イコライザーの最近のブログ記事

グラフィックイコライザーを捉えるうえで考えてみてもらいたいのが、
グラフィックイコライザーの比較試聴について、である。

オーディオ雑誌の編集者として、グラフィックイコライザーの記事をつくことになり、
各メーカーの製品を集めてきた。比較試聴をやることになった。
どういう手順で行うのか。

まずリファレンスとして、どれか一台を選ぶ。それをテスター(オーディオ評論家)に調整してもらう。
満足のいく調整がおわったところで、そのグラフィックイコライザーの出力を測定する。
測定結果と同じカーブになるように、他のグラフィックイコライザーも調整する。

そしてグラフィックイコライザーを入れ替えて、比較試聴......。

グラフィックイコライザーの試聴は、おそらく、これではうまくいかないはずだ。
私も実際に比較試聴は行なったことはない。
それでも断言するが、リファレンス機器と同じイコライジングカーブにしても、
実際に入れ替えて試聴すると、帯域バランスは、微妙に変化するもの、そうとうに変化するものがあるはずだ。
帯域バランスがまったく同じになるグラフィックイコライザーは、存在しない(はず)。

なぜなら、ほんとうの意味での「周波数特性」は、振幅特性だけではないからだ。
気に入って愛用しているコントロールアンプにモードセレクターがない場合には、
自分で作ればすむことである。
すこし電気に詳しい人がいたら、すぐに回路図を描いてくれる。
部品点数もすくないし、良質の部品を使っても費用はそれほどかからない。

もっとも高価な部品は切替えスイッチだ。

こういうものを信号系に入れると、音の透明度、鮮度が劣化する、と拒否する人も、
オーディオ機器の使いこなしにおいて、絶対の自信はもてないのであれば、
コントロールアンプとパワーアンプ間に挿入してみて、その重宝さを、まずはあじわっていただきたいと思う。

モードセレクターを使って、グラフィックイコライザーの調整、使いこなしのコツを掴めたという手ごたえを感じたら、
そのときは外せばいいのだから。
グラフィックイコライザーをつかいはじめるときも、使いこなしをあれこれやっていこうとする場合にも、
使ってみると、その有用性が感じられるのが、
いまは大半のコントロールアンプから省かれてしまったモードセレクターである。

ステレオ/モノーラルの切り替えとバランスコントロールがついてるだけで、
ステレオで聴いていては、つかみどころなく感じていたものが、
モノーラルで聴くことで、はっきりと手ごたえを感じとれるところもあるからだ。

もちろんモノーラルで聴いて、すべてが解決するわけではない。
それでもステレオでだけ聴いてるよりも、ときにモノーラルにしてみてほしい。
録音状態のよいモノーラル盤を使うのもいいが、最新録音をモノーラル化した音を試してほしい。

マッキントッシュのコントロールアンプ、C29、C32などには、7ポジションのモードセレクターがついていた。
ステレオ、モノーラル、ステレオ・リパースのほかに、左チャンネルの音を両チャンネルから出すポジション、その逆のポジション、
モノーラル信号を左チャンネル(右チャンネル)から出すポジションである。

これだけあると、かなり重宝すると思う。
グラフィックイコライザーを導入したものの、どう使えばいいのか、
いまひとつ掴みきれないという人もいるだろう。

よく、とにかく使ってみるしかない、慣れるしかない、と言われるけど、
人には向き不向きがあるから、それだけで使える人もいれば、そうでない人もいる。

なかには、測定器とペアでなければならない、という人もいる。
たしかに、それらの発言は正しいといえばそうだが、
これらがグラフィックイコライザーをすすめた人の発言だとしたら、少し無責任じゃないか、と言いたくなる。

適確なコツを言えないのは、そういう人は、グラフィックイコライザーの捉えかたが、
実は少しずれているのじゃないかとも思えてくる。

私がいえるのは、とにかく周波数バランスをグラフィックイコライザーで調整しよう、と考えない、ということ。
周波数特性的バランスを耳をかたむけていても、
はじめていじる人には、グラフィックイコライザーを使いこなすことは難しい。

もちろんそういう使い方を全面否定はしないが、
まずプログラムソースはモノーラルで再生してみることをすすめる。
そして「音像」がぴしっと、ふたつのスピーカーの中央に、どの帯域において安定して定位するように、
このことをだけに注意を払って、各帯域のレバーを動かしていく。

