サンフランシスコは日本でもおなじみのJ・B・ランシングの工場があるカリフォルニアだからというわけでもあるまいが、有名書店に行くとオーディオ雑誌が置いてある。さらにマニアックな音キチの喜びそうな、同人雑誌的小部数のハイファイ誌ならいくらでも集めることができる、と店主はいった。だが「ハイファイ・ブック」誌あたりに載っている広告の大見出しは、大方が日本メーカーの製品で、新製品のテスト記事にもぼくらの食欲を刺激するものにはついにお目にかからなかった。
彼らが宣伝にいま力を入れているのはカセットデッキで、こちらにもようやくカセット時代がきていることを知らせてくれる。しかし日本で大騒ぎのメタルテープデッキについては、いまだ大々的な広告を見ない。メタルテープを含めどうやら日本のほうがオーディオでは先進国になりつつあるらしい。
こちらでヤングの関心を集めているのは、やはりディスコ音楽のようだが、街のディスコに入って驚いたのはそのファッション。なんと下半身まる出しで踊っている女性がいる。もちろんヘアもバッチリ見える。こうなればもうディスコ・ファッションもクソもないではないかと老いたる私などは思うのだが、踊っている当人はたまらなく楽しそうだし、踊りっぷりもつくづく見れば、まさしくディスコにふさわしいリズム感とポーズにあふれ、上半身の衣裳が見事に生きているのには感心した。音楽は、いまやファッションをリードする時代になっているのかも。
だが、何ごともアメリカの真似の好きな、アメリカで流行したものは必死で追っかける日本のショーマンやヤングや芸能人も、下半身ヌードのこのモードだけは手が出まい。官憲も承知すまい。それともマリファナを吸うように、秘密クラブあたりで、テレビで知られる歌手や女タレントが、黒いヘアをチラチラさせ、踊り狂うことになるのか。そうしないと「音楽を踊った」ことにならないというだろうか? これ、今年(一九七九)の夏あたりの楽しみの一つである。諸君、期待して様子を見よう。