、本来は、このような機器で、エアーチェックや、簡単な録音を楽しむものかもしれない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 クォーツロックサーボ・ターンテーブルとして早くから登場したシステムである。数々の新技術をとり入れてまとめられた、いかにも機械といったイメージが表面に出すぎているのが、個人的には少々好みに合わないが、実質性能は高く評価できる。スタティックバランス型トーンアームも、適応性の広いユニヴァーサルタイプとして、音質的にバランスもよい。やや生硬な音になるのは、見た目からくる先入観かもしれない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 フロアー型エンクロージュアにおさめられた3ウェイの本格派である。ソニーのスピーカーとしては、いろいろな点で新しい技術的アプローチが見られ、スピーカー作りのソフト・ウェアの研鑽が実ったシステムである。ゆったりとした余裕ある再生音で、音楽の表現をよく生かして鳴る。堂々とした製品だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ヴァーティカルユースのカセットデッキは、アンプ群との混用にはもってこいのものだ。操作性にも充分な洗練がなされているし、大変安定した走行系も安心して使えるデッキである。付属機構も、ドルビー、ライン・マイク・ミキシング、フィルター(MPX)と必要なものは揃えて要いる。イコライザー3段、バイアス3段の切替で、テープへの適応性も広い。SN比のいい、すっきりとした音がデッキの性能のよさを示している。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 いかにもソニーらしく、ターンテーブル(駆動モーター)もアームも、ベースその他も理詰めでまとめられ、レコードというオーガニックな素材から音楽という官能的な芸術を抽き出すプレーヤーとしては、いささかメカニックにすぎる印象が個人的には好きになれないが、しかしアームの音質を含めて、ひとつのプレーヤーシステムとして考えたときの音質や物理データが、きわめて高い水準でまとまっている点を評価する。
菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 角型平面振動板というユニークなユニットを4つ使った4ウェイの大型フロアーシステムで、ウーファーの実効面積は円形コーンの38cm口径に匹敵する。理想的ピストンモーションを追求して生まれたこのシステムが、多くの技術的困難を克服して、ここまでの音質にまとめられたことは立派だ。きわめて純度の高い音質で、バランスや質感のコントロールもよく整えられた注目すべき製品である。
岩崎千明

週刊FM No.17(1976年発行)
「私の手にした新製品より」

 カセットは、はっきり二分化してきて、生録志向の可搬型2電源方式と、パネル型実用性能型に人気がある。ところでこの可搬型、どうも大きくて重すぎて、ステレオ型でない安いものにくらべて可搬型とはいい離い。ソニーの今度の新型は、高性能ステレオ・カセットとしてもっとも小さい方で、これで初めてラジカセなみとなった。これぞ、まさに本物のポータブル。肩にかついでいても、くたびれないですむ、ひとまわり小さい大きさと4.6kgの重さで、それで性能は今までと変わらぬどころか、上まわるというのだから、まさに本場の本物。左側の操作レバーの下にヴォリューム以外のツマミを一列に配し、右側には大型のカッコいいメーターの下に大きく扱いよさそうな丸型ヴォリューム・ツマミが、でんと収まる新しいパネル・レイアウト。
 音の方もバランスの良さから一段とハイファイ的で、広帯域化か強く、スッキリした音と低ヒスのため、デッキとして使うとアンブ型とくらべてもまったく遜色ないのに驚いた。
 マイクを使っての録音もすばらしく、緻密な音で、広帯域低歪感の充分な、スッキリした音で、楽器の音のクリアーな迫力はみごとだ。ヒスやノイズの少ないのも生録の時の特筆できる特長だ。
 単1×4で6時間という経済性も、ポータブル型らしく抜群だ。TC−2850はかくして生まれかわってTC−3000になり、本当のポータブル・ステレオ・カセットとして完成した。
岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 一口に言ってハイエンドもローエンドもいかにもよく伸びた印象を与える。オーディオ界の中でもとくに現代指向の強いもので、それがわりあい明るいサウンドであるところにソニーらしい、若いファンを充分に意識している姿勢を感じ取ることができよう。
 XL45は、ラインコンタクト針、45Eは楕円針で、それぞれきわめて安定したトレース特性は国産カートリッジの中でも最上のひとつだ。あまりデリケートな扱いをしなくても、かなり優れたトレースを安定にやってのける。鮮明というほど鮮やかというわけではないが、音のディテールはかなり良くとらえて、しかもその内側の緻密さや力感も不足なく出してくる。ステレオ音像のたたずまいも、その後のバックグラウンドの部分もそれなりに感じさせてくれる。広がりの安定性もしっかりしていて安心させてくれる。
 XL35は、充分な力感をもち、明るいサウンドが身上といえる。くっきりとした音の表現は全体のバランスからみても、相当高いクォリティをもっている感じがある。XL45に比べるとまとまりとしては、この35の方にも充分良さをもっていることがわかる。ソニーの中では、このXL35がもっとも売れる製品なのではないかとさえ思わせる。
 XL25は、もっとも最近になってから出された機種ともいえるので、音はどちらかといえば、ソニーの、この一連のXLシリーズの特長でもある明るいパステルカラーのような音を再現してくれる。それほど広帯域をカバーしているわけではないが、中域にエネルギーをもったサウンドは全体のまとまりを良く感じさせる。
 XL15は、ソニーの中でのもっとも普及価格の商品として、決して単なるローコスト商品に終らぬ良さをもったカートリッジといえる。なによりも音楽のメリハリを充分に出してくれる点は、このクラスのカートリッジにとっては重要なことだ。音のクォリティよりも、初心者にとって大切な音楽の表情をそれなりに表現するのがよい。
菅野沖彦


ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)

特集・「世界の一流品」より


 ソニーが世界の一流ブランドであることには異論はないだろう。私自身も日本人として、ソニーを多方面から眺めているので、外国人が信頼するほどには必ずしもソニーを見てはいないが、やはり、世界の最高級ブランドであることには違いないと思う。そのソニーの製品を一流品に挙げるとすると、私自身は〝ジャッカル〟のような、テレビとラジオとカセットを組み合わせてコンパクトにまとめた製品をソニー的一流品だと思うのだが、残念ながらこの製品はオーディオの分野にはいれられない。

 コンパクトということからいえば、ソニーが昔からデンスケという名称を付けた製品を持っていたぐらい、携帯用の録音機に関しての技術的キャリアは非常に古いのである。現在でも放送局などで活躍しているEM3というプロフェッショナルユースのオープンリール・デンスケは、その分野では有名な存在である。

 コンシュマーユースのオープンリール・デンスケを挙げるとすると、やはりTC5550−2という製品になる。外形寸法は、333×136×296(W×H×D)mmとコンパクトに仕上げられ、重量も乾電池を入れた状態で6・8kgと軽量だ。ポータブル型テープレコーダーであるだけに、電源も一般的なAC100Vのほか、乾電池8個、充電式電池、カーバッテリーの4電源方式で、どこででも使用可能である。このように、機動性がよく、高性能な、このTC5550−2を一流品として推選したいと思う。

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/附属のカートリッジ(XL55Pro)は参考にとどめ、他機と同じくMC30、EMT、DL303を主に試聴した。こんにちのように高級プレーヤーの音質の解析が深くおこなわれる以前の製品としては、相当に水準の高い音を聴かせる。切れこみがよく、鮮度の高い印象の音がする。ただ、パーカッションが一発パッと入ると、音のスペクトラムが中〜高域寄りに散る感じがあって、大型機の割に低音の土台の支えが弱く、表面的な派手さで聴かせる傾向がわずかにあって、本当の充実感ではなく、どことなく空威張り的な音といえる。内蔵のヘッドアンプのほうに切換えてみると、MC30に対しては少々ゲイン不足で残留ノイズがいくぶん耳につく。附属カートリッジとの相性はさすがによく、ゲインは充分。音が一杯に出て、いかにも情報量が多い、という印象を与えるが、私の耳にはどうしても本当の充実感にきこえにくい。ずっと以前、本誌48号でのブラインドテストのときとは印象が違うのは、あのときのテスト機は、あとから本調子が出ていなかったことがわかったそうで、フローティングの有無によっても音が変わるそうだ。
●デザイン・操作性/スイッチ類の配置は仲々キメ細かく、感触も仕上りも上出来である点はさすが。ただし、プレーヤー右手前の部分は、アームの操作のために右手が頻繁に往復するので、速度切替スイッチのボタンの軽いタッチが仇となって、不用意に触れてしまうおそれがあり、人間工学的にはここが問題点となる。アームは素晴らしい精度で組立てられていて、ゼロバランスをとってみると、感度の良さでは今回のテスト機中一〜二を争う出来栄えであることがわかる。スタジオ機的雰囲気は、EMTがイメージとしてあるように思えるが、いかにもソニーらしい手馴れた創りと仕上げに、魅力を感じる愛好家も多いことだろう。

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