ターンテーブルの最近のブログ記事

瀬川冬樹

ステレオサウンド 50号(1979年3月発行)
特集・「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞より

 東京テレビ音響──といっても秋葉原のテレオンとまちがえられそうなほど、このメーカーを知る人はもはや少ないが、ティアックの前身、といえばわかりが早い。いまやテープレコーダーの専業メーカーとして名高いこのメーカーの最初の作品は、しかしディスク・ターンテーブルであった。型名をR12というリムドライブ型2スピードで、78/33がR12A、45/33がR12B。駆動モーターをインダクションでなくヒステリシスシンクロナスにしたものが、それぞれR12HA、HB。発表は昭和28年末だが、一般への発売は翌年に入ってからだった。当時、不二家の電蓄用リムドライブか、アカイのC3,C5ぐらいしかまともなモーターのなかったところへ、このプロフェッショナルタッチの本格的ターンテーブルの出現はショッキングで、私は吉祥の外れにある工場までこれを買いに行った。二年ほど後にこのターンテーブルはヤマハに買収され、GKデザイン研究所の手でリファインされて、KT1,KT1Hの名に変るが、ともかく、日本のLP初期にこのターンテーブルの果した役割は大きい。かつて日本電気音響KK(現DENON三鷹工場)で、NHK納入用はじめ本格的なプロ用機器の設計技術陣の中心人物であった、谷勝馬、阿部美春、井上丘氏らの作品なのだから、設計が良いのは当り前。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

回転機の基本性能を機械的に重視した重量機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインは個性が強いが性能と対応性は最高度の製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ベースと一体のデザインの美しさは抜群。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナル設計を着実にリファインして得られた高性能をもつ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

この種の高性能機のオリジナルであり、今も最高性能を維持。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

現代的にサーボ能力をフルに生かした性能の高さは同社独特の魅力だ。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質が優れたフォノモーターとして、その定評の高さは抜群である。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ユニークなデザインをもつ意欲的な作品である。個性的な魅力は抜群。
井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

業務用の経験をコンシュマー用に生かした性能と安定性は流石に見事。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナルアームつきの方ではなくSMEと組合せるタイプが楽しい。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

33回転オンリーは難点だがDD時代にアンチテーゼを示す音質の良さ。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質の良いDDモーターの一つ。ゴムシートに埃のつきやすいのが難。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

製造中止の噂が伝えられるが、ぜひとも残して欲しいユニークな製品。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

何のかのいってもやはり当分のあいだはDDモーターのスタンダード。
井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 レコード盤とターンテーブルを空気により吸着一体化し、無共振化するバキュアム・ディスク・スタビライザーを採用したベルト駆動プレーヤーシステムを世界初に商品化し先鞭をつけたラックスの、第2弾製品が、このPD300である。
 プレーヤーシステムとしての基本構成は、トーンアームレス、各種トーンアーム用に用意されたアームベース別売システムだ。
 ターンテーブルは、直径30cmアルミダイキャスト製、重量3・5kg、表面には外周と内周部にシーリングパッド、内側シーリングパッドの外に空気吸入口を備える、軸受部は10mm径ステンレスシャフトと真ちゅう製軸受、超硬鉄ボールの組合せ。
 キャビネット構造は、脚部の高さ調整可能のサブインシュレーターとターンテーブル軸受部分とトーンアームベース取付部分とを非常に強固な一体構造で結んだブロックのメインシャーシに3個の大型のメインインシュレーターを組み合わせたダブルインシュレーター方式で、外部振動を遮断している。このメインインシュレーターは、天然ゴム、シリコングリス、スプリングを組み合わせたラックス独自の2段階制動式で、水平調整ツマミでターンテーブルの水平バランスが調整可能である。なお、別売のアームベースは厚さ8mmのアルミ削り出しで作られ、各種市販トーンアームに対応できるように4種類が用意されている。アーム取付穴はオフセットしているため、ベースを回転してカートリッジのオーバーハング調整が可能な構造を採用している。
 PD300の最大の特長は吸着システムである。これはコロンブスの卵的なユニークな発想のふいごの原理を利用した真空ポンプ使用でキャビネット前面のレバー操作で容易に吸着と解除がワンタッチでできる。動作は確実で、吸着状態を表示する表示ランプがレバーの横にあり、解除で橙色、吸着で青色に切り替わる。また、本機には、アンプに採用されたAC電源極性チェッカーが備わっている点も注目したい。
 トーンアームにSAEC WE407/23、ベースにTF−MTを組み合わせる。吸着は容易であり安定度、操作性ではむしろPD555をしのぐ印象がある。音は、価格帯としては安定感があり重厚な低域は特筆に値する。使いこなしのコツは速度調整の微調でサウンドバランスをとること。
井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 昨年のオーディオフェアに出品され、一部のマニア層の熱い視線を集めた注目のプレーヤーシステムである。
 プレーヤーシステムとしては、トーンアームレスタイプで、電源部はキャビネットから分離をした独立タイプである。
 直径33cm、重量6kgのアルミターンテーブルは、下面に特殊加工を施した特殊粘弾性体を充填した防振構造を採用。モーターは、重量級ターンテーブルを33 1/3回転時に1/3回転で定速に駆動できるだけの5kg・cmの高起動トルクを発生する新開発のストロンチウムフェライトマグネットをローターに使ったLo−D独自の磁気浮上式ユニトルクモーターを組み合わせている。
 新開発のモーターは、300極精密着磁をおこない磁気誘導全周積分方式により高い周波数で高精度の速度検出信号を取り出し、クォーツロック回路で安定度が高く、応答性の優れたサーボコントロールをし大慣性ターンテーブルと軸真円度0・1μの高精度軸受機構で、測定限界にせまるワウ・フラッター0・006%(WRMS/FG法)に達している。なお、モーターシャフトはDD型としては異例の直径16mm、特殊ステンレス鋼を熱処理をしたタイプを使い、磁気浮上方式はローター磁石とヨーク間の磁気吸引力がターンテーブル重量を打ち消す作用をし、実質的には軸受重量は1/3以下に軽減され、重量6kgのターンテーブルは2kg弱の重量に相当することになる。
 キャビネットは、特殊積層材使用80mm厚ソリッドタイプで、裏面を特首謀浸材でダンプした合金キャスト製パネルをパーティクル材及び粘弾性材多層構造の本体に固着した構造である。なお、アームベースは特殊合金製重量1・5kgで、加工が難しいため使用アームに合わせてLo−D工場で加工され直接送付される方式をとっている。
 TU1000にSAEC WE407/23を組み合わせる。聴感上の帯域バランスはナチュラルな広帯域型で、音色は適度に明るく滑らかであり、いかにも高級機らしい格調の高さが音に如実に感じられる。音場感はナチュラルだが少しパースペクティブを抑える様子だが、これも超高価格機との比較での差である。高性能と強固なメカニズムを併せもった聴感上でのSN比の高さに特長がある見事な製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