まず、このことから入っていくべきだ、と考えている。
パラメトリックイコライザーやトーンコントロール、
QUADのティルトコントロールやラックスのリニアイコライザーなどの単独使用はあっても、
グラフィックイコライザーは、必ず上記のイコライザーと併用するものだと、
私は、グラフィックイコライザーの原理・仕組み・特性からいって、そう捉えている。

つまりグラフィックイコライザーは、周波数特性をいじるものではない。
周波数特性をいじるのであれば、パラメトリックイコライザーなりトーンコントロールを使えばいい。

グラフィックイコライザーにスライド式ボリュームがいつから採用され、
現在のスタイルになったのかは不明だが、
この、一見、周波数特性を連想させるアピアランスが、
グラフィックイコライザーの本質を隠してしまったように思えてならない。

まだ回転式ポテンショメーターを採用したほうが、いい。

グラフィックイコライザーは、そのデザインが見直されるべきモノである。
アナログ式のイコライザーで、グラフィックイコライザーのようなカーブを作り出せないか。
櫛形フィルターを使わずに、しかも6dB/oct.のフィルターによって、ということを考えていた。

そんなとき、スピーカーのレベルコントロールによる
スピーカーシステム全体の周波数特性がどう変化するのを表したグラフを見て思いついた。

2ウェイのネットワークだと、当然だが低域と高域だけの変化である。
3ウェイだと、それに中域が加わり、4ウェイでもせいぜい2.5オクターブの粗さである。

ならば、この3つを加えたらどうなるか。
けっこう複雑なカーブを作り出せそうな気がしてきた。

ラインレベルの入力をまず3系統にわける。
後につながる負荷が小さくないのでバッファーアンプを設けたい。
それぞれのフィルターは、
抵抗とコンデンサーだけで形成した6dB/oct.のチャンネルデバイダーと同じである。

つまり2ウェイ、3ウェイ、4ウェイの、パッシヴのチャンネルデバイダーを用意する。
そしてそれぞれのチャンネルデバイダーに信号を振り分けたのち、
それぞれの信号、つまり2+3+4の7つの信号をミキシングして出力する。
ミキシングの段階で、それぞれのレベルをコントロールする。

この方式のポイントは、それぞれのチャンネルデバイダーのクロスオーバー周波数の設定である。
うまく設定できれば、グラフィックイコライザーには及ばないものの、
かなり自由にイコライジングカーブがつくり出せるのではないだろうか。

スピーカーのレベルコントロールを、電気的に細かくいくつもにわけたものが、
グラフィックイコライザーと、乱暴な表現だけど、そう言えるだろう。

スピーカーだと4ウェイでも、低域、中低域、中高域、高域の4つの帯域だから、
ひとつのレベルコントロール当り大ざっぱに言えば2.5オクターブだが、
グラフィックイコライザーは、1オクターブに満たない、
1/3オクターブという狭い帯域でコントロールできる。

そのために櫛形フィルターを使う。

非常に狭い帯域でピーク・ディップをコントロールする際、櫛形フィルターは有効だ。
だが一般的と思われる使い方、
たとえば500Hzを中心にゆるやかにもちあげて、3kHzあたりをやや下げて、
その上の帯域をゆるやかに上昇させるという帯域バランスを得たいとき、
グラフィックイコライザーのツマミを、そういうカーブに配置する。
なるほどグラフィックである。

だが、櫛形フィルターを採用していることを思い出してほしい。
微視的に見れば、櫛の歯の長短を変えて、そういうカーブを作り出しているわけだ。
櫛の歯銅氏の間はどうなっている?

