NHKFMで海外の音楽祭の番組を聴いていると、時どき呆れるくらい音のわるいことがある。左右チャンネルのアンバランスなのはまだしも、いやに高域が硬かったり、楽器の定位がボケていたりレンジが狭く感じられたりする。マイクセッティングがわるいのか、録音技術が粗雑なのか、マスターテープからのダビングがいい加減なのか、理由はわからないが、とにかくよくない。
NHKの担当者にきくと、たとえばバイロイト音楽祭の日本へ送られてきたテープなどはアグファやスコッチの継ぎはぎだらけで、リールに巻かれたのがまるで縞模様になっているそうな。それでもバイロイトの音はまだいいほうだ。いつぞやザルツブルク音楽祭でのカラヤン指揮「フィガロの結婚」を聴いていたら、第三幕終りの、フィガロとスザンナの結婚場面で、村娘の踊るダンスの靴音が物凄く、雷みたいで魂消たことがあった。
その点、日本のライブものは総じて音質がいい。オーケストラの微妙なハーモニー、そのソノリティの美をうまくきかせる点で、まだヨーロッパのスタジオ録音にかなわぬところはあるが、小編成の楽団でなら、録音の巧さはいまや世界のトップクラス。わが家のエアチェック・ライブラリーで音質の優秀なのはすべて国内録音である。
ただし、臨場感や音色を鮮明にとるにはアンテナに細心の注意を怠ってはならない。まず三年を限度に新品と替える必要がある。錆のついたアンテナでは音質は劣化する。テレビの場合は、何年たっても映像の鮮度に変わりはないのに、どうしてFMアンテナだけがそうなのか、考えれば不思議千万だが、事実だからしようがない。テレビアンテナはだいたい赤色の塗料を塗ってあるが、FMので赤いアンテナのは見当たらないから、そのへんにも理由があるのか。
何にせよ、よりよい音でFMを受信したかったら、きみも一度アンテナを取り替えてみるといい。できれば同軸ケーブル用のトランスも。