超重量級のステンレス製ターンテーブルはエアフロートベアリングで支持され、ディスクは空気吸引でターンテーブルに吸着される方式。音溝に刻まれた信号のみを何物にも妨げられずに拾い出そうとする設計方針の確かさは、常識を超えた確度の高い音で実証されている。少々、テンションの高い傾向はあるが、実に濃い音だ。
井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 超重量級ターンテーブルユニットと駆動用のモーターユニットを組み合わせ使う糸/ベルトドライブ兼用アームレスプレーヤーシステム、RX5000/RY5500と同じ構想による新製品である。
 RX3000ターンテーブルユニットは、ユニークなデザインを採用したダイレクトドライブ方式のアームレスプレーヤーシステムDDX1000、DQX1000と同じく3本脚構造のデザインを受け継ぐ。ターンテーブルの回転による共振は、機械的強度、重量で吸収する設計である。設置時の安定性は高く、3本の脚部にそれぞれトーンアームが取付可能であり、場所的制約も予想以上に少ないという特徴がある。
 ターンテーブルは、銅85%、錫その他15%の合金である砲金製。比重や内部損失が大きく、直径31cm、重量10kgというヘビー級だ。フレームとターンテーブル裏側との間を凹凸型に加工し、このギャップ間の空気層でもターンテーブルの共鳴をダンプする構造を採用している点はこのモデルのみの特長である。直径16mmステンレス製シャフトは熱処理、研磨後、軸受と一対の組合せ鏡面仕上げされる。シャフトに接する軸受側は特殊ベアリング採用で、油膜に鉛の分子が均一に析出され、滑らかな回転を保てる特長がある。シャフトとベアリング間はオイルバス方式である。
 RY3300モーターユニットは、4極6スロット・アウターローター型サーボモーター使用で、ベルトと糸共用のプーリー付。糸はアラミド繊維製である。
 RX3000/RY3300に、オーディオクラフトのトーンアームを組み合わせて使ってみる。糸がけなどセッティングは手順を考えて行なえば比較的容易である。速度調整もストロボ板でチェックしたあとは、回転数の安定度は高い。RX5000/RY5500と比較すると、充実感は一歩譲るが、音色の明るさ、反応の速さではこちらの方が勝るようだ。重量級ターンテーブルの特長である緻密で内容の濃い、情報量の多い音は、並のDD型とは一線を画した独特の魅力で、カセットを聴いていてオープンリールを聴いた場合の印象と比較できる。置場所は剛性の高い台上がよく、ターンテーブルシート、スタビライザーなどは、ケース・バイ・ケースで試用するのが好ましい。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 プレーヤー専業メーカーらしく、意欲的かつオリジナリティがあふれたデザインをもったDDX1000を受継いだ新しいアームレス・プレーヤーシステムである。基本的な構造は、大型のインシュレーター内蔵の3本の脚の上に、リジッドなハウジングをもつフォノモーターを組み込んだタイプで、3本の脚部にはアダプターを使って、3本までのトーンアームが取付け可能である。
 駆動モーターは、FGサーボ付のダイレクトドライブ型で、水晶発振器を基準としたクォーツロックPLLサーボ方式が採用してある。ターンテーブルは、直径31cm、重量2・9kgのアルミダイキャスト製で、外周の重量配分が大きく、慣性モーメントを大きくした設計である。ターンテーブルのダンプは、DDX1000では表面でおこなわれていたが、今回は裏面に変更された。電源部はセパレート型で、カバーは磁性体を排除した木製。クォーツ回路はバイパススイッチで完全にキャンセルできる。これは、クォーツ回路の効果をチェックする目的とのこと。ゴムシートは音の解像力で定評があるSE22を使用している。このシートは、自重700g、中心に向かって6度のテーパーをもちディスクと密着させる設計である。
井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 デンオンのフォノモーターには、現在DP7000をトップモデルとして、DP6000、DP1700があるが、今回新しくDP80がシリーズに加わることになった。
 このニューモデルは、デザイン的には従来の製品よりもエッジを強調し、リジッドでよりメカニックな印象である。
 駆動用のモーターは、かなり大型の3相交流アウターローターサーボ型であり、当然のことながらDD方式である。このモーターはAC型であるため基本的にトルクムラが少なく、さらには3相モーターとなると逆転方向のトルクに対して働く回転磁界の3の倍数次高調波を打消す特長があって、よりSN比、ワウ・フラッター特性がよく効率も高くなるメリットがある。また、従来の同社モーターより一段とステーターの径を大きくし、この直径に適した極数を8極としたためスロットレスDCモーター同様の高い効率を得ている。
 サーボ方式は、デンオンが初期から手がけているターンテーブル内側に磁気コーティングをし、これに記録したパルスを回転検出用磁気ヘッドで検出するタイプで、これと9MHzの水晶発振器を基準とし分周した信号を位相比較するPLLクォーツロック型である。また、正回転、逆回転方向の駆動制御をしているため磁気ヘッド内部は2ヘッド構成で、方向検出用ヘッドがあることも特長だ。
 ターンテーブルは、直径30・8cm、重量3kgのアルミダイキャスト製だが、レコードをのせる上面ターンテーブルとモーターシャフトで固定される下面ターンテーブルをもった2重構造型で、両者はスプリングとダンピング材で連結してある。つまり、この構造により上面ターンテーブルは、プレーヤーベースから振動的にフローティングされており、上面の質量とスプリングのコンプライアンスでローパスフィルターを形成している。従って、外部振動に対しては、フィルター効果とダンピング材のエネルギー吸収でレコード面に伝わる振動は低減し、音響的なフィードバックにも効果があり、フィードバックマージンを大きくすることができる。
 その他の特長には、電子式ブレーキ、レーザーホログラフィ解析によるゴムシート、電源リレー採用による電源ON・OFFスイッチの除去のほか、プレーヤーベースがDP3000/6000と互換性があることがあげられる。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 見事なプレーヤーシステムというべきだろう。それぞれのカートリッジのチャーミング・ポイントを、無理なく、自然に、ひきだしている。このカートリッジには、こういうところもあったのかといったようなこと(たとえば、シュアーV15タイプIVできけた弦楽器のひびきのなめらかさなど)も、思ったりした。
 余分なひびきがまといついてしまうとか、どこかで誇張されるというのは、とりもなおさず、そのプレーヤーシステムに、無理、背のびがあるからだろうが、そういうところをまったく感じさせないプレーヤーシステムだった。ひとことでいってしまえば、それだけプレーヤーシステムとして安定しているからということになるだろう。
 今回試聴したプレーヤーシステムの中で、きわだってすぐれていた。ただ、もし、これで、低い方の音が、もう一歩ふみこんできて、積極的にその力感を示せば、本当にいうことがないのだが、その点で、多少上品にすぎたかなと思わなくもない。このみがきあげられた、よごれのないひびきは、実に魅力的だったということにいささかのためらいもない。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 なかなか積極的だ。奥の方でひっそりとひびかせるというより、前の方に押しだして、そこで明るくひびかせようとする傾向がある。力の提示にも不足していない。ひびきそのものはあたたかい。決して寒色系ではない。したがって、あたたかい、あるいはまろやかなひびきを持ち味とするカートリッジと組みあわされたときには、そっちの方向に走りすぎて、音像を肥大させかねない。
 こう書いてくると、いかにもくせの強いプレーヤーシステムのように思われかねないが、そうではない。むしろ、積極的にカートリッジのキャラクターをいかすタイプのプレーヤーシステムというべきで、ただ、場合によっては、スギタルハオヨバザルガゴトシになることもないということだ。
 積極的だということは、力強いひびきへの反応にもすぐれているということで、それは、このプレーヤーシステムのきかせる音がしっかりした土台の上になりたっているからと考えることができるだろう。ひびきが幾分肥大しても、ひびきの輪郭があいまいにならないというのは、いいことだ。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 恰幅がいいというべきか、全体的にたっぷりひびく。だからといって、さまざまなひびきが押し出されてくるというわけではない。そのために、まろやかなひびきは、まろやかに、なめらかに示されて、このましい。その点にこのプレーヤーシステムのチャーミング・ポイントがあると考えるべきだろう。
そのひびきのまろやかさが、シャープなひびきと十全に対比されたときに、まろやかさの魅力をつつがなく示しうるということも、どうやらいえるように思う。とりわけ、低域のひびきが、もう少し筋肉質になるというか、ひきしまるというか、くっきりすると、恰幅のよさがさらにはえるのではないか。メロウなひびきと、骨っぽいひびきとの対比が、もう一歩という印象だ。
 全体にまろやかに傾くというのは、それはそれで、ききやすさにつながるということもいえなくもないが、細部の音の動きのすべてをききとろうとするときに、多少のむずかしさがある。おっとり、ふっくらしたひびきが、ときには、きりりとひきしまったら、さぞや立派なひびきになるのだろうが。
黒田恭一

