素朴の最近のブログ記事

要素を減らしたもの=シンプル・イズ・ベストではない、とわかったうえで、
それでも、あえて構成要素の少ないスピーカーシステムを、
これまでの数多くの市場に出廻った製品の中から選ぶとすると、ダイヤトーンの2S305が、まず浮んでくる。

このスピーカーは、コーン型ウーファーとコーン型トゥイーターによる2ウェイ構成で、
よく知られているようにネットワークは、
トゥイーターへの低域信号をカットするコンデンサーひとつのみである。
トゥイーターの能率をウーファーと合わせるためのレベルコントロールも、
ない、という徹底したものだ(厳密にはインピーダンス補整用のコイルと抵抗がはいっている)。

トゥイーターの能率は磁束密度をコントロールすることで、ウーファーと能率を合わせている。
マルチウェイのスピーカーシステムで、ここまで構成要素を減らすことは、もう無理である。

JBLの4311も部品点数の極端に少ないネットワークだが、
レベルコントロールまでは省略していない(できていない)。

2S305のウーファーの高域のカットは、ボイスコイルボビンとコーン紙とのあいだに、
コンプライアンスをもつ材料を挿入することで、機械的フィルターを構成している。

何を使っていたかまでは忘れてしまったが、経年変化により、この部分が硬化してしまえば、
機械的フィルターは動作しなくなり、2S305本来の音は得られなくなる。
モノーラル録音を、モノーラルで再生すること──スピーカーも1本──も、
素朴な音とは? を考えていくうえで忘れてはならないことではないか。

要素が増えていくことで可能になることもある一方で、
要素を減らしていくことで見えてくることもあるはずだからだ。
素朴な音を考えるにあたって、たとえば原音(必ずしも生音ではない)を、
基準という意味も含めて、数字の1と表現したとしよう。

再生音は、その例に倣って表現すれば、0.627とか0.8519とか、
そんなふうに表してもいいのではないだろうか。

限りなく原音に近づくということは、0.9999999999...と限りなく9が続いていくことだろう。
1と0.9999999999...、1に近づいているとはいえ、
ぱっと見た感じの印象は、ずいぶん違う数字のようにも感じられる。

1と0.1、0.99999999999999...と較べると1との差はかなり大きくなっている。
0.5や0.7と比較しても1との差は大きいけれど、それこそ見た目の印象は、
1に、この中ではいちばん近いとも言えよう。

素朴な音とは、0.1のような音なのか。
素朴な音、素朴な組合せは、プリミティブな音、プリミティブなオーディオ機器の組合せではない。

オーディオにおける「素朴」を考えることは、
オーディオにおけるシンプル(単純)、潔さについて考えることにつながろう。

わずかでも音がよくなるなら、どんな煩雑なことでも積極的にこなす──、
PCオーディオに取り組まれている、ある一部分の人たちの取り組み方を見ていると、
そんな印象を受けてしまう。

別に批判しているわけではない。ただそれだけでいいのだろうか、と思うのだ。
対極にあるものを意識した取り組み方を、つねに忘れてはならないと思う。

素朴、単純、潔さ......と思い浮かべていると、簡素、簡潔といった言葉も出てくる。
「簡」から始まる言葉には、他に、簡雅、簡勁、簡厳、簡朴、簡明などがある。

デジタル技術の進歩により、いままで無理だったことが可能になっているからこそ、
素朴(ネイティヴ)について、いまの感覚で捉えなおすことも大事だと思う。
時折考えるのが、素朴な音を聴かせてくれる素朴な組合せ(システム)とは、
いったいどういうものかということ。

スピーカーはフルレンジ、それにコンデンサーひとつで低域をカットしてトゥイーターをつけるぐらいか。
アンプは真空管か。どんな回路で組むか。市販品に、素朴なにぴったりのモノがあるようには思えない。

手持ちに、フィリップスの20cm口径のフルレンジがある。いちおうアルニコ仕様だ。
アルテックの20cmのもある。
あとダイナコのSCA35(管球式プリメインアンプ)から取り外した出力トランスと電源トランスもある。

プログラムソースはどうするか。アナログかCDか。
ここで行き詰まる。

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