アメリカでの、GEのVR型、ピカリングのMI型、フェアチャイルドのMC型という三つの代表的なタイプのそれぞれを、日本の中小のメーカーがまた、それぞれにT国産化Uした。VR型については前に書いたとおりだが、とくに東京サウンドのC−2型は、GE型に多少の創意を加えた形が評価され、一時はNHKその他でもかなり広く採用された。が、ステレオ時代に入ってから、決め手となるヒットがなく、やがてグヤトーンの名で電気楽器の分野に進出することになる。
 いまアントレーの名でMC型を作っている新顔メーカーの社長松平氏は、もと東京サウンドのエンジニアである。
 つぎのピカリング型は、日本ではグレースがT国産化Uした。ピカリングのヒット作140型をモデルにしたのが、グレースF−2のシリーズであった。原形に比べて、針先の先端部をネジ込み式で交換容易にした点がグレースの創意だが、デザインは丸写しであった。
 しかし外観ぐるみの丸写しをしたのは、なにもグレース一社だけではない。いまは日本コロムビアのブランドになったDENONが、まだ、日本電気音響株式会社(略して電音、これがDENONの由来)といって、NHKはじめプロ用の機器専門の会社であったころ、フェアチャイルドの200シリーズをそっくり真似て、PUC−3シリーズというMC型を作った。特性も音もとても優れていたが、口の悪い人のあいだで、誰いうとなくT真似チャイルドUの渾名(あだな)がつけられたりした。
 また、アメリカにウェザース(Weathers)という小さなメーカーがあって、ごく初期にコンデンサー型のピックアップを完成させていた。アームの根元が卵形で、そこから細いパイプのアームがスッと伸びているだけのシンプルな美しいデザインが独特だったが、この形をそのままイミテーションしたものを、昭和光音工業(現スタックス)が作った。