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より

 シュアーV15タイプIVで感じられるひろびろとした音場感は、なかなか特徴的だった。それに、3つのカートリッジで共通して感じられた、ひびきがついに脂っぽくならないところも、このプレーヤーシステムのこのましい点としてあげられるだろう。したがって、ここできけるひびきは、決してごりおしにならず、さわやかだ。
 それにさらに、腰のすわった、とりわけ低域での力感のあるひびきが加われば、全体としてのひびきの説得力は、一層ましたと思われるが、その点では幾分ものたりなさを感じた。
 おそらく、そのことと無関係ではないはずだが、「ナチュラルなバランス)がたもたれているにもかかわらず、ひっそりとした印象をぬぐいさりがたかった。もっともそれは、かならずしも弱点とはいいがたい。積極的すぎて、きいての印象が騒がしくなるより、よほどこのましいということも、いえるにちがいない。まとまりのいいプレーヤーシステムだが、もう一歩ふみこんできてものをいってほしいなというのが、率直な感想だった。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


 声のきめこまかさなど、思わず耳をさばだててしまうほどだ。音像は幾分大きめだが、それとても過剰ということではない。リズムの切れの鋭さ、あるいはアタックの強さなども見事に示す。


デンオンDL103Sで聴く

 ひびきは大変にみずみずしい。声とオーケストラのバランスなど、いささかの不自然さもない。はった声が、硬くなったり、薄くなったりすることなく、自然にその力を感じさせる。


シュアーV15/IVで聴く

 ピッチカートの誇張のないひびきと、ホルンによるふくらみのあるひびきの対比など、実に見事だ。このカートリッジのよさが十全にいかされたという印象だ。すっきりしていて、力感の提示も充分だ。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


 このカートリッジは、このプレーヤーシステムに、あまりあっていないかもしれない。音像はふくれぎみで、そのために鮮明さという点で、多少ものたりなさを感じなくもないからだ。


デンオンDL103Sで聴く

 このプレーヤーシステムの明るい性格と、このカートリッジの冷静なキャラクターがうまくマッチしたというべきだろう。あいまいにならず、くっきりしたひびきをきかせる。ひびきのゆたかさへの反応もいい。


シュアーV15/IVで聴く

 いきいきとしたひびきが魅力だ。音像は幾分大きめだし、ピッチカートのひびきなどもふくれがちだが、ひびきが陽性のためか、さして気にならない。たっぷりしたひびきだが、ひびきの輪郭はあいまいにならない。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


オルトフォンMC20で聴く

 音像は大きめだ。声のなめらかさをよく示すものの、表情が大きくなりがちだ。弦楽器によるピッチカートのひびきにしても、たっぷりひびいて、幾分ふくらみぎみだ。リズムのきれも甘めである。


デンオンDL103Sで聴く

 このカートリッジのひびきとしては異色なことだが、音像は大きい。クラリネットのひびきのなめらかさなどよく示すが、もうひとつひきしまったひびきがきけたら、全体としてのまとまりはさらによくなっただろう。


シュアーV15/IVで聴く

 たっぷりしたひびきへの反応はいい。ただ、おしむらくは、少しふくれぎみになることだろう。鋭いひびきも、とりわけ低い方でのものが、まろやかになるので、おっとりした印象だ。

黒田恭一


ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)

特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より


オルトフォンMC20で聴く

 声のつやがましたということと、音が積極的に前におしだされているということで、シュアーV15タイプIVより、まさる。低域のひびきに、さらに力が加われば、よりこのましいのだろうが。


デンオンDL103Sで聴く

 このカートリッジの折目正しさに正直に反応しているというべきか。ひびきの輪郭をくっきりと示して、あいまいさがない。全体的なバランスに乱れはないものの、個々のひびきがつきはなされすぎているように感じる。


シュアーV15/IVで聴く

 もし「ナチュラルなバランス」などという言葉が可能なら、その言葉は、ここでこそ使われるべきかもしれない。ただ、ひびきを、もう少し積極的に前におしだしてもいいのではないかとは思うが。