アメリカの技術書に、単発サイン波を、グラフィックイコライザーを通すと、
どう変化するかが載っている。

だからグラフィックイコライザーは使用すべきではない、と言いたいわけではない。
どんなモノにもメリット・デメリットがあるということだ。

そして、これはアナログ技術のグラフィックイコライザーについててである。
デジタル式が、どういうふうにカーブ通りのイコライジングを行なっているのか、
じつのところ調べていないが、アナログ式とはそうとうに異っているはずだろう。

個人的には、デジタル技術の導入によって、デメリットの面が薄れ、
グラフィックイコライザーの本領発揮の時代がきたと考えている。
UREIの813は、新しいスタジオモニタースピーカーとして開発され、
メインユニットにアルテックの同軸ユニット604-8Gを採用している。

604が搭載されているアルテック純正のスピーカーシステム612との大きな違いは、
サブウーファーの採用ではなく、ネットワークにある。

604-8Gの構造図を見ればわかるが、中高域を受け持つドライバーの振動板と
ウーファーの位置関係はかなり離れている。
ホーン型ということもあり、中高域が後ろに配置されている。
とうぜんウーファーからの音とドライバーからの音には時間差が生れる。

同軸ユニット構造とすることで、発音源の一体化をはかっても、これでは効果も薄れる。
デジタル器材が進化し安価になった今なら、
デジタルチャンネルデバイダーを用いてのマルチアンプ駆動で、
ウーファー側にディレイをかけて補正するところだが、
77年当時で、しかもマルチアンプではなくアンプ1台で、
同じことを実現するのは無理のように思われていた。

UREIは独自のネットワーク技術で時間差を補正している。
このネットワークの存在と、
604-8Gのオリジナルのセルラホーンを、独自の濃い水色のホーンへの変更のふたつからは、
鮮やかな印象を受けた。

このネットワーク技術をタンノイの同軸型ユニットにも採用したら、
素晴らしい音が聴けるに違いない、と当時中学生だった私は、そんなことを想っていた。

当時はどういう技術なのか具体的なことはまったくわからなかったが、
UREIはいまJBLの一部門であるため、JBL Proのウェブサイトにアクセスすれば、
813のネットワークの回路図をダウンロードできる。

813だけではなく、QUADのESL63も、この場合、ネットワークとは言えないが、
デジタル技術ではなくアナログ技術で、時間差をつくりだすことと、
同心円上に8分割に配置された固定電極の採用で、
平面波しか出せないコンデンサー型スピーカーから、中高域のみ球面波を可能としている。
ESL63もコイルの複数使用での実現である。

ESL63は球面波を実現したと言われるが、
この動作によって生れるのが、ほんとうに球面波なのかは、すこし疑問に思う。
たしかに球面波に近いと思うのだが......。

UREIの813とQUADのESL63を例に挙げたが、
技術書に書かれていることだけでなく、実際の製品から学べることは多い。
技術書に書かれていることだけがすべてではないということである。
スピーカーのレベルコントロールをいじれば、クロスオーバー周波数はわずかだが変化する。
2ウェイ・スピーカーのでトゥイーターのレベルをあげると、
クロスオーバー周波数は低い方に移動する。レベルを下げると高い方にスライドする。
3ウェイで、スコーカーのレベルを上げると、ウーファーとのクロスオーバーは低くなり、
トゥイーターとのクロスオーバーは高くなる。

だからレベルコントロールはいじらない方がいいと言いたいわけではない。
必ずしも、各ユニットのカットオフ周波数とクロスオーバー周波数が一致するわけではない。
このことを忘れてほしくないだけである。

3年前に、あるネットの掲示板で、スピーカーのネットワークに関して、
ふたりの方が言い合いをされていた。
そのうちのひとりは、ネットワークが12dB/oct.の場合、
2ウェイならばトゥイーターを、3ウェイならスコーカーを逆相接続にする、
スピーカーの教科書にもそう書いてあるし、
メーカー製のスピーカーもそのようになっていると力説されていた。

たしかに1970年代に出版されていたスピーカーの技術書には、そう書いてある。
間違いではないし、事実、メーカー製の中に逆相接続のモデルもあった。

けれど80年代から12dB/oct.のネットワーク使用でも逆相接続ではなく、正相接続が出てきたし、
おそらく、いまきちんとした技術力をもつメーカーの製品なら、逆相接続はほとんどないはずだ。

音場感の再現を重視すれば、ウーファーとトゥイーターの極性が逆相のままというのはありえない。
たしかに12dB/oct.のネットワークだと、クロスオーバー周波数でディップが生じる。
それから逃げるために片方のユニットを逆相接続するわけだが、
この問題をさける手法は、なにも逆相接続だけではない。
メーカーは確実に技術を進歩させている。

