いつものことながら、民放とNHKでは放送局からの電波自体の音質が違う。こんな不思議な話はないが、送信装置そのものばかりか、ライブの場合はモニターや音響ディレクターの腕前の差にもよるようだ。端的にそれを知らせてくれたのが、過日FM東京で生中継したペリー・コモ・ショーだった。
 だいたい、民放のほうが音がクリアーでいいというヤングも多いと聞くが、拙宅で聴きくらべると明らかに民放の倍音にふくらみがなく、ハーモニーの織り成す微妙なニュアンスが滲み出ない。倍音というのは直接音でないだけに、いっそう、それがうまく響くかどうかがハーモニーの美を左右するのがオーディオだから、クラシックを聴いて民放のよかったためしがないが、ペリー・コモ・ショーのあったスタジオはNHK大ホール。
 私が以前、NHKのオーディオ技術を見学させてもらった時には、ホールの肝腎な音響増幅部のパーツはすべてKT88などの真空管アンプ。拙宅のチューナー、アンプ、デッキとも管球式だから、まあNHKとは相性がいいのかと思った。ところが、同じホールでのペリー・コモ・ショーが民放の電波にのると歴然とNHKとは違っている。とくに楽器や歌手の定位感――音像がNHKのライブものにくらべて劣っていたのだ。オンエアする装置のクォリティの差もあるだろう。しかし、それだけで片づくものかどうか。
 七日
(一九七九年五月)からNHKFM「音楽のすべて」(月〜金曜午後一時)で「ブラームスの休日」と題する番組がある。ブラームスがどういう音楽家かを知るチャンスだ。八日の同番組での大学祝典序曲が、まったく同じワルター指揮、コロムビア交響楽団のレコードで五日FM大阪(午後五時)にある。奇妙なことに民放の放送時間は9分19秒。NHKのは9分53秒。これはいったいどういうことだろう。このことも合わせ、音質の差とともにチェックしてほしい。