井上卓也

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 五十年をこえる長いキャリアを持っているだけに、プレーヤーシステムの分野でもラックスの製品には、趣味性を活かしたディスクファン向きのユニークなモデルが従来からも存在していることは見逃すことができない。
 かつてのベルトドライブ全盛時代のターンテーブル軸受部分をフレキシブルマウントした製品や、最近での、アルミダイキャスト製のスケルトン構造フレームを採用し、アームの取替にカメラのバヨネット機構を導入したPD131/121は、とかく画一的な手法が見受けられるプレーヤーシステムのなかでは、性能、デザインはもとより、趣味性が活かされた優れた製品だ。
 今回発表された新モデルは、組み合わせるトーンアームの全長のさを、左右方向にスライドする剛性が高いアーム取付用ベースで調整する方法を採用した点に特長がある。ターンテーブルは、30cm直径、重量2・5kgのアルミダイキャスト製で、フライホイール効果をフルに活かし、サーボ系により制御不能な5〜10Hz以上の周波数帯域における外乱負荷変動を抑えている。この手法は、PD131でも採用されているが、今回はこれに加えて、軸受部分の荷重を軽減する目的で、モーターローターの下部に埋込んだ磁石と駆動固定コイルの上側に設けられたヨークとの吸引力を利用し、スピンドルに上向きの力を与え、実質的な軸受にかかる負荷を80%程度少なくし、モーターの駆動電流を大幅に減らし、SN比やワウ・フラッターなどの諸特性を改善している。また、電気的にはクォーツロックにより時間的、温度適度リフトを抑え、機械的なターンテーブルの慣性、フリー・ロード・スピンドル方式と組み合わせて、直流域から5〜10Hz以上の外乱負荷変動、ドリフトを抑えている。
 PD444は、ロングアーム取付可能な2本アーム用ターンテーブル、PD441はショートアーム専用の製品である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 フォノモーター/ターンテーブルシステムという分野は、一つのパーツとして考えるべきものだろう。プレーヤーは、大きく分けてベース、フォノモーター、ターンテーブルアッセンブリー、トーンアームそしてカートリッジのシステム化により音が決まる。フォノモーターの場合は、ベースがないわけで既製のプレーヤーシステム、あるいはターンテーブルシステム(アームレスプレーヤー)のベースでは気に入らない人が、パーツアッセンブリーとして求めるものだろう。そうした実情から、フォノモーターは、コストを節約したものではあまり意味がない。ターンテーブルシステムは、モーター、ターンテーブル、ベース、そしてトーンアーム取付ベースまでを一体としてメーカーが作り上げたもので、性格としてはプレーヤーといえそうだ。トーンアームの選択を自由にしたものだけに、これも、よほど高度なものでなければ存在理由はない。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 クォーツロック方式のDD型ターンテーブルが高級機で実用化されて以来、パイオニアではいち早くこのタイプのDD型モーターを採用したプレーヤーシステムを中級機の価格帯で発表し、より多くのユーザーが新しい方式の魅力を味わえるようになったが、その後もフルオートプレーヤーシステムのクォーツロック方式化をおこない、今回アームレスタイプのプレーヤーシステムにクォーツロック方式を導入した、新型XLC1850を発表した。
ターンテーブルは直径320mm、重量1・8kgのアルミダイキャスト製であり、回転数制御は水晶発振器の出力波形とモーター回転子に組み込んだ周波数発電機からの出力波形を位相比較するクォーツPLL方式で、モーターに逆方向電流を流し、停止寸前に供給電源を切る純電子式ブレーキが付属している。
 クォーツロック時には表示ランプが点灯し、ロックをOFFにすると大型の速度表示メーターの目盛が照明され、ロック表示ランプが消える。一般のストロボによる表示でない点がこのモデルの特長であり、目盛は331/3回転、45回転ともに±6%間であり、変化量は多いタイプである。
 アーム取付板にはほとんどの14インチ型アームが取付可能であり、SME3009用の加工済専用ボードとアルミプレートが付属している。プレーヤーベースは、外周部が二重構造の4・7kgの重量がある。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 テクニクスの新しいフォノモーターは、同社のトップモデルであるSP10MK2を基本として、その高性能を維持しながらコストダウンをはかったコストパフォーマンスが高いモデルである。
 外観上からは、SP10MK2の本体と変わりはないが、色は黒い特殊な熱処理によるリンクル仕上げになった。
 ターンテーブルは、直径32cm、重量2・4kg、慣性質量320kg・㎠の重量級で、クォーツ・フェイズドロック方式の新開発全周積分型プッシュプルFGサーボモーターによってダイレクトにドライブされる。このモーターには、純電子式ブレーキが備わり、スタート時1/4開店で定速に達し、ロジックコントロールでワンタッチで滑らかに停止をする。負荷変動は1・5kg・cmの制動トルクに対して変化が生じないというから、針圧2gで150本のアームを同時に使っても速度変化がないことを意味しているといってよい。なお、別売のプレーヤーベースSH10B4があり、SP10MK2とSP20に使用可能である。
井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクターのクォーツロック方式のダイレクトドライブ・ターンテーブルは、すでに、TT101、TT81の2モデルがあり、特長あるデザインと高い性能、とりわけ音が良いターンテーブルとして、高い評価を得ているが、このシリーズの第3弾製品として、今回、大幅にコストダウンされたTT71が発売され、同時にこのターンテーブルを使用したプレーヤーシステムQL7Rも発売された。
 TT71は、デザインが上級モデルの特長がある感じから、単体のフォノモーターとしては、オーソドックスな印象の円盤状のタイプに変わっている。ターンテーブルは、外周はストロボパターンが刻まれた直径31・3cm、重量2・2kgのアルミダイキャスト製で、慣性質量は、350kg・㎠ある。駆動モーターは、TT81と同じDC型12極・24スロットFGサーボモーターで、1回転に180個のパルスを発生するFG型速度検出機構をモーターユニットに内蔵している。このタイプは、起動特性、動的な耐負荷性、ワウ・フラッター特性が優れている特長がある。
 クォーツロック・サーボは9504kHzの水晶で発振した安定周波数をIC分周回路で周波数を低くし、これを基準信号として位相比較回路に送り、これとFGからのパルスを比較して、モーターの速度誤差があれば、2つの信号の位相差によってモーター駆動回路はコントロールされ、ターンテーブル回転を規定の速度に保つ働きをする。
 ストロボ照明電源は、商用電源ではなく水晶の安定した周波数による信号を電源としているため、ストロボのユレはほぼ皆無としている。
 ターンテーブルのコントロールは、タッチ・センサー方式で、回転数切替とストップは触れるだけで動作をするタイプだ。なお、ストップは、制動用ブレーキパッドをプランジャーでコントロールする方式で、メカニカルブレーキ独特の摺動音が聞かれるのが、いかにもディスク的な感じである。
 QL7Rのプレーヤーベースは、共振と制動を抑えた設計で、インシュレーターには、ゴムとスプリングの長所をいかし、欠点を抑えたパラレルアイソレーターで、ゴムにスプリングをコイル状に取りつけてあり、タテ、ヨコ両方向の振動吸収に高いメリットがある。
 トーンアームは、UA7045から高さ微調整機構などを省いたUA5045型で、軸受けはニュー・ジンバルサポート、パイプは防振材入り、ヘッドスクリュー部分は、2重構造のチャッキングロックタイプなどの特長をもち、ヘッドシェルは、溶湯鋳造の純アルミ製で共振がない、音のよいヘッドシェルである。
 なお、カートリッジは付属せず、上級モデルには備わっていた速度微調整は、本機では省かれて、2速度の固定型になっている。シンプルで内容の濃い製品である。
井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 コンポーネントシステムのなかでは、音の入口にあるプレーヤーシステムの優劣が音を決定する大きな要素であり、各機種間の音の差は、予想外に大きいのが現実である。ダイレクトドライブ型ふぉのーモーターの第3世代ともいうべき、クォーツロック方式のダイレクトドライブ型フォノモーターは、価格的に高価であるが、この、TT−81は、上級モデルのTT−101の多くの特長を受継いだ新製品である。
 TT−81の主な特長は、クォーツロックを外さないで速度微調整ができる1Hzステップのピッチコントロール、速度変化に敏感に反応するプラス・マイナスサーボシステム、見やすい大型のクォーツ電源で照明する反射式ストロボスコープ、電気ブレーキを使うクイックストップなどがある。
 本機の基準となる水晶発振子は、9504kHzで、これを分周して100Hzの基本信号を得ている。これと180個の検出をもつFGが発生する100Hzの信号を位相比較して、その差を位相制御回路に送りモーター駆動回路をドライブしている。
 ピッチコントロールは、440Hzにたいして、1Hzステップで、±6Hzコントロールできるタイプであり、±サーボシステムは、速度が速い場合にも、遅い場合にもサーボは動作するため、45回転から331/3回転の切替が瞬時に移行し、クイックストップは、駆動回路に逆電流を流して、電気ブレーキとする方式である。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 アームレス型プレーヤーは、システムというよりは、ハーフメイドのカスタム型だ。
 したがって、システムとするためには、トーンアームを選択しなければならないが、使用カートリッジの幅を考えれば、予想よりもその選択範囲は狭いのが現実である。
 カートリッジとトーンアームを分割した現在の使用法は、各種のカートリッジを任意に選択し、交換して使うためには使いやすいが、反面において、特定のカートリッジの性能を充分に引出すためには、そのカートリッジに適合したアームは一種類に限定されるという基本に反することになる。つまり、汎用型としてアームを選べば既製のプレーヤーシステム同様に中量級のユニバーサル型を選ぶしかないわけだ。
 アームレス型プレヤーを活かす使用法は、複数個のアームか、各種のアーム部分やパイプ部分が交換できるマルチアームを組み合わせ、使用カートリッジにマッチしたアームを選んで、既製システムでは得られない、それぞれのカートリッジの性能・音質をフルに引出した、ディスクオーディオならではの独特の世界を楽しむことである。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 オーディオ的に洗練されたフラットでシンプルなデザイン、ロードフリー型スピンドル採用で重量級ターンテーブルと組み合わせたクォーツロックDD型モーター、アルミダイキャスト製シャーシを採用した一体型プレーヤーベースを備えたアームレス型のシステム。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 最高級機の5000に続く第2弾の超重量級糸ドライブシステムだ。直径16mmの軸受部、10kgの砲金ターンテーブルの部とドライブモーター部の2ブロック構成で、ターンテーブル裏面と本体間のギャップは狭く、エアダンプ効果をもたせている。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 超重量級ターンテーブルの強烈なイナーシャを利用して、糸ドライブで駆動しようとする原理をオーソドックスに製品化したシステムである。角型の超重量級ターンテーブルベースはコーナーにサブフレームでアームを固定可能。予想より場所をとらない。
井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「'80ベストバイコンポ209選」より