70年代は、ラジオ技術誌や無線と実験誌の別冊として、
スピーカーやプレーヤーに関する技術書が、メーカーのエンジニアによって書かれていた。
いまはその手の本はない。
そのため、上で挙げた例のように古い技術書に書かれていたことを
オウムのように繰り返す人が出てきてもしかたないだろう。

個人攻撃をするつもりはないが、
その人は、ネットワークでタイムディレイは実現できないと断言されていた。
たしかにデジタルディレイのような細かいディレイを実現するのは困難だが、
1977年にはUREIの813が登場している。
3年前くらいに思いついたが、まだ試していないイコライザーについて書いてみる。

帯域のバランスを簡単に変化させるのは、スピーカーについているレベルコントロールだろう。
最近のモデルは省いているものが多いが、3ウェイ、4ウェイとなるほど、
レベルコントロールは重宝するといえる。

レベルコントロールの調整といえば、瀬川先生のことが浮ぶが、
ステレオサウンド 38号に井上先生が次のように書かれている。
     ※
システムの使いこなしについては最先端をもって任ずる瀬川氏が、例外的にこのシステムの場合には、
各ユニットのレベルコントロールは追い込んでなく,
メーカー指定のノーマル位置であるのには驚かされた。
     ※
このシステムとは、JBLの4ウェイ・スピーカー、4341である。
その後に使われていた4343も、レベルコントロールはほとんどいじっていない、と
どこかに瀬川先生が書かれていたと記憶する。

そういえばKEFのLS5/1Aはレベルコントロールがない。そのことが不満だとは書かれていないはず。

LS5/1Aにしても、4341(4343)も購入されている。それは気にいっておられたわけだし、
長い時間をかけて鳴らしこめるわけだ。

瀬川先生がスピーカーのレベルコントロールを積極的に使われるのは、
試聴などで、短時間で、瀬川先生が求められる音を出すための手段だったようにも思える。

レコード芸術の連載で、スピーカーは最低でも1年間、できれば2年間は、
特別なことをせずに、自分の好きなレコードを、
ふだん聴いている音量で鳴らしつづけることが大切だと書かれている。

惚れ込んで購入するスピーカーなら、帯域バランスに関しても、
大きな不満を感じられることはなかっただろう。
だからこそ、レベルコントロールをいじらずに、大切に鳴らし込まれていたのだろう。

38号の写真を見ると、4341の下には板が敷かれているが、
板と板の間に緩衝材のようなものを見える。
このあたりの使いこなしは積極的に行なわれていたようだ。

ラックスのリニアイコライザー、QUADのティルトコントロール、 名称は異るが

どちらもほぼ同じ機能で、ある周波数を中心に、周波数特性をシーソーのように上昇下降させる。 

世の中に登場したのは、リニアイコライザーのほうが先。


QUADがマネをしたのか、リニアイコライザーに刺激をうけてのものなのかはわからないが、

リニアイコライザーの考え方そのものが、なんとなく東洋的な思想によるもののような気もする。 

高域側を2dB上げたら低域側を2dB下げる。低域を上昇させたら、同じレベルだけ高域を下げる。

その中心周波数はつねに同じ( ラックスとQUADでは、たしか中心周波数が異っていたはず)。


つまり、エネルギーの総和はつねに同じになる。 

どこかをあげたら、同じ変化量だけどこかをさげる。 


このことはイコライザーをいじる上で、大事なことではなかろうか。 

もちろん中心周波数をきちんと決めた上で、である。 

リニアイコライザーにしてもティルトコントロールにしても、

こまかいイコライジングは無理である。 


ならばもうすこし多ポイントで、リニアイコライザーと同じ思想のものは、どうだろうか。 

たとえば中心周波数を640Hzとする。 

1オクターブ下の320Hzを上昇させたら、 

1オクターブ上の1.28kHzを、同じ量だけ下降させる。 

というよりも、この場合、320Hzと1.28kHzのツマミはひとつで、 

センターよりも時計方向に回したら1.28kHzが上昇し320Hzは下降する。 

反時計回りだと、320Hzが上昇し1.28kHzは下降するという具合だ。 

20Hzから20kHzまでは10オクターブ、 

2オクターブ上は2オクターブ下と、3オクターブ上は3オクターブ下と......、

こんなふうにして、ツマミは5つ。 

ユニークなイコライザーの出来上がり、かな。

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