近ごろヤングのあいだでアンプの自作が流行している。専門知識と技術がなければ、従来はオーディオアンプなど自宅で作れるわけがなかったが、いまは自作アンプでもけっこう、いい音がするらしい。IC(集積回路)のおかげだ。
 トランジスターを使用したアンプは広く用いられ、これが次第に改善されて現代は直結方式となり、さらに進んでIC化の方向にきていることは一般に知られていようが、IC技術の確立のおかげで電気技術者でないアマチュアでも十分いいアンプを作れるようになった。難しい回路があらかじめIC化された、そういうキットが街に出まわりはじめたからだ。
 ふつうの家庭では、リスニングルームなど別個には建てられないし、起居する部屋も狭い。したがって大型のスピーカー・エンクロージャーを置く場所がない。どうしてもブックシェルフ・タイプの小型で聴くことになるが、小型では低域を十分だしきれないのが常識だ。そこで3D(スリー・ディメンション)方式が再脚光を浴びることになった。低音は指向性を持たないから、ウーファーを部屋のどこに置いても鑑賞を妨げない。つまりICによるアンプを自作し、マルチアンプシステムでウーファーを鳴らすことで、より十分なサウンド効果を得ようとヤングは考えたわけだ。いい考えだと私も思う。
 いかにIC化されたとはいえ、ハンダ鏝の使用や、テスター、コンデンサーの容量、抵抗値を読むほどの初歩知識は必要だが、こんなものは覚えれば簡単。私は、上杉佳郎君をはじめ、一流のアンプ製作者を何人か知っているが、面白いことにそんな連中の自宅のサウンドが素晴らしかったためしがない。なまじ専門知識があるため、高音や低域をいじりまわして、精神分裂症みたいな音にしてしまうのだろうと思う。さもなくば測定値に頼りすぎる。(音楽美は測定器ではでないのだ。)
 その点、アマチュアは素直にキットの指定どおり作って疑わないから、過不足ないサウンドが得られる。なんといっても、自分で製作したアンプで音楽を楽しめる愉悦と満足感は、一度知ったらやめられないだろう。
 ヤングの読者よ、きみもICで自作してみたら!!