 DD全盛の現在ではユニークな存在のベルトドライブ型のアームレスプレーヤーだ。モーターは24極シンクロナス型でスピードは33 1/3回転のみの1スピード型。ターンテーブルとアームボードは、3点支持でフローティングされる。機械精度の優れた佳作だ。
井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

超重量級ステンレス・ターンテーブルを中心に、アナログプレーヤーの理想形を集大成したピラミッド的存在。エアフロート軸受とディスクのエアー吸着を中心としたベルト駆動方式の成果は、まさに地に足が着いた音が聴かれる。重量級だけに設置場所の選択と設置方式で、音はいかようにも変る点に注意。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 業務用ターンテーブルでは定評があるデンオンのコンシューマー用フォノモーターのトップモデルである。水晶制御による増速・減速のサーボシステムによりコントロールされるターンテーブルは、実際に使用して快適であり、とくに、スムーズに停止する止りっぷりは見事であり、音質的にも十分の信頼性がある。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 TT−101のジュニアモデルとして開発された、いわゆるクォーツロックのダイレクトドライブ・フォノモーターである。TT−101には、モーターにコアレスタイプが採用してあるが、このモデルでは鉄芯入りの一般型となり、回転数の表示は、ストロボスコープに変わっている。基本性能は、TT−101に匹敵する高さがあり、音が良いプレーヤーシステムを製作する場合のベースとして使えば、十分に要求に答えられる製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ヘルマン・トーレンスがオルゴール製造のためにトーレンスSAを創立したのは1883年で、その後、蓄音器、ハーモニカ、電磁型ピックアップ、電気式レコードプレーヤー、トラッキングエラーレス・ピックアップ、ラジオから業務用円盤録音機、SP用オートチェンジャーなどを順次開発。60年代になるとEMTフランツ社と共同出資の形態をとるようになった。
 オーディオファンの間で一躍注目されるようになったのは、57年のTD124ベルト・アイドラー型フォノモーターの登場からだ。本機は、当時リファレンスとして評価の高かった英ガラード社の♯301アイドラードライブ型に比べ、圧倒的にワウ・フラッターが少なく、静かなターンテーブルとして究極のモデルといわれた。現在でも、現用モデルとして、愛用するファンは多いと思う。
 以後、TD124のオートチェンジャー版、ターンテーブルを非磁性体化したMK2と続くが、この当時が世界の王座に君臨していた栄光の時代であり、80年代のトーレンス・リファレンスが超弩級機としての頂点であろう。
 TD520RW/3012Rは、16極シンクロナスモーターを電子制御で使うダブルターンテーブル型ベルト駆動アームレスプレーヤーTD520RWに、ロングサイズのSMEの3012Rトーンアームを組み合わせたモデル。さすがにメカニズムの見事さは抜群で、要所を絶妙に押さえたトータルバランスの良さは感激ものだ。現代のリファレンス機として、アナログならではの音を楽しみたいときに、最も信頼性の高い素晴らしいシステムだ。セオリーどおりに微調整すれば、想像を超えた音が楽しめ、軽針圧型から重針圧型までのカートリッジとの対応性も穏やかである。
 TD318MKIIIは、同社の技術をベーシックモデルに結集した快心作。このところのアナログディスクの復活に的を絞った、素晴らしく良く出来た音の良い注目の新製品だ。
井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 高級フォノモーターのトップをきって登場したこのモデルは、リジッドなプレーヤベースとUA−7045アームを組み合わせたシステムとしての音の良さで注目を集めた製品である。ディジタル表示の回転数、1Hzステップの微調整機能など、最新の水晶制御フォノモーターらしいアクセサリーが大変に楽しい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 マイクロが専門メーカーらしいマニアックなターンテーブルの製品に徹したポリシーをとって生み出した最高級品がこれ。20kgのステンレス製ターンテーブルを糸あるいはベルトで駆動するが、駆動モーター部とターンテーブルアッセンブリーはセパレート型。重いターンテーブルのシャフトはエアーで負担を軽くし、ノイズも軽減し耐久性を確保している。ハウリング対策さえ解決すれば、このターンテーブルならではの澄んで確固たる音が聴ける。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 スイス・トーレンス社のターンテーブルは、TD125以来、150、160などすべて、亜鉛ダイキャストの重いターンテーブルをベルトドライブで廻すという方式で一貫している。同社ではS/N比の向上の点でのメリットを強調しているが、DDを聴き馴れた耳でTD126の音を聴くと、同じレコードが、あれ? なんでこんなに音が良いのだろう! と驚かされる。音の良さの理由は私には正確には判らないが、ともかくこれが事実なのだ。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

音質について
 良くできた製品とそうでない製品の聴かせる音質は、果物や魚の鮮度とうまさに似ているだろうか。例えばケンウッドL07Dは、限りなく新鮮という印象でズバ抜けているが、果物でいえばもうひと息熟成度が足りない。また魚でいえばもうひとつ脂の乗りが足りない、とでもいいたい音がした。
 その点、鮮度の良さではL07Dに及ばないが、よく熟した十分のうま味で堪能させてくれたのがエクスクルーシヴP3だ。だが、鮮度が生命の魚や果物と違って、適度に寝かせたほうが味わいの良くなる肉のように、そう、全くの上質の肉の味のするのがEMTだ。トーレンスをベストに調整したときの味もこれに一脈通じるが、肉の質は一〜二ランク落ちる。それにしてもトーレンスも十分においしい。リン・ソンデックは、熟成よりも鮮度で売る味、というところか。
 マイクロの二機種は、ドリップコーヒーの豆と器具を与えられた感じで、本当に注意深くいれたコーヒーは、まるで夢のような味わいの深さと香りの良さがあるものだが、そういう味を出すには、使い手のほうにそれにトライしてみようという積極的な意志が要求される。プレーヤーシステム自体のチューニングも大切だが、各社のトーンアームを試してみて、オーディオクラフトのMCタイプのアームでなくては、マイクロの糸ドライブの味わいは生かされにくいと思う。SAECやFRやスタックスやデンオンその他、アーム単体としては優れていても、マイクロとは必ずしも合わないと、私は思う。そして今回は、マイクロの新開発のアームコード(MLC128)に交換すると一層良いことがわかった。
 
