オーディオの各パーツを組み合せる際に生じる種々なアクシデントを避けるうえでも、また、よりよい音でFMを聴く参考になる点でも、その取扱い万般について、きわめて有益な本が出たので紹介しよう。
 ステレオ・サウンド社発行の「オーディオと上手につき合うための実用学」なる雑誌。定価千六百円はちと高い気もするが、これ一冊を常備しておけば、何かの折り、役立つだろうから、読み棄て内容が多い昨今の雑誌にくらべれば、無駄遣いにもなるまい。執筆者もプレーヤー関係とFM受信については三井啓氏、アンプとスピーカーは上杉佳郎氏など信頼できるメンバーをそろえてある。内容は、たとえば、ターンテーブルシートは従来はゴム製品だが、最近は特殊なターンテーブルシートが何種か市販されており、それらと替えると本当に音が変わるか、替えるにはどのような条件が満たされねばならぬかといったことも簡単に記されてあり、このへん、キ印のオーディオ愛好家に有益だろう。
 またキチガイでない一般の人びとに、FMチューナーの仕組み(電波から音声が出るまで)、チューナー各部と操作機能の関係(フロントエンド部、IF増幅部など)はどんな具合に作られているかといった、かなり専門的なこともわかりやすく説明してあり、一度は読んで知っておくのも将来、よりよいチューナーを購入するとき参考になるはずだ。
 私の読後感を述べると、スピーカー・エンクロージャーについての説明に、ちょっと杜撰なところのあるのが気になったが、他はおおむね丁寧にまとめられ、しかも初心者にもわかりやすく書かれているので感心した。
 何にせよ、金さえかければ音はよくなるものではないこと、取扱いによって、ずいぶん音の良否の生じることなどを再確認する意味でも、オーディオファンは一読されるといいと思う。