最近は、クラシック・ファン――それも一応有名な曲は聴き知っている人びと――に、魅力的な番組というのは少ないし、ライブものにTきわめつきUの名演・名曲が登場する例は稀なので、私など放送プログラムを見てもエアチェックしたいと、胸を躍らせることはほとんどなくなったが、来週(一九七九年七月第三週)NHKFMで始まる「音楽のすべて」(午後一時から)のT水と音楽Uは楽しみな番組だ。なかには、まあどうでもいいような凡俗な作品もなくはないし、ことさら水に関係ありとコジツケた選曲もないとはいえないが、家庭の主婦が比較的聴く機会の少ないだろうテレマンの組曲「ハンブルクの潮の干満」、ショパンの「バルカロール嬰ヘ短調」(このリパッティのピアノは名演)、ディーリアスの歌曲、ブリテンの「海の間奏曲」、シマノフスキイの「神話」からT泉U。あとはリストの多彩なピアノ曲や日本の作曲家の佳作などもあって、午後のひと時、BGM的に聴き流してもいいし、つまらぬと思えばスイッチを切ればいいのだから、一応、耳を傾けてほしいものだ。
 各曲にどんな解説がつけられるか、意地のわるいそのへんの聴き方もあろうし、曲をまったく知らぬ人には(私だって知らぬ曲がある)夏向きに水と関連したこういう曲を楽しむのも、時間の無駄にはなるまい。
 なお、最新録音(あくまでも音のよさ)に関心のある向きは、このあとの番組の「今日のレコード」に耳を澄ますのもいいだろう。一時半から三時まで、民放ではだいたい、歌謡曲や「日本のうた」を放送中で、クラシック愛好家なら、どちらを聴くべきか迷う時間帯ではないはずだから、ともかくNHKFMにチューニングを。
 なお、ソ連の新星ピアニストと評判のディーナ・ヨッフェの来日演奏会のライブ放送が昨夜
(一九七九年七月十二日)十時からFM大阪でオンエアされた。聴いた人もいると思うが、ディーナ・ヨッフェは昨年来日したジイメルマンがショパン・コンクールで一位のとき、二位だった人で、そんな両者を聴きくらべる意味でもなんとか再放送を期待したい。