デザインと操作性
 単に見た目の印象としての「デザイン」なら、好き嫌いの問題でしかないが、もっと本質的に、人間工学に立脚した真の操作性の向上、という点に目を向けると、これはほとんどの機種に及第点をつけかねる。ひとことでいえば、メカニズムおよび意匠の設計担当者のひとりよがりが多すぎる。どんなに複雑な、あるいはユニークな、操作機能でも、使い馴れれば使いやすく思われる、というのは詭弁で、たとえばEMTののレバーは、一見ひどく個性的だが、馴れれば目をつむっていても扱えるほど、人間の生理機能をよく考えて作られている。人間には、機械の扱いにひとりひとり手くせがあり、個人差が大きい。そういういろいろな手くせのすべてに、対応できるのが良い設計というもので、特性の約束ごとやきまった手くせを扱い手に強いる設計は、欠陥設計といえる。その意味で、及第点をつけられないと私は思う。適当にピカピカ光らせてみたり、ボタンをもっともらしく並べてみたりというのがデザインだと思っているのではないか。まさか当事者はそうは思っていないだろうが、本当によく消化された設計なら、こちらにそういうことを思わせたりしない。
 そういうわけで、音質も含めた完成度の高さではP3。今回のように特注ヘッドシェルをつけたり、内蔵ヘッドアンプを使わないために引出コードも特製したりという異例の使い方で参考にしたという点で同列の比較は無理としてもEMT。この二機種の音質が一頭地を抜いていた。しかし一方で、操作性やデザインの具合悪さを無理してもいいと思わせるほど、隔絶した音を聴かせたマイクロ5000の二重ドライブを調整し込んだときの音質の凄さは、いまのところ比較の対象がない。とはいってもやはり、この組合せ(マイクロ5000二重ドライブ+AC4000または3000MC)は、よほどのマニアにしかおすすめしない。
 これほどの価格でないグループの中では、リン・ソンデックの、もうひと息味わいは不足しているが骨組のしっかりした音。それと対照的にソフトムードだがトーレンス+AC3000MCの音もよかった。またケンウッドの恐ろしく鮮明な音も印象に深く残る。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 同社の上級モデルであるPD121とほとんど変わらないデザインのアームレスプレーヤーシステムで、美しいデザインの魅力ある製品だ。ターンテーブルの厚さが、昔ながらにパネル上に出ていながら、全体にフラットなすっきりしたイメージで仕上げられている。PD121同様ベストバイに挙げられる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 メカニズムむきだしのユニークさを買った。重量級のターンテーブルが音質の安定性には素晴らしい効果を発揮することは知られているが、このモーターシステムはそれを立証している。いかにも武骨な外観が好みの分れるところだろうが、こうしたオリジナリティは大切にしたいと思うのである。トーンアーム取付ベースが付属しているから、これもプレーヤーシステムに近い製品というべきだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ダイレクトドライヴ・ターンテーブルの元祖テクニクスが、従来のSP10をリファインし、クォーツロック式の駆動を採用。78rpmを加え、きわめて強大なトルクと、瞬時ロックのブレーキングを施した最高機種である。絶対の信頼性と高性能は、もはやいうところのないまでに完成度を高めた。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 これは、ターンテーブルというよりアームレスのプレーヤーシステムで、美しいデザインのベースキャビネットに収められた魅力溢れる製品である。個人的には国産プレーヤーシステム中の最右翼に置けるデザインだと思う。モーターはDCサーボで、もちろんダイレクトドライヴ駆動方式だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 デンオンの最高級ターンテーブルとして恥じない性能の高さと、作りの美しさをもち、レコード演奏の醍醐味を満たしてくれる高級機である。動力は、現在の回転機器の最高のテクノロジーでSN比、トルク、ワウ・フラッターなどに不満はない。ユニークなスタイルも高く評価できる必然性の濃いデザインだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 TT101のコストダウンを計った普及型だが、クォーツロックのDDターンテーブルとして、基本的性能には目立った違いはない。こちらは,12極のDCサーボモーターを使用し、重量も2kgほど軽いが、データ上ではSN比が2dBほど下っている。実用的には、これ以上のものは必要がないと思われるほどの性能だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 SP10MK2の姉妹機である本機は、やはりクォーツ・フェイズロックのダイレクトドライヴのターンテーブルだ。トルクはSP10MK2よりも弱いが、同価格クラスの製品と比べれば大きい。ラフなブラック・フィニッシュのフォノモーターで、アルミダイキャストの直径32cm、重量2.4kgのターンテーブルをもつ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 もう10年になる古いオーソドックスな製品であり、機能や技術的特長では、現在の国産ターンテーブルとは比較にならない。オーソドックスなリムドライヴ型として現存する数少ないターンテーブルの一つとして貴重な存在。しかし実用性能では不満のないものだし、仕上げや雰囲気ではこれを上廻る新製品は少ない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 クォーツロック・ターンテーブルとして比較的早く完成した製品で、高度なテクノロジーと工作技術による一級品である。クォーツのコアレスDCサーボモーターは、±1Hzの速度微調がつくという精巧さで、ピッチの正確さを要求する人々にはこれが一番だ。シンプルなデザインも好ましいが、風格ではもう一歩。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 あまりにも起動が遅くトルクが弱く、操作上のフィーリングが自分の手に合わなくてついに手離してしまったが、音質という意味ではほんとうに惜しい思いをした製品。素晴らしく安定感のある音。艶のある余韻の美しさ。音楽の表情を実によく生かすクリアーな音質。残念ながら国産DDでこういう音をまだ聴けない。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 見た目にも聴感上も、兄貴分のPD121とほとんど差がわからない。ただし、同じアームを即座につけかえて比較試聴すると、心もち音が軽くなるような気がするのは、ターンテーブルの重量やモーターのトルクの違いのせいか。しかし実用上は、価格の安い131の方が一般的といえる。何しろ魅力的な製品。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 特性面でDDのいわば標準原器的な存在を目ざしたというだけあって、性能的には文句のつけようがない。が、レコードをかけるフィーリングという面では、見た目にいかにも暖かみを欠いていて、〝愛用〟という表現の使いにくい雰囲気が感じられ、個人的にはいろいろ注文をつけたくなる製品だが......。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 駆動モーター自体がテクニクスのSP10(II型でない方)と同等品であることは、ターンテーブルを外してみればすぐにわかるが、それだから逆に、あの同じモーターを、これだけ魅力的なプレーヤーに仕上げたところが、さすがラックス、と言いたくなる。手もとに置いて愛用する気になれる数少ない製品のひとつ。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 TT101の回転数のデジタル表示を、ストロボスコープに簡略化して、起動特性やその他の物理データをややおさえたということだが、実用上は101とほとんど差がないと思う。だとすれば、こちらの方が本当の意味でベストバイと言えるのかもしれない。他社の同ランクと比較しても割安という印象だ。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 SP10MK2に対しての弟分という位置づけの製品で、データ面では実用上遜色ない。ただ、私個人はフレームの黒いザラザラした塗装が、色調も感触もゾッとするほど嫌いなのだが、それはこのモーターの回転性能の良さとは無関係。性能的にSL01と同等品と思われるが、完成品としてのコンパクトなまとまりの良さをとるか、アーム選択の自由さからやや割高の単売品を選ぶか、が考え方の分れみちになるわけだ。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より

