データ上でのCDのADに対する優位性は、ダイナミック・レンジ(SN比)がCDは96dB、ADは65dB前後、チャンネル・セパレーションはCDが全帯域にわたって90dB、ADは最大1kHzで35dB程度、収録時間はCDは片面のみで最大約七十四分、ADは両面会わせて最長約六〇分という数字が明らかに出ている。CDのワウ・フラッターは測定限界を超える優秀さだ。周波数特性はちょっと様子が違って、CDは20Hz〜20kHz、ADはこのように明記できない複雑な良さと悪さを持っている。
 つまり、CDは20Hz〜20kHzの幅で確実に保証され、それ以上でも以下でもないのだが、ADは条件次第で、もっと広い帯域も収録可能である。しかし反面、帯域内での密度がやや不均等であり、再生機器、特に、カートリッジとトーンアームの性能とのかね合いで保証値を明記するのが困難なのである。
 波形伝送ということでは、CDよりADが理論的に優れている。位相特性などはどちらともいえないが、CDのほうが管理が容易で、結果的には優れているという性格の要素もある。云いかえれば、最高の管理で条件を整えればADのほうが優れている面もなくはない。大ざっぱにいって、今のCDの物理的な諸特性には、現在のADは劣るといわざるを得ない。
 しかしADにはまだまだ可能性があるし、規格変更という大仕事をせずに性能を向上させていく余地も大きいのに対して、CDでは規格によって明確に可能性が限定されているのは事実である。現在のCDのフォーマットは16ビット、44・1kHzサンプリングというものであるが、この規格は、先述の、20Hz〜20kHzの帯域幅と96dBのダイナミック・レンジが限界であると同時に確実に保証されるものなのである。