 ワウ・フラッターなど、最近の国産DDと比較すると極めて悪いかに(数値上は)みえる。キャビネットの質量をできるだけ増して、取付けに工夫しないとゴロも出る。けれど、このモーターは音がいい。悠然とかまえて、しかも音の輪郭の明瞭で余韻が美しい。こういうところに、データで表せないふしぎさがある。
瀬川冬樹


ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)

特集・「評論家の選ぶ '77ベストバイ・コンポーネント」より


 ターンテーブルやゴムシートの素材や形状など、細部に至るまで聴感上の音色のニュアンスを大切に作ったというだけあって、物理特性は言うまでもなく音質の面でも、本誌の試聴テストの際などでも信頼のおける製品として使っている。ただ、使っているうちにゴムシートに埃が附着して汚らしくなる点、音質の面でこの素材が良いのだそうだが、気分的にどうもうれしくないのは、なんとかならないものかと思う。

菅野沖彦


ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)

特集・「世界の一流品」より


 ラックスは、トランス、アンプリファイヤー・メーカーとしては日本最古のメーカーといえるが、プレーヤーシステムの部門においてはそれほどの歴史はない。しかし、アンプの一流メーカーから生み出されたこのプレーヤーは、同社のオーディオの分野における信条と感覚がよく反映され、見事な雰囲気が漂っている。その点において、私はこのPD121、PD131に高い評価を与えたいと思う。

 一口にしていえば、デザインの美しさということになるかもしれない。しかし、ラックスはプレーヤーの専門メーカーではなく、もちろん自社でパーツを作っているわけではないが、非常に高級なパーツをアセンブルして、このようにセンスのいい一品に仕上げるということは、やはり一流の感覚をもつプロデューサーがいなければ出来ないことである。レコードをかける心情にピタッとくる繊細さと、オーソドックスなプレーヤーらしい形を備えた美しい製品だ。

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/アームレスタイプなので、組合せるアームによって音質もとうぜん変る。ここではAC40000MCとFR64Sの二者を試みた。結論から言えばこの製品はFR系で音の仕上げを下らしく、ACの組合せはあまりよくない。総体に抑制を利かせすぎた印象で、おとなしいが音がめり込んでしまう。その点でPX1と一脈通じるが、PX1が重低音をややゆる目に聴かせるのに対して、こちらは行儀はよいが物足りない。その点、FRに替えると、中〜高域がずっと張り出してきて、ACよりは聴きどころのポイントがはっきりしてくる。しかし重低音は同じく不足ぎみ。そこに中〜高域が張り出すので、どこか国産のスピーカーの音のバランスのように、オーケストラのトゥッティなどではやや派手に流れる傾向がある。いずれのアームの場合でも、音がふわりと浮き上がる感じが出にくく、ステレオの音場空間の広がりが狭くなる傾向になる。音の自発性、湧き上るような楽しさ、がもっと出てきてもよいのではないだろうか。
 ところで、この製品はレコードを真空で吸いつける点が特徴だが、手加減で吸着の強さを増減すると、同じレコードの音がずいぶん変わる。この辺にコツがありそうだが、手加減は相当難しい。最良点はレコード一枚一枚わずかずつ違う。そして最良点を探し出してみても、音の豊潤さ、たっぷりした響き、がやはり物足りない。
●デザイン・操作性/PD444の外観とよく似ているが、こういう重心の高いデザインは、インシュレーターの効果の点で好ましくない。また、前方からみたとき、駆動モーターがまる見えで、しかも仕上げの雑な印象は不可解。ボタン類の配置と感触はわるくない。また、アーム取付ベースのところに、オーバーハング修整用の目盛りのついているのはとても親切だし便利でもある。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/アーム交換型だが、アーム取付ベースが、発表されている三種類(一種類はSME専用なので実質的には二種類)では、市販のアームに対して不足で、現時点では選択の範囲がかなり限られる。たとえばオーディオクラフトもSAECもテクニクスも、ベースの取付孔が小さすぎて組合せ不可能。孔を拡げればよいというのは理屈で、実際に工具のないアマチュアには不可能だ。というわけで、不本意ながらFR64S一本でのみ、試聴した。
 明るい音。多少カリカリした硬質の傾向。そしてプログラムソースによっては、いくぶんカン高い、ないしはハシャギ過ぎのような音になる。これは、ターンテーブル金属の材質や、テーブルマットやベースのガラスという材質の音であるかもしれないが、FRのアームにもこの傾向があるので相乗効果がウラ目に出たのだろう。しかしアームの交換が事実上不可能なので、アーム引出しコードをマイクロの新しい二重構造の銀線コード(MLC12S)に変えてみた。これでかなり改善され、音の明るさが、躍動感、生きの良さ、といったプラス面で、生きてきた。ただ、どちらかというと、やや、大掴みで屈託がなく、こまやかなニュアンスという点ではもう一息の感じ。また、どことなくワウ的な音のゆれ、および音量を上げるとモーターのゴロが、それぞれ、他の同クラスの機種よりもわずかずつ耳につくように思った。
●デザイン・操作性/ガラスを主体にして、ユニークで、しかも明るい楽しい雰囲気にまとめた点はとてもいい。デザインで欲しくさせる。スタート・ストップのスイッチが、ワンタッチの電子式で、ターンテーブルの回転の切れ味も悪くない。アームベースのロックの方法も確実でユニーク。音質本位というより、見た目の楽しさも含めて買うべき製品、といった作り方のように思える。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/上級機の5000シリーズと同じように、レーシングマシン(さしずめF1か?)的な性格を持っているので、5000同様、使いこなし次第で良くも悪くも出る。ところで3000の場合、5000とくらべると駆動ユニットも、ターンテーブルの重量も、そのベースも、それぞれ大幅にコストダウンされているので、比較する前は、たとえばエクスクルーシヴのP3とP10のような差が出るのではないかと考えた。けれど、うまく調整ができてみると、価格や見た目の差から想像していたほどの大きな音質の差は出てこなかった。言いかえれば、これはいわゆるコストパフォーマンスが良い(5000と比較しての話、だが)ということになるのかもしれない。
 とはいうものの、むろん違いはある。たとえば重低音の量感。5000よりもごくわずかとはいえ、しかし決して無視できない程度に、低音域での量感が減る。5000の二連ドライブとでは比較するのは割が合わない気がするが、あえてそれとの比較でいえば、重低音でかすかに聴こえるような性質の音が、3000では「消える」とオーバーに表現したくなるような違いはある。けれどそういう音は、5000の二連ドライブのベストの状態でしか、聴けない音、ともいえる。AC4000MCを組合わせての試聴感でいえば、調整がうまく行った際の音質では、リンやトーンレスよりはむろん上廻るし、L07Dをも凌ぐ。ただ調整には多少のコツが必要。たとえば糸の結び目のところでのゴトンゴトンというノイズが、音量をかなり上げて耳につかないようにするには、糸の張り方(テンション)を相当入念に調整する必要がある。ユニットを置く台、その他については5000の項をご参照いただきたい。
●デザイン・操作性/5000ほどの重厚さのない点が好き嫌いの分れみちか。駆動ユニットの操作性は5000よりもやや良い。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/製品、というよりもキット的な性格の、いやそれよりもレーシングマシン(F1)のように、使い手自身がチューニング(調整)し込んでどこまで性能を抽き出すといった性格の、いわば実験機的なマシーンといえる。たとえば駆動(ドライヴ)、ターンテーブル各ユニットを置く台(ベース)の材質や厚みの問題。その台をどこにどう置くか。そしてユニットの水平度を正しく出す。糸をかけるときの糸の長さ、張り(テンション)の強さ。アームベースとアームの選定。アームによってはさらにアーム自体の調整。そしてターンテーブルにシートを乗せるか乗せないか。どこの、どのシートにするか......。思いつくまま列挙してもこれだけある。実際に使いはじめてみれば、さらに細かい問題が出てくる。ところで今回は、マイクロの長沢氏の助言で、ターンテーブルユニットをもう一台追加して、二連ドライブを試みる。その際にはさらに、二台の同一ユニットの水平度と距離の調整。糸を四重がけにしてみる。そのテンション......。
 音質のテーマのところに音質のことをひとつも書かないのは、右の各要素の調整(チューニング)のしかた如何で、音がコロコロ変わるからだ。しかし、二連駆動で、AC4000MCをAX7G型アームベースにとりつけて、調整を追い込んだときの音は、どう言ったらいいのか、ディスクレコードにこんなに情報量が刻み込まれていたのか! という驚きである。音の坐りがよく、しかも鮮度高く、おそろしくリアルでありながら聴き手を心底くつろがせる安定感。マニアならトライする価値がある。
●デザイン・操作性/意匠的には洗練されているとはとうてい言えない。操作性の悪さは論外。加えて高価ときている。チューニングし損なったら、何もいいことなし、というきわどいマシーンだ。けれど隔絶した世界の音を一旦聴いたら、もう......。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/オリジナルのEPA100アームと、AC3000MCと、両方比較してみた。好みの問題かもしれないが、私には、AC3000MCとの組合せのときのほうが、音楽的な意味で優れていると思えた。まず音の全体的なバランスが、EPA100では中域の厚みを欠いて帯域の両端の輪郭で聴こえがちなのに対して、AC3000MCでは大掴みなバランスが整って欠点がなくなる。EPA100にはダンピングコントロールのツマミがついてるが、制動量を増すと音が沈みがちで、おとなしいがつまらない。ただ試みに出力コードをマイクロの二重構造銀線コードに変えてみたところ、中域の薄手のところがよく埋まってバランスがはるかに整ってきた。ステレオの音像も中央がよく埋まってくる。まだ楽しさには至らないにしても、テストの標準機として十分に信頼に値する音がする。同じコードでAC3000MCに替えてみると、ここに音の明るさと、充実感がいっそう増してくる。ピアノのタッチの手ごたえや音の品位の高さは、すれでもまだ満点とはいい難いが、十分に水準を越えた音質。ここにもうひと息、余韻の響きの繊細さ、響きの豊かさ、空間へのひろがり感、などが増してくれば相当なものなのだが、音がいくぶんスパッと切れすぎる点が私には不満として残る。AC3000MCならば、もっとナイーヴな雰囲気まで抽き出せるはずだという気持がどこかにあるせいだろうか。
●デザイン・操作性/専用のプレーヤーベースSH10B3との組合せはなかなかいい雰囲気を持っている。スタート・ストップの明快で歯切れよく信頼感のある点は、さすがにテクニクスの自慢するだけのことはあって見事のひと言に尽きる。ただ、ON/OFFおボタン(というよりもプレート)と、速度切替スイッチのボタンの位置や感触という点では、人間工学的にもう一歩研究の余地がありそう。
瀬川冬樹

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 モーターが回転すればメカニカルな振動を発生する。それがターンテーブルに伝われば、ピックアップがそれを拾ってスピーカーからゴロゴロと雑音が出る......。古いフォノモーターではそれが常識だったから、駆動モーターのシャフトとターンテーブルのあいだにゴムタイヤのような緩衝材を介していわゆるリムドライブにしたり、弾力のあるベルトによってベルトドライブしたりして、モーターの振動がターンテーブルに伝わらないような工夫をした。松下電器が、駆動モーターをターンテーブルに直結させるダイレクトドライブの構想を発表したころは、まだそういう古いフォノモーターの概念が支配していた時代だった。
 しかし実際に市販されたSP10は、そんな心配を吹き飛ばしたばかりでなく、回転を正確に保ち回転ムラを極減させることが、いかに音質を向上させるかを教えてくれた。それ以後、日本の発明になるDDターンテーブルが世界のプレーヤー界を席巻していったいきさつは周知のとおり。
 SP10は、たしかに性能は優れていたが、デザインや仕上げや操作性という面からは、必ずしも良い点をつけられなかった。アルミニウムダイキャストを研磨したフレームは、非常に手間のかかる工作をしているにもかかわらず製品の品位にブレーキをかけている。ON−OFFのスイッチの形状や感触がよくない。速度微調ツマミの形状や位置やフリクションが不適当で知らないうちに動いていしまう。ゴムシートのパターンがよくない......。
 改良型のSP10MkIIで、クォーツロックのおかげで微調ツマミは姿を消した。ON−OFFのスイッチの形は変らないが感触や信頼性が向上した。ターンテーブルやゴムシートの形がよくなった。性能については問題ないし、トルクが強く、スタート、ストップの歯切れの良い点もうれしい。少なくとも特性面では一流品の名を冠するのに少しも危げがない。
 ただ、MKIIになってもダイキャストフレームの形をそのまま受け継いだことは、個人的には賛成しかねる。レコードというオーガニックな感じのする素材と、この角ばってメタリックなフレームの形状にも質感にも、心理的に、いや実際に手のひらで触れてみても、馴染みにくい。
 この点は、あとから発売された専用のキャビネットSH10B3の、やわらかな肌ざわりのおかげでいくらかは救われた。このケースは素材も仕上げもなかなかのものだ。
 新型アームEPA100。制動量を可変型にしたアイデア、軸受部分の精度と各部の素材の選び方などすべてユニークだが、それにも増して仕上げの良さと、むろん性能の良さを評価したい。部分的にはデザインの未消化なところがないとはいえないが、ユニバーサルタイプの精密アームとして、SMEの影響から脱して独自の構想をみごとに有機的にまとめあげた優れたアームといえる。このアームがMKIIになり、SP10がMKIIIになるころには、どこからも文句のつけようのない真の一流品に成長するのではないだろうか。
岩崎千明

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 とかく日本のマニアは、国産品には厳しい。あるいは、世界のどの国でも自国製には冷たいというべきか。そうしたマニア気質をもってしても、マイクロの驚くべき企画から生まれたDDX1000は、十分過ぎるほどの魅力を感じさせる。まさに日本製品にかつてなかった魅力だが、あるいはまた、日本のメーカーでなければ作るはずのない製品ともいえる。あまりにもぜいたくで、しかもそれが単なる外観とか見栄えに止らず、性能も実力もまたぜいたくといえるほどであるのは嬉しい驚きである。スタートの立上りは眼をつぶろう。プロ用でなく音楽ファン用なのだから。その代り、一度廻り始めたらもう絶対に理想的物体といえるくらいのを、と考えたに違いないこの機構は、そのまま外観的デザインとなって見る者を、否応なしに説得してしまい、使ってみると納得させられる。こんなターンテーブルがマイクロのDDX1000だ。ユニーク極まるデザインは、こうしたオリジナリティの極点の賜物でもある。

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